2chの怖い話

【洒落怖】雷鳥一号さんの怖い話シリーズ その3

カブトムシを取り

∧∧∧山にまつわる怖い話Part6∧∧∧

292 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/31 00:12
友人の話。

彼は小さい頃、よく実家の裏山にカブトムシを取りに行っていたそうだ。
目星をつけた木を蹴飛ばし、落ちてくる虫を捕まえていたのだという。

ある夏の日、いつもみたく木を蹴飛ばしていると、ドスンと異様な物が落ちてきた。
大きさは、小学生だった彼の弟くらいもあったらしい。
黒光りする逆刺がびっしりと生えた足が、数え切れないほど蠢いていた。
自分では起き上がることができないようで、足をわさわさ暴れさせている。

慌てて逃げ帰ると、祖父にひどく怒られた。
何の申し訳も無しに古い木を蹴飛ばすから、そんな目に遭うのだと。
以来、彼は木を蹴る前に「ごめんね」と謝るようにしたのだという。

変わった客

293 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/31 00:14
知り合いの話。

彼は、今はもう使われていない小さな火葬場で働いていたそうだ。
その火葬場は、小さな山を登りきった所にあり、訪れる者もそう滅多にいなかった。

それがいつの頃からか、変わった客が顔を出すようになったという。
仏が焼かれる時に、焼き場の周りを猫がぐるりと囲むようになったのだ。
そのうちに猫たちは、仏が出る前から集まってくるようになった。
猫の集まり具合で、近いうちに死人が出るなと判断できたくらいだったという。

火葬場が閉鎖されると、猫たちが集まることは無くなった。
「猫が死者を送っているように見えたのがとても不思議だった」と彼は言っている。

果たして本当に猫は、死者を送るために集まっていたのだろうか。

ある単線の廃駅

294 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/31 00:17
友人の話。

単独登山を好む彼は、よく山中の無人駅や廃駅を宿にしていたらしい。
その夜も、ある単線の廃駅でまどろんでいたという。
真夜中を過ぎた頃、澄んだ音が聞こえて目が覚めた。
リン、という鈴の音だった。
しばらく耳を澄ませたが何も聞こえず、気のせいかと思い始めた時。

 リン、リン、リン、リン――

急に連続した鈴の音が、がらんとしたホームに響き出した。
身を硬くした彼は、向かいのホームの屋根上に誰かいることに気がついた。
長い髪の女が月を背にして、激しく頭を振っている。
頭を振るたび鈴の音がリンと響く。

凝視していた彼は、ふいに自分が間違えていることを悟った。
女は屋根の上に立っているのではなく、建物の裏側に立っていたのだ。
一体、何頭身あるのだろうか。
顔の大きさが普通なだけに、とんでもなく異様な感じを受ける。
やがて女の身体はぐっとしなり、彼の目の前まで顔を突き出してきた。
目に瞳孔はなく、口が耳まで裂けていた。

彼はそこで失神したらしい。
目を覚ました時は、すでに夜が明けていた。
前夜の出来事を思い出させるものは、何も残っていなかったそうだ。

赤トンボ

∧∧∧山にまつわる怖い話Part6∧∧∧

221 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/26 00:03
友人の話。

一人で秋の山野をハイキングしていた時のこと。
午前の爽やかな空気の中、草原をゆったりと歩いていたそうだ。
彼の目の前に、赤トンボの大群が姿を現した。
次の瞬間、彼はトンボの群れに包まれてしまったという。
右も左もトンボしか見えず、彼らの羽音しか耳に聞こえなかった。
ひどく幻想的な情景だったと彼は言う。

唐突に赤トンボの群れは過ぎ去り、あたりを見渡した彼は驚いた。
見事な夕焼けが目に入ったからだ。
トンボに包まれていたのはわずかな時間のはずなのに、半日以上の時間が過ぎていた。
「虫も人を化かすことがあるのかな」
彼は不思議気にそう語ってくれた。

今、その草原は切り崩され、大きな大学が建設されている。
トンボもその数をすっかり減らしてしまったそうだ。

ヒヨリさん

∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧

789 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/13 00:42
友人の話。

仕事で山にこもっている時に長雨に祟られた。
雨天の中、遠くの岩山を見ていると、何か大きな影が岩壁から浮き出してきた。
それは山ほどもある好々爺の姿をしており、彼を見てにっこりと笑った。
仰天していると、すうっと透き通って消えたそうだ。

親方のところに報告すると、次のように言われた。
「ああ、ヒヨリさんが出たのか。じきに雨も止むな」

確かにそれからすぐ雨は止んだのだという。

796 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/01/13 10:32
>>789
日和坊ですな。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』晦巻に、
『常州の深山にあるよし。雨天の節は影見えず。日和なれば形あらはるると云。
 今婦人女子てるてる法師といふものを紙にてつくりて、晴をいのるは、この霊を祭れるにや。』
とあります。
常州(常陸国、今の茨城県北東部にあたる地域)の深山に、晴れの時のみ姿を現すもののようですね。
てるてる坊主の起源になったなどという説も紹介されていうます。

