後味の悪い話

【後味の悪い話】ふしぎの海のナディアのエピソード

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167: 本当にあった怖い名無し 2012/01/22(日) 19:47:29.85 ID:7odIocuL0
今から紹介するのは20年程前にNHKでゴールデンタイムに放送されたアニメ番組です。
その筋では有名なトラウマネタなのでご存じの方も居られると思います。
※アニメネタなので嫌いな人はスルー推奨

ふしぎの海のナディアの1エピソードより

舞台は19世紀頃。
古代文明のオーバーテクノロジーを用いて世界征服を企む悪の秘密結社ネオアトランティスと、
それを防ぐ為に潜水艦ノーチラス号に乗り込んで戦い続けているネモ船長一派の物語。
主人公の少女ナディアと彼女に惚れている少年ジャンは海で遭難したところをノーチラス号に助けられ、
行動を共にする事になる。

ある日、ノーチラス号は戦闘で機関部に損傷を負い、修理の為に浮上する。
だが、ネオアトランティスの策略によりそこに待ち受けていたアメリカ艦隊から攻撃を受けてしまう。
損傷で満足に動けないノーチラス号は一方的に攻撃を受け続けるが、なんとか潜航し攻撃から逃れる事が出来た。

だが、難を逃れたのもつかの間、元々の損傷に加え攻撃を受けた事で機関部から有毒ガスが発生してしまう。
苦渋の決断として、ネモ船長は被害を広げない為、取り残された乗組員ごと機関部を閉鎖する事を決定する。
取り残された乗組員の中には、ナディアやジャンと仲のよかった機関士のフェイトも含まれていた。

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168: 本当にあった怖い名無し 2012/01/22(日) 19:47:36.78 ID:7odIocuL0
フェイトを助けたいジャンは換気ダクトを通り抜けて機関部まで行こうとするが、最後の扉の前で
それ以上進むことが出来なくなってしまう。
ジャンは機関長に扉を開けるよう懇願するが、それは助けに行ったものがガスに汚染される事を
意味するため聞き入れてもらえない。
浮上してガスを抜けばなんとかなるかもしれないが、それは出来ないと機関長は言う。
(オーバーテクノロジー同士の暗闘が白日に晒される、
無防備になり結局はネオアトランティスの餌食になる等諸々の理由によると思われる)

扉の向こうでやり取りを聞いていたフェイトは気丈に振る舞い、船長の判断の正しさを主人公達に伝える。

まだ生きているのになにも出来ない事に納得がいかないナディアは船を捨てて降伏してでも助けるべきだと
主張するが船長は答えない。
ナディアは仲間まで殺すのか、人殺し!と船長を詰るが、他の大人から、一番辛いのは船長だと窘められ、
悲しみのあまり泣き出してしまう。
周りの大人やジャンも、俯いて黙ってしまう。

その時また、扉の向こうからフェイトが穏やかに話しかけてくる。
「この船の科学はまだ人の手に余るから、人手に渡ってはいけないんだ」
「船長を責めないでくれ、彼が居たからオレはこの船に乗ったんだ」
「ネモ船長、アトランティス打倒を頼みます」
「ジャン、ナディアと仲良くしろよ、オレの(作った)花を送ればバッチリさ」

フェイトの名を呼び嗚咽するジャン。

169: 本当にあった怖い名無し 2012/01/22(日) 19:47:43.59 ID:7odIocuL0
やがてガスが充満した事を示す警報が鳴り響く。

扉の向こうからは先ほどとは打って変わったフェイトの断末魔の絶叫が響く。
「いやだ、オレはまだ死にたくない!」
「オレにはまだやりたい事が残ってるんだ!」
「オレにはまだ…」

そして沈黙が訪れる。

ジャンはフェイトの名を呼びながら扉を叩き、嗚咽する。
周りの大人達はなすすべもなく、俯いて立ちすくむ。

そして、そこから数時間以上経過し、ようやくアメリカ艦隊の撤収を確認出来、ノーチラス号が
浮上したところでこのエピソードは幕を閉じます。

170: 本当にあった怖い名無し 2012/01/22(日) 19:47:48.44 ID:7odIocuL0
さて、上記の生々しい死にざまだけでも十分トラウマモノですが、後味の悪い部分というのは実は別にありまして。

それは、件のアメリカ艦隊が最後まで真相に気付かないままエピソードが終わっているという部分です。
しかも彼らは自分が主人公側に酷い事をしている事に気付かないばかりか、これまでネオアトランティスに
沈められた商船や軍艦の仇討のつもりで正義の怒りに燃えて攻撃をしているのです。
アメリカ艦隊に乗り合わせていたナディアとジャンの知り合いに至っては、遭難したままの彼らの敵討ちとすら思っています。

策略があったとはいえ、誤解したまま敵対した結果として人が死に、誤解が解かれないままというのは
非常に後味が悪いと思いますが、如何だったでしょうか?
(ちなみに当時多感な年ごろだった私は、生々しい死にざまと共に後味の悪いモヤモヤをかなり引きずりました)

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