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275: 名無しさん@おーぷん 2014/08/19(火)11:12:29 ID:vaQHz9OqI
高橋葉介「夢幻外伝」から
駅前広場。
「あなたぁ、ちょっと坊やをお願いね。すぐ戻りますから」
若い妻から乳母車を託された初老の紳士。
まあかわいい!お孫さんですの?と話しかけた若い女。
「ははは、いや実は息子でしてね」
「随分お若い奥様ですこと、きっと本命の恋人と二人であなたの事を嘲ってましてよ。まあお聞きくださいませ。よくご覧なさい、あなたに似ているところがごさいまして?」
紳士は赤ん坊を絞め殺した。
人待ち風情の少女。
若い女が話しかける。
「恋人を待っているのね?」
「ええ、坊っちゃま…彼と私、駆け落ちするんです」
「まあ、お幸せに…でも彼、ちょっと遅くはなくて?いいからあたしの言うことをよくお聞き、あなた捨てられたのよ可哀想に」
少女は線路に飛び込み、轢死。
風呂敷包みを下げた老婆。
若い女が話しかける。
「重そうですわね、お持ちしましょう」
「ハイハイどうも、ご親切に。でも大丈夫ですじゃ。孫への土産の餡ころが入っておりますのじゃ」
「まあ、お孫さんに会いに行かれるの」
「ハイハイ、目に入れても痛くない可愛い孫ですじゃ。嫁がまた親切で、ワシは幸せですじゃ」
「でも本心では、早く死ねばいいと思ってますわよ。息子さんもお嫁さんに丸め込まれて…あたしの言うことをよくお聞き…お孫さんも小さいうちはいいけど、大きくなったらあなたを邪険に扱いましてよ」
老婆は首を吊った。
女を追っていたこのシリーズの主人公・夢幻魔美也(女癖の悪い美青年。オカルト能力あり)、物陰で女を捕まえ唇を奪う。
長いキスのあとで女を抱き締めたまま、魔美也は言う。
「哀れな女だ、何度も裏切られ傷つけられて…口から出る言葉は全て毒になった」
「………そうよ、あたし可哀想なのよ。どうかあたしを愛してると言って」
「お前なんか嫌いだ」
魔美也、後も見ずに悠然と去る。
女、絶叫し泣き崩れる。
翌日、魔美也は「食あたり」で寝込んでいる。
下宿屋の娘がぶつくさ言いながらかいがいしく世話をやく。
娘の話では、近くの川で女の水死体があがったそうだ。
まだ水も冷たいだろうに、と同情しながら、きっとあんたみたいないい加減な男に捨てられたのよ、あんた絶対ろくな死に方しないから、と毒づく。
魔美也、珍しくやり込められて
「あいつが一番、口に毒がある…」
とつぶやく。
276: 名無しさん@おーぷん 2014/08/20(水)13:48:05 ID:mZdjJl88V
>「お前なんか嫌いだ」
がかなりスッキリ感じられたけどな。一ページの6割ぐらいの大ゴマで
魔実也がこれでもか、っていうくらいの敵意を込めて言うのがカタルシスだったし。
女も女で無防備な状態でカウンターパンチをもろに喰らったような感じで、
ざまぁwwwとか思ったなぁ。
277: 名無しさん@おーぷん 2014/08/21(木)19:00:27 ID:0WWfhtUXH
同じくざまぁwとしか思わなかった。
女に感情移入すると後味悪く感じるのか?