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752本当にあった怖い名無し2021/11/03(水) 11:47:34.25ID:kDbD45B70
星野之宣の短編漫画「セス・アイボリーの21日」 長文注意
研究者達の乗ったシャトルが事故に遭い、原始の森が広がる未知の惑星に不時着した
ただ一人の生存者である若い女は救助要請の信号を発したが、近くの中継点に届くまでに18日、救助となると更に3日はかかる
食料は僅かしかなく、女は辺りを調べ始める
異変に気づいたのは2日後だった
鏡の中の自分が10は年を取っていたのだ
放射能の影響なのか、この星は植物も成長が速い
このままでは救助が来る前に自分は老衰で死んでしまう
どうしても地球に帰りたい女は法律違反は承知の上で、無事だった研究機器を使って自分の家族(クローン)を作ることにする
そして記録をつけ始めた
「私はセス・アイボリー」
クローンが生まれて母となった女は、娘が少女になる頃には老婆になっていた
限られた時間で色々教えなければいけないので厳しく接したが、腹をすかせた小さな獣の子に2人で木の実をあげたりと、
時には親子らしいささやかな時間もあった
不時着から12日目に最期の時が訪れ、女は成長した娘に謝り、「哀れな子、私を許してくれ」と泣いた
ひとりきりになった娘は15日目も救助が来なかったので、母の言いつけ通りクローンを作り、自分も母になった
遺された記録ディスクを聞いて、全てを知る
母の計算通りなら、自分が死ぬまでの間に救助は来ない
圧縮学習機に繋がれ泣く赤ん坊を見て、「自分もやられたんだ、泣くんじゃない!」と感情を爆発させる女
外に飛び出し赤ん坊を崖から落とそうとするが、出来ずに泣き叫ぶ
「ママ、私には過去もない、未来もない、数日間の一生を生きるだけなんて…!」
753本当にあった怖い名無し2021/11/03(水) 11:51:30.98ID:kDbD45B70
数日後、女は老婆になり、赤ん坊は少女になった
2人で森で薪拾いをしていると、突然飢えた巨大な獣が襲いかかってくる
女は獣の額にある模様(傷?)に見覚えがあった
かつて母と餌をあげた、あの獣の子だった
咄嗟に身を投げ出し、娘を庇う女
「ママーッ」と娘が悲鳴を上げるなか、獣に引きずられていく女は小さく「ママ」と呟いた
あとには欠かさず身につけていた記録装置と、ディスクが残されていた
21日目、救助隊がやってきた
不時着した時と変わらぬ姿の女はセス・アイボリーと名乗った
どんどん小さくなっていく星を船窓から見つめ、女は涙を流した
おわり
短編の短さでもの凄い作品だけど、死に方含めて二番目がとにかく可哀想
756本当にあった怖い名無し2021/11/03(水) 18:24:25.66ID:wtuCBqtH0
>>753
なんか手塚治虫が描きそうな短編だな