後味の悪い話

【後味の悪い話】後輩A

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551: 後輩A:2008/02/29(金) 04:06:08 ID:Gi1FvkA70

会社の後輩Aの話。
Aの口癖はこの会社は間違ってる。
話を聞いてみると、まあ判らなくはないが会社の規模や
業務内容を考えてみれば、ぶっちゃけお門違いの内容だった。

そして同僚達の仕事を批評するのが大好きだった。
話してみて正直、胡散臭いタイプだなというのが俺の感想。
直接関わり合いのない俺は、適当に流しながら相手をし日々送っていた。

そんな俺がある時、Aと仕事を組む事になってしまった。
ある程度予想はしていたが、その予想を上回る程Aは無能だった。
Aは自分の理屈を語る事は得意だが、語る内容の1/10も行動
と実力が伴わない男だった。

それでいて持論だけはもっともらしく語り、それへの反論は一切認めないA。
aをbにしてくれと言うと、勝手にaをcにしてまい問題を発生させる。
そんな一番たちの悪いタイプだ。
しかもそれに問題がありクレームとなってもAはどこ吹く風で、
独りよがりの理屈を話すA。

怒りを抑えつつ、aをcにする事による問題点等をAに穏やかに説明した。
Aはそれを理解出来ないのか、したくないのか、
そんな俺にAは独りよがりの理屈で答える。
「しかし、現実に問題が発生しているだよ。じゃあ、
逆にどうすれば、aをcにして発生した問題を解決出来ると思う?」
と聞いてみた。

その回答にに俺は呆れ返った。
内容を要約すると、
「自分が正しいから失敗ではない。
クレームがあるとしたら相手側に問題があるのだ」
との事だった。
そして、自分がどれだけ正しいかを繰り返す。
さすがにうんざりしてきた。

552: 後輩A:2008/02/29(金) 04:07:29 ID:Gi1FvkA70
それでも問題は解決しなければならない。
俺は上司の許可を得て、同僚Bに応援を求めた。
Bは自分を前面に押し出してくるタイプでは無く
基本的に無口だが仕事振りは堅実で信用の置ける男だ。

そう、Aとは対極に位置する男だった。
それからはAの尻拭いの為に奮闘の日々。
そんなある日それは起こった。
Bの仕事を見ていたAが、Bの仕事振りをいつも調子で論評し始めたのだ。
「Bさんの仕事の仕方は効率が悪くて云々」と
それはいつもの如く独りよがりの理屈、かつ上から目線の発言だった。

それを聞いた時、俺はキレた。

「いい加減にしろ。この口先ヤロー。
テメエのへ理屈はもう聞き飽きたわ!
誰の尻拭いしてると思ってんだ。
テメエのご立派な発言の半分でいいから真っ当な事をやってみろ。
あれが悪いここが悪いって言うだけの役立たずが!

自分の立場と能力を考えて喋れや。
みんな間違ってる、判ってないだと。
みんながそう言うなら、テメエの方が間違ってるとは思わねえのか?
そんなにご立派ならそれを評価してくれるとこにでも行けや!
だが、何処行ったってテメエなんか・・・」

553: 後輩A:2008/02/29(金) 04:09:52 ID:Gi1FvkA70
一気加勢に怒鳴る俺を止めたのはBだった、
Bは俺の肩に手を置くと、無言のまま首を振った。
そして一言「無駄」と言う。

俺はBに怪訝そうな視線を送り、それからAを見た。
俺のあまりの剣幕に蒼白となっていたA。その顔が赤く染まっていく。
「この会社はおかしい。俺のやり方にそぐわないのが問題なんだ云々」
絶叫し始めた。

もううんざりだった。俺はAの喉口を掴み黙らせると、
「お前はもう帰れ、上司には俺が話をしておく。お前のお守りを
する程暇じゃねぇんだ。俺はお前の保護者じゃねぇんだよ」
と、静かに言った。

Aが消えた後、上司に電話を入れた。
仕事からAを外す旨を報告する。
上司の反応は、やっぱり無理か、とういう感じだった。
上司もAに問題がある事は認識し、扱いに苦慮してるとの事だった。
(そんなもん、あんたの仕事だろ。なんとかしろよ)

とは思ったが、まあ、首を切るにもそう簡単にはいかない世の中だし、
俺自身Aと関わってみて心底うんざりさせられていたので
上司に少し同情しつつ電話を切った。

554: 後輩A:2008/02/29(金) 04:10:23 ID:Gi1FvkA70
振り返ると、Bが缶コーヒーを俺に手渡しながら
「お疲れ」
と、休憩所へと誘ってきた。
喫煙室で一服しながら、BからAの話を聞いた。
それによるとこれまでさんざんAはさんざん失敗を繰り返していたらしい。

それがあまり表面化しなかったのはBらがそれをフォローしていたかららしい。
「無駄」と言ったのは、いままで色々と指導やアドバイスをしたが、
それが無駄に終わったが故の発言だったのだ。
「しかし、あそこまで言うんなら、うち辞めるてその実力が評価される
とこ行きゃいいんじゃねぇのか?」

吐き出した煙をぼんやりと眺めながら言う俺に。
「彼にその覇気はないよ」
Bの言葉が静まりかえった深夜の休憩所に響いた。

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555: 後輩A:2008/02/29(金) 04:10:50 ID:Gi1FvkA70
そして、後味の悪い話。
あれから6年経ったが、未だAは会社を在籍している。
周りは色々と変わっていったが、Aは6年前と何も変わっていない。
さすがに部署は移動となり、閑職というか雑用係のような存在である。

みなから冷ややかに対応されるA。
新人や新しく来た派遣に自分が如何に正しいか、そして他の人間が
どれだけ間違っているかを語るA。
そして2、3ヶ月後、新人や派遣もAがおかしいと気付き距離を置き始める。
それを毎年繰り返すA。

6年という歳月、小学生なら入学し卒業する程の月日だ。
それを無駄に過ごしてきたA。
自分を省み自身の向上を図る事もなく会社に粘着し続けるA。
そして、Bの言葉を思い出す。
「覇気がない」
確かに、そうかもしれないと思う。

別の環境を選び頑張る気持ちはなく、ただ自分の理屈の拘り執着するA。
その場に粘着し新しい世界に目を向ける事も無く、ただ不平を述べている
のがAにとって楽なんだろうなと思う。

Aを会社で見かける度に悲しいというか、切ない気持ちになる。

557: 本当にあった怖い名無し:2008/02/29(金) 06:21:36 ID:kTay0oX/O
>>555
読みやすくてよかったよ。

561: 本当にあった怖い名無し:2008/02/29(金) 11:01:31 ID:K0D3sJd6O

面白かった

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