523: 破戒 1/2:2007/06/07(木) 03:10:13 ID:/xBIzHsB0
島崎藤村「破戒」
明治後期。被差別部落に生まれた主人公の丑松は、
「出生を隠せ、二度と故郷に戻るな」と言う父の戒めを
頑に守りながら成人し、小学校の教師となる。
彼はいつしか、生徒に慕われる人望ある教師となる。
その中で、同じく被差別部落出身の女教師、猪子と出会う。
猪子は己の出生を隠す事無く、解放運動に参加し、不当な差別と戦っている。
丑松は尊敬と恐れを抱きながらも、己が出生を隠している事に悩む。
猪子にならば、己の出生を打ち明ける事が出来るかもしれないと思うが、
どうしても口に出せずに居た。
ある日、「学校に被差別部落の人間が居る」と言う噂が流れる。
そんな中、猪子が死ぬ。解放運動に携わっていた所為で殺されたのだった。
丑松は己の出生を、皆に告白する事に決める。
524: 破戒 2/2:2007/06/07(木) 03:10:54 ID:/xBIzHsB0
「(皆さんを騙していた事を)許して下さい」そう言って教壇に跪く丑松。
(父の戒めを破った=破戒)
非差別民だと分かった瞬間、丑松を追い出そうとする校長や同僚。
丑松は学校を辞めた。
そして友人(丑松の出生は知らなかったが、知っても友情は変わらず)や
一部の生徒、恋仲のお志保に見送られ、アメリカ、テキサスでの日本人村計画に
参加する為に旅立つ。
大人になって読み返すと結構いい話だし、藤村にしては読みやすいので
興味がある方はぜひ。
ただ丑松の「許して下さい」宣言あたりは「いや、黙ってればいいじゃん」
「つか校長さん…」等と後味悪い思いをするかと。
他にも所々に鬱になる描写が存在したり。
ちなみに丑松の父は牧場をやっていて、種牛に蹴り殺されて(うろ覚えだが)死んでしまう。
で、丑松は牧場をやる事を夢見て新天地に旅立った訳です(恋人は日本に置いて行った)。
531: 本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 10:37:18 ID:7yGC4/Js0
>>524
明治後期に渡米ってことは
その30数年後に太平洋戦争勃発、収容所送りか。
しかも有色人種ってだけで差別されるだろうし、特に南部なら。
なんか渡米した後も大変そうだな。