後味の悪い話

【後味の悪い話】ネット小説「空が落ちる」

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149: 本当にあった怖い名無し 2015/09/30(水) 13:35:04.27 ID:u9xRcq5Ny
素人ネット小説で昔好きだった書き手さんが描いてた話。
鬱作品と知らずにわくわくしながら連載読んでて軽く凹んだ。

(1/2)
主人公は明るく快活な少年。12.3歳くらいだったはず。
ある日ちょっとした事故?で怪我をして入院しなければならなくなった。
それがちょうど夏休みに入ったばかりだったので、つまらない病院生活にふさぎ込んでいた。
唯一の娯楽は違う病棟にある図書室に通う事だったが、ある日図書室の側に屋上に続く階段を見つけた。
そして屋上で自分より少し年上であろう少年と出会い、それからはそこで彼と話すのが楽しみになる。
彼は淡い色の髪や瞳、美しい儚げな容姿や優しい造作で、少年は彼を「天使」と呼んで慕っていた。

天使はいつも少年の話や愚痴を親身に穏やかに受け止めてくれて、少年も彼の声や笑顔が大好きで
いつも家族や友人の事を大げさに話したり、遊びに行けない愚痴を聞いて貰ったりしていた。

150: 本当にあった怖い名無し 2015/09/30(水) 13:36:00.48 ID:u9xRcq5Ny
(2/2)
しかしある日天使と喧嘩をしてしまう。自分の好きなものについて語っていた時に、
普段自分の事を余り話さない天使が僕は「空」が大好きなんだよと少年に話して聞かせた。
もうすぐ退院天使と会えなくなるのではと不安でぴりぴりしていたのと、彼にちょっと恋心?
のようなものを抱いていた少年はつい意固地になって自分は「空」なんか大嫌いだと怒る。
「真っ青に晴れても外で遊べないし意味がない」「空なんて落ちてきて無くなっても皆困らない」
悲しげな天使を尻目に病室に戻れば、少年は気まずくて退院の日まで屋上に行く事はなかった。

天使との喧嘩のきっかけを作った空なんて、と本当に空を憎く思いながら最後の日を迎える。
仲直りするべく屋上に向かうが、その病棟はざわつき看護婦や医者が慌ただしく走り回っており
「空が!」「空が落ちたぞ!」と叫び声が届く。驚きながらもあの憎っくき空が本当に

消えてしまったのか!?とわくわくしながら、窓を開けて空を仰ぐ。
しかしそこにはいつものように悠々と青空が広がっており、声に導かれ視線を落とせば
血だけの手足があらぬ方向に曲がった「天使」が横たわっていた。

頭が真っ白なまま少年は退院をし。久々の母親の手料理を食べながらやっと我に返り、
天使の笑顔や血に汚れながらも美しかった顔を思い出し
自分は天使に話を聞いて貰うばかりで、何故天使の話を聞いてあげられなかったのか。
重い病気の患者の病棟と知りながら、何故何も聞かず励ましてやる事をしなかったのか。
自分は彼の名前も知らなかったのではないかと、後悔の念に明け暮れるのだった。

タイトルはそのまま、「空が落ちる」。童話も書く人だったので和やかな前半に騙された。

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