後味の悪い話

【後味の悪い話】山崎洋子の短編

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207:1/3:2006/06/19(月) 13:17:02 ID:WEpHxvX9O
多分、山崎洋子の短編。かなりうろ覚えだが

主人公は仕事は成功しているが、夫婦仲は上手くいっていない。
夫とはろくな会話もなく、仕事の足を引張られ、喧嘩になる始末だった。
ある日夫は、お互い新しく生命保険に入ろう、と言い出す。
もしかして自分を殺す気なのだろうか、と疑う妻。
小さな事故などもあり、疑いは強くなる。
言い出した夫も挙動不信になっている。互いに牽制しあう日々が続いた。

妻は殺される前に、油断をさせて殺してしまえと考える。
手始めにおはよう、いってらっしゃい等、夫に笑顔で声をかけてみた。
始めは戸惑う様子を見せた夫だったが、1ヶ月もすると挨拶を返す様になった。

それからは会話も増え、夫婦仲も次第に良くなっていった。
夫は今までとは比べ物にならない位に優しくなり、
結婚する以前よりも愛し合う様になった。
幸せな生活を送るうちに、妻は殺す気など無くなってしまった。

208:2/3:2006/06/19(月) 13:21:25 ID:WEpHxvX9O
夫はイマイチだったカメラマンの仕事も成功させた。
元々イケメンだったこともあり、その姿は魅力的だった。
仕事仲間の女性と話す姿に、自分とはもう釣り合わないのではないかと思う妻。

そんな折、夫は生命保険の掛け金を増やしたいと言い出した。
やはり夫は自分を殺すつもりだったのだ、と思うが憎しみは無く
むしろ愛する人の為に事故にみせかけ自ら死のうとさえする妻。

立ち寄った雑貨屋で、ガラスの砂が入った小瓶を見つけ、これだ、と思う。
家に帰ると、いつもの様に夫がコーヒーを入れてくれていた。
「綺麗でしょう、これ砂糖だと思うの。コーヒーに入れて」
そう言って小瓶を差し出した。
夫はいつもブラックだから、砂糖はいれない。
自分は砂糖だと思ってガラスを飲むのだから、事故死として処理される筈。そう考えていた。

209:3/3:2006/06/19(月) 13:22:50 ID:WEpHxvX9O
しかし夫は間違えて妻のコーヒーを飲んでしまった。
止めようとしても既に遅く、青ざめる妻。
「生命保険の掛け金を増やしたんでしょう?」問い掛ける妻に
「うん、自分に掛けたよ」
そう答える夫。
「実ははじめに生命保険に入ると言った時、君に殺されるんじゃないかと疑っていたんだ。
けれど君は笑顔で話しかけてきてくれた。
なんて馬鹿だったんだろうって思ったよ」
これからも一緒に生きて行こう、そう笑顔で言う夫を呆然と見つめる妻。
「おかしいな、胃が痛い」そう言う夫を抱きしめ、水を飲ませる妻。
水に、残ったガラスの砂を混ぜて…
こんなつもりじゃなかった。この人を愛していた。そう思いながらも
そのお金があれば何ができるかしら、そう考えていた。

211:本当にあった怖い名無し:2006/06/19(月) 15:03:27 ID:4JpDsUQ50
でもこれ、状況からして妻は疑われそうじゃね?

212:本当にあった怖い名無し:2006/06/19(月) 15:37:54 ID:8OmgG2Mk0
O・ヘンリーの賢者の贈り物のバッドエンドみたいな感じだな

214:本当にあった怖い名無し:2006/06/19(月) 16:18:30 ID:9T5GMKA30
賢者の贈り物って、女が髪を売るやつだっけ?
厨房時代に読んだ時、「髪はまた生えるからいいじゃん」とバカみたいな考えをしてたな。

215:本当にあった怖い名無し:2006/06/19(月) 16:27:32 ID:r3vuBVuA0
Oヘンリ、小学校の授業で読んだ。
そのときまさに>>214の感想を言ったら、クラスの女子から猛攻撃をされて泣いた俺。
今でも妙に髪型を気にしたり(「ねえねえ、この髪型どう?」なんて聞いてくるとか)、
髪をいじる癖のある女性にはトラウマを感じる。

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