後味の悪い話

【後味の悪い話】貴志佑介「天使の囀り」

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69:天使の囀り 1/3:2007/01/06(土) 18:36:25 ID:f8mFys6z0
貴志佑介の「天使の囀り」って小説。
やたら長いけどできるだけ簡単にあらすじを。激しくネタバレしてるので注意です。

主人公はホスピスで働く女性。
優しすぎて患者に感情移入しすぎるきらいがあるけど真面目で聡明。
主人公には作家の恋人(A男)がいて、A男が雑誌の企画で訪れている
南米から主人公へ送ったメールで物語がはじまる。

メールの内容はアマゾンの森のことや探検の途中で食料を川に落としたため
仕方なく現地で猿を捕まえて食べたこと、同行している
探検隊のメンバーの紹介などあたりさわりのないもの。
けれど南米から帰国したあと、A男は内向的で
タナトフォビア(死恐怖症)の傾向があった以前とはガラリと変わって明るくなり、
食欲や性欲も旺盛で主人公が心配するほどになっていた。

南米から帰国後しばらくして、A男は「目を閉じると天使の囀る声が聴こえる」
なんてことを主人公に言い残して睡眠薬自殺を図り死んでしまう。

A男の帰国後のあまりに劇的な変化と自殺を不審に思った主人公が
他の探検隊メンバー達の帰国後の様子を調べていると、
一人は何よりも失うことを恐れていた娘を道連れに、もう一人はサファリパークで
病的なほど怖がっていたはずの猫科の猛獣に身を投げ出して自殺していた。
さらに生き残っているはずの二人も行方不明になっていることがわかる。

自殺したメンバーを司法解剖した際に脳から寄生虫が見つかり、
それがA男たちの死に関係あるかもしれないと思った主人公は
専門家のB男に見つかった寄生虫を持ち込み、研究を依頼する。
(後に物語が進むにつれB男と主人公はいい感じに。)

70:天使の囀り 2/3:2007/01/06(土) 18:37:02 ID:f8mFys6z0
そうこうしているうちに、主人公は南米への旅行とは
何の関係も無い人々が奇妙な方法で自殺したといううわさを耳にする。
潔癖症の少女はアオコで満たされたヘドロの沼で入水自殺、
顔の火傷跡の醜さを気にしていた少年は劇薬の溶液で顔を焼き、
先端恐怖症の主婦は自らナイフで目を突いて死んでいた。

探検隊とは関係のない自殺者三人ともがとある自己啓発セミナーに
参加した経験があり、そのセミナーの主催者が行方不明のメンバー
二人だということを突き止めたB男と主人公は、探検隊メンバーの死と
セミナー参加者の死は寄生虫が原因で、この未知の寄生虫は寄宿主である
人間の「恐怖」を「快感」に変えて自殺を図らせていたという結論を出す。

また、感染源は南米で探検隊が食べたウアカリという猿であるらしいことも分かる。
実はA男が聞いていた「囀り」は、寄生虫が脳へ向かう途中に引き起こす錯覚。

行方不明になっていた二人が生き残っていたのは、
自殺してしまった探検隊のメンバーと違って
「快感として捉えてしまうと死に至るような恐怖の対象」を持っていなかったおかげ。
この二人はとんでもないことに、寄生虫のおかげで何事にも
恐怖心を抱くことの無くなった精神状態の素晴らしさを広めてやろうと
自己啓発セミナーを開催して人を集め、こっそり輸入した(寄生虫入りの)
猿の肉を参加者に振舞っていた。

何度目かのセミナーに踏み込もうと地方の宿泊施設へ向かうB男と主人公。
大勢の人間がいるはずの建物はしんと静まり返っていて人の気配が全く無い。
建物内を探し回り、二人は施設の浴場で変わり果てた
姿のセミナー参加者達を発見する。

浴場に集まった主催者の二人(行方不明になっていた探検隊メンバー)を含む
大勢の人間は、自殺はまぬがれたけれど、そのせいで寄生虫が体内で増え続け
体の中身がそっくり寄生虫にとってかわられた状態になって死んでしまっていた。
恐ろしい寄生虫をこれ以上世間に広めないためにと
施設ごと燃やして撲滅してしまうB男と主人公。

71:天使の囀り 3/3:2007/01/06(土) 18:37:35 ID:f8mFys6z0
数日後、B男のマンションを訪れていた主人公はB男の様子がおかしいことに気づく。
実は宿泊施設の浴場でセミナー参加者たちの死体を調べている間に
手違いでB男は寄生虫を体内に取り込んでしまっていた。

B男は主人公が研究を依頼するときに持ち込んだ寄生虫も
自宅に保管していて、セミナーを主催していた二人と同じように
「寄生されている間の晴れやかな気持ちを君とも分かち合いたいんだ」と
主人公に無理やり飲ませようとする。

必死で抵抗し、寄生虫の入った試験管を持ったままマンションから逃げ出す主人公。
外に出てB男の部屋の窓を見上げると、窓から身を乗り出して
主人公を探すB男の姿が見えた。
酩酊状態でバランスを崩したあと体制を立て直したB男は、
落ちそうになった時に感じた強い恐怖(寄生虫のせいで快感としてとらえてしまう)に
あらがえずそのまま窓から身を投げた。

自宅に戻った後、主人公は恋人を二人(A男とB男)も奪ってしまった
寄生虫の入った試験管を熱湯につけて殺してしまおうとするんだけど、
ふと思いついてやめてしまう。

場面が変わり、数日後。
勤務先のホスピスで仲のいい患者の少年と主人公が話している。
少年は身寄りが無く、いつ死んでもおかしくないような病状。
以前は「死ぬのがこわい」と主人公に漏らすこともあり、
優しい主人公は少年の言葉をいつもやりきれない思いで聞いていた。

「鳥が天井を飛びまわって鳴いているのが聴こえるよ」と言う少年に、
主人公は「天使が囀っているんだよ」と答える。
それを聞いた少年は「もう死ぬのは怖くないよ。天国で家族にあえるし。」
と言い残して息を引き取る。
少年を看取った後、主人公が警察へ行ってすべてを話そうと決心しておわり。

この小説に出てくるのは架空の寄生虫だけど、
同じように寄宿主を操って増える寄生虫はいるし
(カマキリに寄生するハリガネムシとか)本当にありそうで怖い。

でもやっぱり一番後味が悪かったのは、
頭が良くて優しい人物に描かれてた主人公が最後の最後に
「ホスピスの患者が苦しんだまま死んでいくのを見ているのがつらい」っていう
悩みを解決するために寄生虫を利用したこと。
最初は展開が遅いけど結構読み応えあるしこのあらすじでは
割愛したエピソードも多いので詳しく知りたい方はぜひ読んでみてくださいな。

72:本当にあった怖い名無し:2007/01/06(土) 18:52:19 ID:6oDO0ch5O
>>71
乙です。
私も一度読みましたが、ここまでまとめられなかった。
お陰で、最高に気持ち悪いシーン思い出して吐気をもよおしてます。

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