後味の悪い話

【後味の悪い話】あなたが必要です

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600: 本当にあった怖い名無し:2008/07/02(水) 23:32:58 ID:ylWwxzVcO
便乗して同じシリーズから一話。(タイトルは失念。)
主人公は若い男。
些細なことから、恋人とケンカしてしまい、別れることになった。
月日は流れ、別れた恋人のことも今では少し後悔している。

あるクリスマスの夜、手紙が1通届いた。
「あなたが必要です」
そこには短くその一言だけが書かれていた。
差出人は不明、なにかの間違いではないかと思いつつも、
まさか彼女から?と少し期待して久しぶりに彼女に連絡をとる男。

すると、なんと彼女のところにも、全く同じ内容の手紙が届いていたと言う。
お互い、誰から来たのかわからないと言う。
二人は驚きつつも、また昔のようにお互いを思いあうようになったのだった。

601: 本当にあった怖い名無し:2008/07/02(水) 23:56:37 ID:ylWwxzVcO
どうやら、手紙は町中に届いていたらしい。
次の年のクリスマスも、またその次の年も、手紙は人々のところに届いた。
誰が、何の為にしているのかはわからない。
ただ、その手紙のお陰で自殺を思いとどまった人がいた。

絶縁していた家族と連絡をとった人がいた。
誰かが、作為的にやっているのはわかっている、
それでも日々の生活に疲れはてた人々は徐々に年に一度のその贈り物を、
素直に楽しみにするようになっていたのだった。

誰でもいい、誰かに必要とされることほど満たされることはないのだから。
やがて主人公は、どうしてもこの贈り物の主に会いたいと思うようになる。
誰が、どんな気持ちで始めたのだろう?
様々な手段を用いてなんとか手紙の差出人を見つけ出した主人公。

それは、一人の著名な資産家の老人だった。
老人ホームにいる彼は笑いながら、これは私の酔狂なのだと言う。
誰にもその秘密は話さなかった主人公は、今年もあの手紙を待っている。
数日前の新聞に、あの老人が死んだことが載っていた。
これが彼の最後の仕事になっただろう。

そう思いながら手紙を待っている。
きっと町中の人々が不幸を、不安を忘れさせてくれるあの言葉を待っているに違いない。
そしてクリスマスの日。
手紙を読んだ主人公は、今までとは違う文面に、あの老人が本当にやりたかったことを理解したのだった。

あの金だけを信じ他人を虫けらのように扱って生きてきた老人。
そこには一言、こう書かれていた。

「お前は、もう不要だ」

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