後味の悪い話

【後味の悪い話】ホラー漫画「月だけが見ていた」

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537: 1/32020/08/28(金) 18:25:10.46ID:ouWyFjGg0
ホラー系少女漫画であった話
作者は大橋薫か楠桂のどっちか
タイトルは「月だけが見ていた」だったと思う
ある満月の晩に森の奥の古い洋館にて4人の少女たちがそれぞれの抱える『秘密』を打ち明けていく話

・1人目の少女A
Aには妹がいるが姉妹仲は良好とはいえなかった
そのきっかけとなったのは父から譲り受けた懐中時計だった
「妹と仲良く使いなさい」と言って渡されたものだったが、Aは決して妹には使わせてやるまいと通学鞄にしまいこんで独占していた
ところがその懐中時計がある日忽然と消えてしまう
教室でその異変に気付いたAは羨ましがった妹が抜き取ったに違いないといきりたち、帰宅するなり妹を問い詰めた
そして頑なに否定する妹の態度に苛立つあまり煮え立ったヤカンのお湯を彼女めがけて浴びせかけてしまった
結果、妹の背中にはひどい火傷の痕が残り、彼女はAに対して会話もままならないほど萎縮してしまうようになった
懐中時計の行方は今もわからない
これがAの抱えている『秘密』だった

・2人目の少女B
Bには4人の中で唯一恋人がいた
ところがある日「他に好きな人ができたから」と一方的にふられてしまった
鬱ぎ込む日々を送っていたBはある日学校の廊下で恋人とのペアリングを自慢している女子生徒を見かける
その指輪は彼が自分をふってからつけはじめたものと同じだった
激しい嫉妬心に駆られたBは帰り道で女子生徒を襲い、握りしめた石でその指をペアリングごと叩き潰した
目撃者はおらずBの犯行は通り魔の仕業として処理された
復讐は果たせたと思っていたBだったが、後日その女子生徒の交際相手が彼ではなかったことが判明する
嫉妬心に駆られるあまり無関係の人間に傷を負わせてしまった
これがBの抱える『秘密』だった

538: 2/32020/08/28(金) 18:26:37.97ID:ouWyFjGg0
・3人目の少女C
Cはあまり素行がいい生徒とはいえなかった
そのため教師から呼び出されることがよくあった
その日も呼び出しを喰らって職員室を訪れたCは、無防備にも担任の席に置かれた鞄から封筒がはみ出しているのを発見する
席の主は不在なうえ周りの人影もまばら
それを見たCは何かにつけて口うるさい担任を少しばかり困らせてやろうと封筒を抜き取って持ち帰った
その封筒に入っていたのは修学旅行の積立金だった
こんな大金を無くしたとあっては少し困らせるどころでは済ませられない
そう思い直したCは翌日こっそりと担任に返すことに決めて封筒を通学鞄に忍ばせておいた
ところがいざ放課後になって取り出してみると中身が空になっていた
Cはもはやどうすることもできなくなり、親の付き添いのもと担任にすべてを白状した
結果、積立金はCの親が弁償することとなり、Cは表向き別件のものとして謹慎処分を受けることで事態は内密に処理された
これが関係者以外に初めて真相を明かすこととなったCの『秘密』だった

それぞれに『秘密』を明かしたA、B、Cは4人目の少女Dにも『秘密』を明かすよう促した
しかしDは屈託のない笑顔で「『秘密』なんてないよ」と答えるだけ
それを聞いた3人の顔つきがふと変わった
そして今日ここへ集まることにした経緯をDに向けて語りはじめた

きっかけはDの日記だった
Dはよく教室で日記をつけていたが、その内容に3人が興味を示すと鍵を掛けて決して見せようとしなかった
その日記帳の鍵がDのいない時に床に落としたことで開いてしまった
好奇心に駆られてこれ幸いとばかりに中に目を通した3人は絶句する
そこにはAの懐中時計も、Bの恋人も、Cの積立金もDが盗んだことを示す内容が記されていたのだ
すぐにでも問いただしたい衝動に駆られた3人だったが、自分たちに一切の落ち度がなかったともいえない
そこでD自身の口から事実を認める言葉が聞けたら許そうと思い、こうしてそれぞれの『秘密』を明かす場をつくったのだった

539: 3/32020/08/28(金) 18:28:00.77ID:ouWyFjGg0
しかし、Dは認めようとはしなかった
それどころか日記を読まれたことに憤る一方で懐中時計や積立金なんて知らないと声を荒げ
その胸元から下げたBの彼とのペアリングも父から貰ったものだと言い張り
そうして勢いあまって後ずさった拍子に床板を踏み抜いて落ちていってしまった
階下に叩きつけられたDは血溜まりを広げてぴくりとも動かない

下を覗き込んだ3人は静かに顔を見合わせると『最大の秘密』をつくることにした
人気のない森の奥で事切れた友人の死体を埋める3人を夜空に浮かぶ月だけが見ていた

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