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27:本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 17:22:58.42 ID:SpgzkmZy0
「オズの魔法使い」の、ブリキの木こりの恋愛の顛末。
現物手許にないのでところどころうろ覚え。
ブリキの木こりは、もともとは普通の人間で、とある娘と恋仲だった。
でもその娘の祖母は性格の悪い魔女で、孫の恋愛を望んでいなかった。
魔女は木こりの斧に魔法をかけ、彼の腕やら足やらを切断させる。
ブリキの木こりはその度に失った体のパーツをブリキのそれに置き換え、
最終的にはブリキ人間になってしまう。
娘は彼の体がブリキになってしまっていても愛してくれていたが、
全身がブリキになった結果、彼は人の心を失い、
娘への愛情もなくなって仕事人間になってしまい、娘との交流が途絶える。
その後、錆び付いて動けなくなっていた木こりはドロシーに救われる。
「人としての心や愛情」を取り戻したいと思っていた木こりは、
ドロシーと同行し、オズの魔法使いに心を授けてもらおうと考える。
オズの魔法使いはただの手品師で心を授けてもらうことはできなかったが、
その時「君にはもともと心はあるんだよ」みたいなことは言われる。
最終的にドロシーはある形でカンザスに帰れることになり、物語も終わるが、
普通だったらここで恋人のところへ行くはずが、
何故か唐突に「退治された西の魔女の代わりに西の国を治める」ことになってしまい、
恋人はどうなったのか、影も形も出てこない。
28:本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 17:23:33.63 ID:SpgzkmZy0
実は「オズの魔法使い」には何冊も続編があり、
その中のかなり後の方の巻で、どうなったのか語られる。
西の国の王になった木こりのところに一人の少年がやってきて、
彼の冒険譚を聞く。
木こりは恋愛関連のことも含めて全部喋るが、それによると
「オズの魔法使いは確かに自分に心をくれた。
でもその心は人に優しくすることはできても愛することはできない。
だから彼女とはそれっきり」
と答える。すると少年に
「結婚を約束した女の人を方っておくなんて優しくない行為だ」と突っ込まれ、
確かにこれは優しくないなあと、改めて彼女に求婚しに行くことにする。
なお、木こりのところにはカカシ(オズの魔法使いでドロシーと一緒に旅をした仲間)
が同居しているのだが、そのカカシには
「結婚というのは愛情からするもので、
同情心からするものじゃないと思うよ。僕は賛成できない」
と、突っ込まれるのだが、その発言は無視。
木こりはカカシと少年を連れて、東の国に住む彼女のところへ行くことにする。
途中色々なアクシデントを潜り抜けながら、東の国に近づくと、
ブリキの兵隊が錆び付いているのに出くわす。
油を差して動けるようにしてやると、なんと、彼も、同じ女性の恋人だった。
ブリキの木こりが娘をほったらかしにしている間に、
娘は彼と仲良くなり、彼も魔女の魔法で、ブリキ人間になってしまったのだった。
ブリキの兵隊も「自分の心はブリキの心だから人は愛せないが、
一度約束したことを違えるのは兵士らしくない行いだ」と求婚に向かうという。
まあ決めるのは彼女だし……ということで兵隊も連れて彼女のところに行く。
29:本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 17:24:27.15 ID:SpgzkmZy0
そしてやっと彼女の家にたどり着くのだが、
木こりや兵隊が錆び付いて動けなくなっている間に、
実はドロシーによって祖母の魔女が退治されていた。
(この辺りは巻によって設定が違うので、
作者が途中で変更した可能性がある)
そして長い時間が経過した結果、娘は別の男性と既に所帯を持っていた。
ややこしいことに、この別の男性というのは、
木こりと兵隊の切り落とされた体のパーツを、
特殊な魔法でくっつけて作られた一種の人工人間みたいな存在。
「あなたたち両方と一緒に暮らせるようなものだし、私今とても幸せ」と言われ、
ブリキの木こりと兵隊は
「これが一番いいんだよ、自分たちには愛情がないんだし」と引き返すのだった。
なんというか、読み終わった後に「え?」という気持ちになった。
子供向けの童話だし、もともとギャグっぽい話だし、
あまり真剣に受け止めてはいけないもかもしれないけど、
それでもこの落ちはちょっと……。
あれだけ「心だ、愛情だ」とこだわっていた木こりは失恋(?)し、
そういうものに興味のなかったカカシの方には彼女ができたりとか、
変に恋愛に対して現実的なのは作者の趣味なんだろうか。