後味の悪い話

【後味の悪い話】山岸涼子「着道楽」

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62: 1/2 2014/04/30(水)00:33:05 ID:XE9SVa81L
山岸涼子 「着道楽」

着物が大好きな主人公、
雨上がりの道を散歩しながら自分の着物の趣味と
着物にまつわる思い出を回想しながら話は進む・・・

とここまでならただの着物うんちく漫画なんだが
後半から雲行きがおかしくなる。

今日は母の十三回忌。
着物の事を色々教えてくれた母の法事だからお気に入りの「桜の着物」を着ていこう。
ちょっと派手かもしれないけど白地に薄墨の桜だから変じゃないよね(はぁと

と主人公がモノローグしてるところへ継母(父の後妻)登場。
今日は母の十三回忌と同時に父の三回忌でもあったためやって来たのだ。

元々妾だったのを後妻に入ったたため主人公とは折り合いが悪く
また着物の事でもしょっちゅう張り合っていた。

登場するなり主人公の格好を笑う継母。
えっ?と思い主人公が自分の格好を見ると浴衣に綿入れとダサダサのコーディネートをしてる。

着物のセンスが自慢の自分なのにこんな恥ずかしい格好じゃとても人前になんか出られない・・・
でもまだ時間があるから着替えに変えればいい、と思うが
ちょっとした散歩のつもりだったのに
いつのまにか法事の始まる時間になっており寺の門前にまで来てしまっていた。

「もう諦めなさい」と継母が主人公を無理やり引っ張り寺に上げようとする。
それを振り切って大慌てで家に帰って着替えようと思う主人公だったが
帰る途中でうっかり寺の卒塔婆を持って来てしまったのに気付く。

「やだ!こんなもの持って帰ったらばちがあたる」と大慌てで返しに戻り
今度こそはと家路に着くが何故か手には骨壷が・・・

「こんな不吉なもの持って帰れないから戻してこないと!」とまたまた寺に戻る主人公。
皆に気付かれないように寺の廊下をこっそり走っているともう法事が始まってて
皆でご馳走を食べてる音が聞こえる・・・ああ、早く桜の着物を着ないと・・・

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63: 2/2 2014/04/30(水)00:34:00 ID:XE9SVa81L
―場面は変わって食事中の寺の部屋の中。

姉妹らしき女性二人が会話をしてる。

姉「あなたさっき着物もってたけどあれどうしたの?・・・まさかネコババしたんじゃないでしょうね?」
妹「人聞きの悪い子といわないでよ。形見でもらったのよ」
姉「ちょっと、あの桜の着物は叔母さんが死装束にしてくれって遺言だったでしょ!」
妹「だって80歳の大往生だってのにあんな派手な着物なんておかしいってw」
姉「馬鹿!あれは叔母さんのお気に入りの着物なのよ。バチ当たるから」
妹「だっていい着物だし燃やしたら勿体無いじゃんwww」
姉「叔母さんは着物については一家言ある人で私が子供のときに後妻さん(継母)と法事の席で
  人目も気にせず大喧嘩したぐらい着物への思い入れが強い人なのよ!」
妹「はぁ?私その頃生まれてないから知らないしwww」

と、ここでこの集まりは法事ではなく葬式だと分かる。
そして姉妹から「叔母さん」と呼ばれてる人が主人公の事であり
亡くなったのは主人公だという事も分かる。
その祭壇には老婆になった主人公の遺影が飾ってあり・・・

姉「とにかく叔母さんの着物への執着は物凄いの。そんなんじゃ叔母さん成仏できないわよ・・・」

姉「本当にバチ当たっても知らないわよ!
  ・・・だって私、外の廊下を叔母さんがウロウロしてるような気がするもの」

ラスト、主人公が卒塔婆や骨壷をたくさん抱えて空ろな顔をして

「桜の着物・・・桜の・・・まだ一度も袖を通してないのよ・・・あれを着なくちゃ」

と、廊下をいつまでも彷徨い続けていた・・・

ただの着物うんちく漫画だと思って読み進めていたらこれだよ・・・

前半までの若い主人公の着物についてのうんちくモノローグは
死んだ主人公の着物への執着心でしかなかったという凄いオチ。
後半の卒塔婆や骨壷持ってきちゃう描写に至っては主人公は大真面目だが見てる分にはほとんどギャグw
てか前半と後半との温度差がヒドスwww

前半の着物知識部分だけでもまったく問題なかったのに
なんでこんなホラー入ったオチにしたんだろうか・・・

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64: 名無しさん@おーぷん 2014/04/30(水)09:40:49 ID:lVrZXA5HO
乙でした。

だって山岸凉子だもの、普通の話だと思ったら実は…ってのは当たり前っちゃ当たり前。

悪夢特有の、自分だけ変な格好とか自分だけ取り残されてる感がたまらなくリアルでうわぁ…ってなったの思い出したorz

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