ちなみに、西日本のお年よりなんかは、今でもてるてる坊主のことを『日和坊主』といったりするとかしないとか。

山の主さま

∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧

636 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/07 22:21
知り合いの話。

彼の先祖に、羽振りの良い男衆がいたのだという。
猟師でもないのに、どうやってか大きな猪を獲って帰る。
ろくに植物の名前も知らぬくせに、山菜を好きなだけ手に入れてくる。
沢に入れば手の中に鮎が飛び込んでき、火の番もできぬのに上質の炭を持ち帰る。
田の手入れをせずとも雀も蝗も寄りつかず、秋には一番の収穫高だ。

彼の一人娘が町の名士に嫁入りする時も、彼はどこからか立派な嫁入り道具一式を手に入れてきた。
手ぶらで山に入ったのに、下りてくる時には豪華な土産を手にしていたそうだ。

さすがに不思議に思った娘が尋ねると、「山の主さまにもらったのだ」と答えた。
その昔、彼は山の主と契約を交わしたのだという。
主は彼に望む物を与え、その代わり彼は死後、主に仕えることにしたのだと。

何十年か後、娘は父に呼び戻された。
彼は既に老齢で床に伏せていたが、裏山の岩を割るよう主に命じられたという。

娘は自分の息子たちを連れ、裏山に登った。
彼の言っていた岩はすぐに見つかり、息子が棍棒で叩いてみた。
岩は軽く崩れ割れ、その中から墓石と、白木の棺桶の入った大穴が現れた。
誰がやったのか、彼女の父の名がすでに刻まれていた。

話を聞いた彼は、無表情に呟いたそうだ。
「埋められる所まで用意してくれるとは思わなんだわ」

それからすぐに彼は亡くなり、まさにその墓に埋葬されたのだという。

637 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/07 22:23
この話には後日談がある。

数年後、娘の夢枕に父親が立ったのだという。
老いた姿ではなく、若々しい男衆のままの姿形であった。
彼はなぜか、まったく余裕のない表情をしていた。
彼女が懐かしさのあまり声をかけようとすると、彼は怖い顔でそれを止めた。
そして一言だけ発して、消えたのだという。
「お前たちは、絶対に主と契っちゃならねえ」

翌朝目を覚ましてからも、彼女はその夢を強く憶えていた。
一体父は死んだ後、主の元でどんな仕事手伝いをしているのだろう?
その時、隣で寝ていた夫が起き上がり、彼女に話しかけた。
夫の夢にも、養父が現れ何かを告げたのだそうだ。

しばらくして、彼女の夫はその山を買い取り、全面入山禁止にした。
しかし、その理由は妻を含め、誰にも教えなかったという。

門松

612 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/07 00:33
知り合いの話。

彼は小さな会社を経営している。
最近、嫌な事件に連続して見舞われた年があったのだそうだ。
その年の暮れ、仕事納めを終えて、一人ため息をついている時のこと。

親戚が、小さな門松を持って挨拶に来た。
その人の山に、昔から聖域と見なされている場所があり、そこの竹林で取れた竹で作った門松だということだ。
縁起担ぎのつもりで受け取り、事務所内の机の上に置いて帰ったそうだ。

年が明け、事務所に顔を出した彼は驚いた。
青々としていた門松が、茶色くしなびていた。
気がつくと、事務所の空気が心なしか、幾分軽くなったような気がしたという。
門松は仕事始めの前に燃やしたが、真っ黒で異臭を放つ煙が出たそうだ。
思わず手を合わせてしまった、と彼は言っていた。

それ以降、会社の不運が嘘みたいに去ったのだという。
親戚には厄落としが効いて良かったな、と喜ばれたそうだ。

コダマネズミ

613 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/07 00:34
知り合いの話。

彼のお爺さんは猟師をしていたそうだが、その山には奇妙な獣がいるのだという。
それは、丸々と太った地ネズミの姿をしていたらしい。

猟をしていると、山道の行く手にふらりと姿を現すそうだ。
近づくとネズミの身体はボコボコと膨張し始め、倍くらいも膨れ上がる。
そして甲高い悲鳴とともに破裂して、臓物をあたり一面に撒き散らすという。
出くわしてしまうと、獲物が取れなくなる上に、大怪我をすると言われていた。
そのため、しばらくは家にこもって、物忌みをするのだそうだ。

「獲物を獲り過ぎないようにという、山の神様の報せかもしれんな」
猟師たちはそう言って、素直に従っていたそうだ。

617 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/07 00:57
>>613
この物の怪は、地元では『コダマネズミ』とか呼ばれていたようです。
コダマ=木霊でしょうか。
昔は獲物を獲り過ぎないための、何らかの仕組みが存在したのかもしれません。
それが人為によるものか、人外によるものかは分かりませんが。
後者だった場合、私たち現代人の目にはどのように映るのですかね。

