後味の悪い話

【後味の悪い話】竹本健治「ウロボロスの偽書」

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677:本当にあった怖い名無し:2013/10/06(日) 00:39:11.61 ID:JTnfQWN70
アンチミステリの代表作と言われる、竹本健治「ウロボロスの偽書」
一応ジャンルはミステリとなってるが、3つの話が入り組んだややこしい小説
凶暴な殺人鬼が登場する章、ミステリ作家の竹本健治が登場する章、
芸者が主人公のミステリ短篇連作の章に分かれている。

そして竹本がその「ウロボロスの偽書」自体を書いている、て設定になっている
凶暴な殺人鬼は竹本の隣の部屋に住んでいて作中の「ウロボロスの偽書」の原稿を改ざんしていたり、
芸者が「ウロボロスの偽書」を書きためていて、しかも作中作の人物のはずの芸者が竹本の前に現れるという
何が真実かわからない状態になっているんだが
その中に登場する、竹本と親しい綾辻行人と小野不由美という夫妻関連の話が後味悪かった

綾辻というのはミステリ作家で、島田荘司という先輩の作家が連続殺人犯の犯人かもしれないと疑い
盗聴器つけたり女装して尾行したり、といろいろ行動していたことが判明するんだが、
終盤になって、独自に捜査を行っていた妻の不由美が殺されてしまう
そこで島田が探偵役となっていろいろ推理を進めていくが
その数日後、竹本や綾辻の友人のホラー作家の友成純一という人物も殺され、綾辻は失踪してしまう。
真相はというとどうやら不由美を殺したのは友成らしく、島田がした推理を元に綾辻が復讐のため友成を殺したらしい
とまあここまでならまあまあ後味の悪い話で終わるんだが

このあと、実は催眠みたいなもので誰かが操っていたのではないかという話になり、誰でも犯人でいいじゃないか、てことになり、
なぜか終盤に自殺したと思われた綾辻や、死んだはずの不由美が現れて、登場人物全員で
これもみんな作者の竹本が悪いのだから作者を殺せばすべて解決、ということで竹本は殺されてしまう。

679:本当にあった怖い名無し:2013/10/06(日) 01:06:40.87 ID:JTnfQWN70
>>677で一応終わりだけど補足

なんかグダグダで終わったなあ、と思ったらこの後あとがきがあって、作者の竹本が
「というわけで作中の竹本は死にましたがその作品を書いた作者である竹本は生きてます」
というようなことを言っておわり

この「ウロボロスの偽書」小説にいろいろ現実世界で反響があったみたいで、
特に笠井潔という、うるさ型のミステリ作家兼社会評論家は
「作者が死んだままのほうが完成されていた。あとがきは蛇足」と批判
これに対して竹本は「ウロボロスの基礎論」という続編で、
作中に笠井を登場させて持論を述べさせたあと、笠井の愛蔵書に誰かがウ○コしたというので
このウ○コをした犯人を探すミステリを執筆。

現実世界の笠井はこれに対抗して「天啓の宴」からはじまる竹本や笠井が登場人物で出てくる
ミステリ群を執筆し、一作目の作中で竹本も笠井も死亡させて
「作者が死亡するミステリのお手本」として竹本に提示。

竹本自身はもういいやと思ったのだろうけど、
その頃、奈須きのこというオタクに人気の作家の「空の境界」に笠井が推薦文を書いたというので
「ウロボロスの基礎論」に登場する竹本のファンが現実世界で
「笠井はオタクに媚びて仲間を増やそうとしている」
と自分のサイトで批判し、小説内だけでなく現実世界でもグダグダな展開に

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