後味の悪い話

【後味の悪い話】異能力を手に入れた兄妹のアニメ

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321:本当にあった怖い名無し2021/02/20(土) 11:48:13.29ID:2/yRkRoQ0
昔のアニメdoogieqooq fantomu
謎の光によって生まれた怪異や、異能の力を与えられた人々を巡る、オムニバス形式の作品
第七話「世に叶わぬ願い無し」は、「分解」という異能力を手に入れた兄妹のエピソード

建設業を営む父は、大規模な遊園地の建設を請け負っており、その完成予想図である模型を自宅に置いて、息子に「いつか遊園地が完成したら、一緒に遊びに行こう」と約束した
そんな父に憧れてか、息子である兄は幼くして物作りが趣味になって、色々な物を手作りしていた

小学生の時、兄と妹はキャンプ中に山の中で迷子になって遭難した
兄は小さな小屋を発見すると、そこで妹を休ませる
そして即興で「御守り」を作り、それを「必ず家に帰れる御守りだ」と言って妹に持たせ、
「絶対に助けを連れてここに戻って来ると約束するから、その御守りを手放さず、ここで待っていろ」
と言って、小屋の外へ出ていった
妹は兄を信じ、御守りを握り締めて待ち続けた
やがて、兄が連れてきた救助隊にって妹は保護される
必死に助けを求めて山の中をさ迷ったのであろう兄の憔悴しきった顔を見た時、妹は兄に対して密かに恋心を抱くようになり、その後何年も御守りを持ち続けるようになる

ある時、小学校で演劇が催されることになり、兄が悲劇の主人公役に選ばれた
兄は衣装を自作するくらいに演劇に意気込んでおり、父に「絶対に演劇を観に来る」という約束をさせた
しかし、父は約束を破って演劇を観に来なかった
舞台の上で公演中にそれを理解した兄は、深く傷付き悲しみ、目に涙を浮かべながら台詞に感情を込めて役を演じ続け、観客から「迫真の演技」と過大評価された
兄が家に帰ると、父の会社が請け負って建設中だった遊園地の計画が諸事情から頓挫しており、父の会社が莫大な負債を抱える事になってしまっていた
そのまま父は鬱を患い、やがて廃人と化してしまう

兄は「こんな物が無ければ!」と遊園地の模型に向けて手を降り下ろそうとするが、寸前で思い止まり、黙々と模型の細かいパーツを一つ一つ取り外して「分解」し始める
兄も心を病んでしまい、物作りではなく「分解」という行為に取り憑かれた異常者と成り果ててしまい、パソコンでも何でも分解してしまうようになる

それでも妹は兄を想い、献身的に寄り添って支え続けた

322:本当にあった怖い名無し2021/02/20(土) 11:49:10.83ID:2/yRkRoQ0
ある夜、町から謎の光が発せられる
その翌朝、兄妹の家で奇妙な現象が起こる
兄の目の前に出されたカフェオレが、カップの中でコーヒーとミルクに「分解」されたのだ
その現象に気付いた兄は、町にでて公園で子捨て猫を拾って来ると、妹に「面白いものを見せてやる」と言う
兄が念じると、子猫は兄の手の上で「分解」され、あらゆるパーツがバラバラになって死亡した
悲鳴を上げる妹
兄は笑い、「この世界には”いらない物”が多すぎる。いらない物は分解して捨てなければならない。
その為の力を、あの”光”が与えてくれたんだ!」という妄執を語る

それからというもの、兄は「いらない物」を探して町を徘徊するようになり、人間まで分解するようになる
妹は、そんな兄のことを心配し、兄の「いらない物探し」に付き添うようになるのだが、暴走しがちな兄を制止しようとするので、疎まれて暴力を振るわれる事もあった

323:本当にあった怖い名無し2021/02/20(土) 12:18:29.79ID:2/yRkRoQ0
ある夜、とうとう狂気がピークに達した兄は、家を飛び出し、頓挫したまま放置されている遊園地予定地へと向かい、そこに有る全てを分解しようとする
しかし、そこで人食いの恐ろしい怪異が出現し、兄に襲いかかる
兄は異能力で怪異を撃退しようとするが、何故か能力が発動しない

怪異「なるほど、能力を持っているのはお前ではなく、妹の方か」

そのまま兄は一方的にやられて重症を負い、絶体絶命
そこへ、妹が兄を探してその場に駆け付けると、異能力によって怪異を木っ端微塵に分解して倒してしまう

兄は怪異の魔の手から解放されて地面に倒れると、演劇の衣装姿の幼い頃の自分の姿の幻影を見た
幼い頃の兄の幻影は、演劇の主役を演じながら何処かへと去っていく
兄「待ってくれ!行かないでくれ!」
兄の声も空しく、幻影は姿を消す

兄「あの日、俺は自分の心を分解し、それまでの純粋だった自分を”いらない物”として捨ててしまったんだ。
だけど、本当は最初から気付いていた。本当にいらない存在なのは、俺が捨ててしまいたい物は、今のこの俺自身なんだって・・・」

兄は自分自身の分解を願った
そんな兄に妹が語りかける
「あの”光”は、兄さんではなく私に能力をくれていたのよ。
”兄さんの願いを何でも叶える”という能力を。
兄さんは、ただ願っていたに過ぎないの。全ては、私が行ったことなのよ。
私は兄さんを分解したくない。
だから兄さん、私を”分解”することを願って」

324:本当にあった怖い名無し2021/02/20(土) 12:25:19.49ID:2/yRkRoQ0
「そんなこと、出来るわけないじゃないか」
兄は涙を流し、我に帰る
「なんだか、長い間、迷子になってたみたいだ・・・」

「おかえりなさい」
妹も涙を流し、兄を抱き締める

ラストシーン
夜が明ける
御守りだけが落ちていて、兄妹の姿は無い

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