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後味の悪い話 その179
62 :本当にあった怖い名無し:2019/06/22(土) 11:28:33.30 ID:tgJsptYE0.net
星新一の短編
帰り道、占い師に呼び止められた青年。
君には病気を治す能力がある、と言われて笑い飛ばす。
翌日。頭痛持ちの同僚が、痛み止めを切らしたと言うのでものは試し、念じてみると頭痛は消えた。
あれからずっと頭痛が起きない、と同僚は喜び、高級クラブでおごってくれた。
同席したホステス、ニコチン中毒で実は今も苦しい、と言うので面白半分念じてみると、タバコが欲しくなくなった、と大喜び。
ホステスは時々、アパートを訪れるようになった。
同僚の話が広まり、覚えていられない程大勢の病人を治した。
知り合いの水虫、その知り合いのハゲ、そのまた知り合いのアルコール依存症、
取引先の娘婿の女癖(正確に言えばなぜか女にもてすぎる)、
社長の親戚の攻撃性被害妄想などなど、
ある日青年は、頭痛になった。
気がつくと、タバコと酒量が増えていた。薄毛、吃音症、そしてなぜか女性にもてるようになり、青年は、治した病気が自分に「移る」ことに気がついた。
「ち、ち、ちきしょう。な、なんでこんな事に。た、多少の謝礼では、ひ、ひ、引き合わないぞ。も、も、もとはと言えば、ああああのうう占い師だ」
「あああ足がかゆい。お、お、思い知らせてやるぞ、まずはあ、あ、あ、あの占い師。つ、次はおれを頭痛にした同僚。そそそしてニニニニコチン中毒のホステス。そ、それから…」