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717:本当にあった怖い名無し2020/05/10(日) 16:26:35.04ID:GEdFhFLc0
タコ部屋の話があったので短編小説の「監獄部屋」
大正時代の北海道。水力発電の土木工事としてタコ部屋で酷使されている主人公。
同じ労働者の山田から、近々政府の高官が視察に来るという話を聞かされる。
これまでの地元役人の形だけの視察と違い、現場の悪評を耳にした野党議員の命で役人が視察にくるらしく、やっと自分たちも救われるとタコ部屋労働者たちは歓喜する。
反対に現場責任者たちはこれまで拷問や殺人なんでもありでやってきたため、自分たちの悪事がばれたらただじゃ済まないと、連日対策会議を開いている。
そして視察当日。フロックコートに山高帽やシルクハットの一団が工事現場に訪れる。
労働者は一同に集められ、何か現状に不平不満は無いか、希望することは無いか、何でも話すように言われる。
元々早稲田を出て過激派の運動にも参加していた山田はここぞとばかりに、とうとうと現場の惨状を訴える。それに呼応するように次々に他のものも不満を訴えた。
ひとしきり不平を訴える者が出尽くし、最後のものが今までと同じような訴えを行っているとき、役人がさっきまでの態度を豹変させた。
「黙りやがれッ、七ッくどいッ」
視察にきた役人たちは実は別のタコ部屋から来た現場責任者たちだった。本物の視察が来る前に告発者を一掃するためにひと芝居売ったのだった。
かくして山田を含め告発した者は全てこれまでの脱走者などとどうように「処分」された。
一週間後、本物の視察団は、気抜けした被虐待者たちから疑惑に満ちた目を向けられただけで、何一つ不平も希望も聞き出せなかった。
718本当にあった怖い名無し2020/05/10(日) 16:58:04.07ID:pqWuxSzJ0
日本探偵小説全集で昔読んだやつだ
ゴーゴリ「検察官」を思い出した