白い煙

∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧

204 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/23 00:50
知り合いの話。

彼女が幼い頃、子ども会のキャンプに参加していた時のこと。
夕食の準備をしている皆の頭上に、白い煙が漂っていたそうだ。
彼女の目はそれに釘付けになった。
煙の中に隣家の小父さんの顔が浮かんでいたからだ。

見ているうちに、煙の顔はいろいろと移り変わっていった。
笑っている彼女の母親の顔や、何かしゃべっている知り合いの小母さんの顔。
怒っているような友達の父親の顔に、きょろきょろしている子ども会の会長さん。
どうやら、その場で働いている大人の表情を、一つ一つ真似しているようだった。

やがて煙の顔は、彼女に己の姿が見えていることに気がついたらしい。
見知らぬ男の顔になると、目線を彼女に向けウインクを一つした。
次の瞬間、煙は散り散りになって消えてしまった。
怪しい煙に気がついたのは、彼女一人だけだったそうだ。

空になった鍋

205 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/23 00:52
友人の話。

研究調査のため、一人でキャンプしていた時のこと。
夜中にラーメンでも作ろうと鍋を探していると、奇妙なことが起こった。
取ろうとした鍋が足を生やして、するすると歩き出したのだ。
よく見ると、何か猫みたいな小動物が鍋をかぶって歩いていたらしい。

本体を見てやろうと、手を伸ばして鍋を持ち上げた。
鍋の中は空っぽだった。
驚いている視界の隅に、足を覗かせた登山帽が逃げ出そうとするのが見えた。
慌てて帽子を取り押さえたが、やはり中には何もない。
顔を上げると、妙に膨らんだ上着がテントからトコトコ出て行くところだった。
急いで後を追ったが、テントの外には風に吹かれる上着だけが残されていた。

今にいたるも、あの時正体を確かめられなかったのが悔しいそうだ。

二宮尊徳の銅像

206 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/23 00:54
知り合いの話。

彼は小さい頃、山奥の小さな小学校に通っていたのだが、
他の学校と合併するため、中学に上がる直前に廃校にされたのだそうだ。
彼の学年は五人しかいなかったが、皆で校庭の銅像に記念を残すことにした。
二宮尊徳の足首に、鉄釘で各々自分の名前を刻んだのだという。

先日、十何年ぶりに当時の同級生が村に集まった。
学校の跡地は森林公園になっており、銅像も少女の像に変わっていた。
昔話に花を咲かせていると、いきなり仲間の一人が像の足元で声を上げた。
彼の指差す先を見ると、見知らぬ像の足首にすり減った文字が刻まれていた。
彼ら全員の名前だった。

誰が名前を移し変えたのだろうか。
不気味だったが、同時にとても懐かしかったのだそうだ。

野良犬達

∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧

15 :雷鳥一号:03/12/17 18:25
私の体験した話。

仕事で、ある山奥の集落に行った時のこと。
現場の近くで、おかしな歩き方をする野良犬を見かけた。
その犬は右の前足を失っていた。

昼時になり弁当を食べていると、別の犬が現れた。
これも右前足を失くしており、可哀想に思っておかずを少しわけてやった。
すると匂いを嗅ぎつけたのか、他の野良犬が三頭現れた。
どれも一様に同じ足を失っていた。
犬たちは喧嘩することもなく、おとなしく餌を分けあっていた。

結局、帰るまでに十頭近くの犬を見かけたが、全て右の前足を欠いていた。
うち四頭は、鎖で繋がれた飼い犬だった。
集落の人にそれとなく尋ねたのだが、皆ニコリと笑って、
「事故にでもあったのだろう」と、判で押したように答えてきた。

少し後に再訪したが、その時は怪我をした犬の姿は一頭も見当たらなかった。
あれは偶然だったのだろうかと、今でも不思議に思っている。

45 :オニよりギン:03/12/17 23:25
>>15
一番理由が簡単に説明できそうで、一番イヤな類いの話かも。
絶対に人間が絡んでいるよね、それ。

47 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/17 23:38
『犬の右前足は、あなたに幸運をもたらすお守りです!』
その村では、キーホルダーかなんかに繋げておくのが流行っていたのかも。
それ以外の理由を思い付きません。

51 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/18 00:12
>>47
神への捧げ物をあらかじめ不具にしておく…ってヤツだったりとか…
ただ人間を片目片足に…って話は読んだことがあるけど、動物の場合もあるのかな?

54 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/18 00:23
>>51
私もそれ思いだした。

>>動物の場合もあるのかな
小説に出てきた話で恐縮なんだけど『岡山女』で、
神への供物にする魚の目を潰しておくっていうのがあったので、
そんな風習のある村も存在するのかもしれない。

※続きは随時更新します。

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