794:本当にあった怖い名無し2021/06/06(日) 18:01:36.69ID:o1OF3Mdv0
都市ボーイズ早瀬の怪談「ホームレス」
早瀬が放送作家だった時代のこと、番組でホームレスを取材することになった。
ホームレスになった理由というのは大抵「金がなくて」「家を追い出されて」というものだが、一人「監視」と答えた男性がいた。
曰く、彼には息子がいた。
妻との離婚後自分についてきてくれた唯一の子供ということで非常に可愛がっていたが、その息子がある日他殺体で発見される。
何も手に着かず事件現場に立ち尽くしていると、目の前を一人のホームレスが横切って行った。
そのホームレスのリヤカーには彼の息子が使っていた財布が。
事件への関与を疑った男性はそのホームレスを調査することに。
そして彼は仕事も家も捨て、息子の財布を持ったホームレスを追い始めた。
やがて努力の甲斐あって男性は件のホームレスと親しくなることが出来た。
ある日そのホームレスは自慢気にこう教えてくれた。
「今時のガキは金持ってるからよ、その辺の石拾ってガッと殴って財布奪うんだよ。石は川にでも流せばバレねぇからよ」
今まで三人は襲ったと言い、その内の一件は彼の息子が殺された時の状況と一致していた。
間違いない、こいつが息子を。
確信した男性はそれ以来、相手を殺害する機会を伺い続けている。
それが「監視」だ。
795:本当にあった怖い名無し2021/06/06(日) 18:07:43.24ID:o1OF3Mdv0
話に興味を持った早瀬は彼と連絡先を交換し、何かあったら教えてくれと頼む。
そしてある夜、例の男性から着信が。
出てみると彼は電話口で嗚咽を漏らすばかりで何も言えない様子。
まさか遂に殺ってしまったのか、と慌てて会いに行くと、彼は泣き崩れていた。
「殺せなかったんだよ」
彼は涙ながらにこう語った。
殺害方法を絞殺にすると決め、麻紐を準備した。
しかし当日の朝、目の前に息子の幽霊が現れたのだという。
「やめて、お父さん」
息子はそう訴えた。
あの子は復讐など望んでいなかったのだ。
犯罪に手を染めて地獄へ堕ちるよりは、人生を全うして天国で再び息子と会いたい。
男性は自然とそう考えるようになり、社会復帰を目指すことに。
早瀬もほっと一安心しそれを応援した。
それからしばらく経ち、早瀬は再び彼から連絡を受け取った。
ホームレスをやめて自動車整備工場に就職したらしい。
見掛けも逞しくなり、ホームレス時代とは別人のようだった。
彼は「また目の前に息子が出て来てね」と話し始めた。
「『お父さん、殺してよ早く』って言ってるんだよね」
驚く早瀬に、彼は捲し立てるように言い募る。
「君、取材してたでしょ?今あのホームレスどこにいるか知らない?殺してやりたいんだ。今も言ってるんだよ息子が、『殺してくれ』ってさ」
「息子が『やめて』って言ったのは『麻紐じゃ殺せない』って意味だったんだよ。絞殺って10分以上も絞め続けなきゃいけないんだって。あの時は力も無かったから失敗してただろうな。でも今なら凶器も色々用意出来るからさ」
「ねぇ、あのホームレスどこに居るの?知ってるんでしょ。教えてよ早く。ねぇ。ねぇ!」
早瀬が知らないと答えると、彼は期待外れとばかりに帰って行った。
以来彼から連絡はない。
803:本当にあった怖い名無し2021/06/07(月) 21:01:02.72ID:tGfX4Qla0
>>795
実話だと仮定するなら、その監視ホームレスさんは幻聴を聞くようになってしまったんだろうね、、、
昔、うちの地元の公園にも神経イカれてしまったホームレスがいたのだけど
元々どっかの鉄道会社がどこか働いてたらしくて、その職場での誰かとのやり取りであろう鉄道関係の小難しい会話を一人で延々と呟いてて怖かった
804:本当にあった怖い名無し2021/06/07(月) 22:09:18.31ID:5waMJTMQ0>>805
>>803
なんか切ない
805:本当にあった怖い名無し2021/06/07(月) 23:30:51.34ID:tGfX4Qla0
>>804
しかもその公園さ、たしか潰れた駅の跡地か、またはそのすぐ近くにに建てられてたんだよね
おまけに、すぐ近くに新しい駅が見まで見える立地なんだよね
もしかしたら、かつてそこに有った駅で働いてて、だからこそ、あの公園に居着いていたのだろうか?
なんか風の噂では公園の草むしりとかごみ拾いとかしてて、子供たちと遊ぶこともあったらしいし、もしかしたらあのホームレスは駅を管理してるつもりだったのかなぁ、、、?
正気ではなかったのは確かだけど、独り言は物凄くハキハキと喋ってて、発言内容も専門知識が多くて職人っぽくて、かつては真面目な仕事人だったのだろうな、ということが窺えて悲しかった