172 : 名無しさん@おーぷん : 2016/05/08(日)10:28:14 ID:I0E
児童公園の横を通りかかったとき、声がした。
「もーいーかい」
見ると、男の子が木に顔を埋めている。かくれんぼをしているらしい。
他にはだれもいないが、きっとどこかに隠れているんだろう。
なんとなく足を止めて、その光景に見入った。
誰もなにも言わないまま、男の子は公園のなかを探し始めた。
「もーいいよ」とかは、今は言わないのかな。
ぼんやりとそんなことを考える。
男の子は探し回る。
ベンチの裏…植え込みのなか…すべり台の上…
けれど、見つけられなかったらしい。
ふと、僕と目があった。
そのまま見つめ合う僕と男の子。なぜか僕から目を離そうとしない。
そのうちに、男の子は僕のほうへ走り寄って来て、言った。
「見つけたっ!」
僕ははっと我に返る。
「いやちがうよ。僕はかくれんぼしてるわけじゃ…」
僕は慌てて言ったけれど、男の子は聞いていない。
「見つけたっ!見つけたっ!見つけたっ!」
男の子は僕の腕を掴んだ。
「痛っ!」
凄い力だった。
「ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ!」
男の子の顔がみるみる歪んで、笑顔のようになる。
ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ…
【洒落怖】公園にて