後味の悪い話

【後味の悪い話】死ねない男

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285:1/2:2012/07/19(木) 22:53:45.21 ID:WhjRfkER0
外国の民話

あるお人よしな男が善行の酬いとして「入れと命じた物が何でも飛び込んでくる魔法の袋」を手に入れる

男は魔法の袋を使ってその後も善行を重ね、悪魔を懲らしめたりする
ある時、魔法の袋に死神を閉じ込めてしまうと、世界中から「死」というものが無くなる

初めは天国かと思われた死の無い世界だったが、死を望む者にとっては地獄の様な世界であった
そのことに気が付いた男は罪悪感を感じ、死神を開放し、自分を殺してくれるよう頼む
しかし死神は男を殺さずに去ってしまう
その後、死神は他の者はとり殺すが、男の前にだけは姿を現さなかった
結果、男は不死身になってしまう

やがて男は自らの死を望み、世界の果てにある地獄の門へと辿り着く
地獄に入れてくれるよう悪魔に懇願するが、悪魔は男を恐れて地獄に入れようとしない
男は代わりに天国への道を教えることを悪魔に要求し、ついでに地獄に幽閉されている亡霊数百人を救い出す

286: 2/2:2012/07/19(木) 22:54:40.83 ID:WhjRfkER0
男は亡霊たちを引き連れて天国を目指し、長い旅の末に天国の門へと辿り着く
天国へ入れてくれるよう天使に懇願すると、天使は「お前達の中の一人を除き、天国へ入ることを許す」と言う

男は数百人の亡霊たちに天国に入るよう促し、
亡霊の一人に魔法の袋を渡し、天国の中から魔法の袋の力で引き入れてもらおうとする
しかし、いくら待っても天国に引き入れられない
天国とは浄化の場所であるため、男と約束を交わした亡霊は
天国に入った時点で約束を忘れてしまっていたのである

そうとしらない男はただひたすら待ち続ける
永い時が経ち、この世に男の存在を知る者が誰一人居なくなっても待ち続けた
ようやく諦めた男はその場を立ち去る
男は今もどこかをさ迷い続けている

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