後味の悪い話

【後味の悪い話】クローン

891:本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 20:48:02 ID:8Ns5DymA0
おいらも後味悪かったショートショートでも投下。

主人公は、大財閥の御曹司のクローン。
大切な御曹司に万一の事があった場合、パーツのスペアを取るために用意されていた。
いろいろ条件を同じにしておくため、二人は兄弟のように育てられたが、
御曹司の方は悪い奴ではないが、無茶ばかり。小さい頃から腕を折ったり足を切ったり、
結局成人するまでに、クローンは手足や眼球、内臓などいろいろと持って行かれ、
すでにあっちこっちが作り物になっていた。御曹司はもちろん健康体。
クローンがいいかげん人生がイヤになっていたある日、カーレースに参加していた(か何か)
御曹司が、ついに頭をつぶした。急ぎ、クローンの脳の一部が移植される事に。
だが今度は、クローンはきっぱり断った。そんな事をしたら、今度こそお終いだ。
母親の目を見つめ、自分の人生を主張するクローン。しかし、母は説明する。
御曹司の脳は殆どが潰れており、結局はクローンの脳が全て使われるらしい。
それでは、今こそ自分は御曹司本人となり、健康な身体と、まともな人生を取り戻せるのか!
喜ぶクローン。だがその頭に、脳の情報のダウンロード装置が取り付けられる。
装置の中には、万一の為に保存してあった御曹司の全記憶。
今から、クローンの脳は、全て御曹司の記憶に書き換えられてしまうのだ。
泣き叫ぶクローンに、母親はにっこりと微笑む。
「さようなら。今まで、ご苦労さまでした。」

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