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37:本当にあった怖い名無し:2009/12/15(火) 16:43:01 ID:WTFSjPKO0
関よしみの短編
主人公は中高生ぐらいの女の子。
のんびりしすぎで間抜けな父と、ちょっとせっかちな母がいる。
父は授業参観に来た時に立ったまま居眠りして壁に頭をぶつけるぐらいの間抜けっぷりで、
人前でも平気でおならをするし、主人公はいつも父にいらいらさせられていた。
一家が暮らしているのはアパートなのだが、隣人の父子家庭は荒んでいて騒音がひどい。
授業参観の帰りに父と一緒に帰宅すると、隣室の扉の前でその家の子供が泣いていた。
まだ小さい女児だが、いつも折檻されては傷だらけの姿で扉の前に立たされていた。
母は、ああいう家と関わってはいけないと言うが、主人公は可哀相に思っていた。
それは父も同じで、見かねて声をかけたところ、それを聞きつけた隣人が飛び出してきた。
よその家庭に首をつっこむなと、酒乱の隣人は暴れて父に襲いかかってくる。
それを、通りかかった市長が助けてくれた。
隣人はアル中で日頃からこういう態度なのだと聞かされ、
市長は隣人をカウンセリングセンターに送りこむと言い出した。
カウンセリングセンターとはつい最近できた市の施設で、
問題行動を矯正するためのカウンセリングを行う場所だった。
隣人がそこに送りこまれている間、主人公一家は女児を預かることになった。
着替えなどをとりに隣室に行くと、家の中は荒れ放題で、女児のひどい暮らしぶりがわかった。
それからしばらくして、隣人がセンターから帰ってきた。
彼は見違えるように爽やかな男性へと変貌して、女児に折檻をせずまともに働くようになった。
アパートの周囲もすすんで掃除するようになり、すっかり周囲からの評判も良くなった。
扉の隙間越しにたまたま見たところ、家の中も整理整頓されるようになり、
女児の笑い声が聞こえるようになった。
センターに行くと性格が改善されるというのは本当なのだと評判になり、
センターに行く大人が増え出した。年齢規制があり、子供はセンターにはいけなかった。
主人公の両親もセンターに行き、二人とも以前の間抜けさやせっかちさがなくなり、節制ある人物になった。
センターに行った大人たちは集団で清掃活動を行ったりと、
人の役に立つ行動をするボランティアに励むようになった。
38: 本当にあった怖い名無し:2009/12/15(火) 16:43:49 ID:WTFSjPKO0
しばらくすると、大人たちは奇妙な行動をするようになった。
例えば、隣人は目の前に電柱があって進めないにも関わらず、
電柱の方向にひたすら足を動かし続けるという動作を見せることがあった。
他の人が不思議がって体を押すと、押された方向に普通に歩きだしたものの、
まるでゲームのノンプレイヤーキャラのような行動だった。
団体での清掃活動は、どんどん過激なものになっていき、
窓からゴミを捨てた車を止めようと、ボランティアたちが車のボンネットに飛び乗ったり、
ただ落し物をしただけの相手を、ゴミを捨てたと言ってリンチしようとしたりした。
主人公の父親は、壊れたスピーカーのように同じ単語をひたすら繰り返すようになった。
母親は、料理をつくる要領で笑顔で自分の手を切り刻んだ。
明らかに大人たちが異常になっていく中、狂った両親によって主人公は命の危機にすらあう。
それは実はセンターのせいだった。センターで行われたのは
カウンセリングではなく、特殊なチップの挿入だった。
そのチップが正常に作動しなくなったせいで人々は狂ったのだった。
市長は、善意からそのチップを発明した。大人たちがチップによって正しい行いをすれば、
その行いを見て育った子供たちはチップなどなくても正しい人間に育ち、より良い街をつくれるはずだからと。
市長は逮捕され、大人たちからはチップが取り外され、事態は解決した。
隣人はまた子供を折檻するように なった。
扉の前で女児が泣きじゃくっていても、関わってはいけないと言う母に従って主人公は素通りした。
父はまた前のようにずぼらになった。もう清掃活動をする大人は誰もいなかった。
街のあちこちにポイ捨てされたゴミが見られ、景観は以前のように汚くなった。
39: 本当にあった怖い名無し:2009/12/15(火) 21:01:31 ID:9GyQ6mRQ0
トラウマクイーン関よしみ先生にしては大人しいオチだな。
41: 本当にあった怖い名無し:2009/12/15(火) 23:24:38 ID:vzD21M7Y0
みなごろしのよしみと呼ばれた関先生とは思えないほどソフトな話だな