31: 名無しさん 2014/04/15(火)15:41:38 ID:V5YnnyoS1
星新一「鏡」
山奥の村に美少女がいたが、貧しいのでボロを着せられ朝から晩まで泥まみれで働いている。
貧しい村では美しさより勤勉さの方が大事なのだ。
行商人たちの、あれは汚れを落とせば美人になる、という話が殿様の耳に入り、この金で親を納得させて表向きは女中奉公として連れてこい無理強いではあとが厄介だ、と御下命。
少女を町に連れてきて風呂に入れ、上等な着物を着せて化粧させると大変な美人になった。
鏡を与えると覗き込み、嬉しそうだ。
貧しい村には高価な金属鏡などないし、水鏡をしようにも顔が写るほど大きな器もないし、遊ぶ暇なんかないのだ。
礼儀作法を教えて殿様の前につれて行くと、殿様は大層喜んだ。
しかし上等な部屋を与えられ、仕事も免除され食っちゃ寝生活で部屋から出ず日にも当たらず、鏡を覗き込むだけの娘は太って顔つきも締まりがなくなった。
ろくに挨拶もせず鏡を覗き込む娘に殿様はあきれ、村へ返すよう行商人に御下命。
行商人は鏡を取り上げ、貧しい村に戻りたいのかと娘を脅して妻にした。
着物は売り払い、髪結いにも行かせない。
そのうち子供が生まれ、それなりに暮らしたそうだ。
32: 名無しさん 2014/04/15(火)17:29:56 ID:0MfaFoZdz
全ては行商人の手のひらの上で…ということか