後味の悪い話

【後味の悪い話】平岩弓枝の小説

268: 本当にあった怖い名無し:2008/01/22(火) 01:21:58 ID:VYyT0ymh0
平岩弓枝の小説から。
江戸時代、役人の主人公は逃亡中の犯人を捕まえるために
身分を隠して、ある飲み屋の女に近付く。
彼女は犯人の元恋人だった。女を張っていれば犯人が現れると踏んだのだ。
人に騙され続け苦労してきた女は、最初は主人公のことを怪しむが
やがて主人公のことを本当に「自分を心配してくれるいい人」だと信じるようになる。

「今まであたしは色んな人間に騙されてきたけど
あなたのことは信じていいんだね」と喜ぶ女に対して
主人公は罪悪感を持ち、本気で彼女を大事にしたいと思うようになる。

だが、ふとしたことから主人公の職業がバレてしまい
「お前もあたしを利用しようとしただけなんだ」と女は嘆き悲しむ。
そして、「元彼(逃亡中の犯人)が現れて
一緒に逃げようと言ってくれた。だから、彼に大事なお金を渡した。

待ち合わせの場所に自分は行くが、お前には教えない。
彼はきっとお金を持って待ち合わせ場所に現れるはず。
最後にもう一度だけ人を信じようと思う」と置手紙を残して姿を消す。

しかし犯人の男は待ち合わせ場所に向かう途中で
何者かに殺されてしまい、死体があがった。
女がどんなに待ち続けても、犯人の男が現れることは無い。

主人公は何とかして、そのことを女に知らせたいと思うが
もはや女の居所を知るすべはなく
「最後にもう一度だけ人を信じようと思う」という女の言葉だけが
主人公の頭の中をぐるぐると頭を回って、おしまい。

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