スポンサーリンク
736 :死役所1:2019/09/11(水) 13:06:50.88 ID:p/9AKsLC0.net[1/4]
今度ドラマ化が決まった『死役所』という漫画の話
死後の世界には死んだ人が成仏する為に手続きする役所があり、そこで職員として働く人がいる
そこの職員は死刑になった人しかなれない決まりなのだが、職員の一人の岩シ水はおどおどとした大人しい男でそんなに悪いことをしそうなタイプには見えない
そんな男の過去の話
亭主関白の家庭で父親に言いなりの母と、躾に厳しい父親
彼はそんな家で、着る服や一日のスケジュールなど全てを父の言いなりになって生きてきた
彼はそれに一切反発することなく全てを受け入れていた。それが普通だと思っていたし、そうすれば、父の言う一流の人間になれると思っていた
彼は勉強熱心だったものの、肝心の学力が足りなかった
父が東大以外は認めないと言った為、東大以外ははじめから目指さなかった。東大受験を諦め翌年に向けての勉学に励んだが、翌年、彼は東大の受験に失敗した。それでも父は東大を目指せと言ったので、彼は更に翌年に向けての勉強を続けた
東大受験を控えた間近に控えたある時、父親が病に伏せる
病床の父は最期、息子に自分の敷いたレールを歩むことを強いてきたことを反省し好きに生きろと言い残し旅立った。母はそれに感涙し、良かったねと笑った。
しかし彼は喜ばなかった。自分自身の夢なんて、一度も抱いたことがなかった
父親がいなくなり、指示してくれる人が居なくなった。これからどうしていいか分からなくなった
しばらくして、母は再婚し、新しい夫の住む田舎へと引っ越すことになった。その折一緒に来ないかと誘われたが、彼は断った
“だって、父さんが東大に入れと言ったから、東大に入らないと”
自分の道を自分で決められなかった岩清水は、実家に一人で住み相変わらず父の希望していた東大を目指し浪人生活を続けた
737 :死役所2:2019/09/11(水) 13:07:52.84 ID:p/9AKsLC0.net[2/4]
ある時、岩清水の家は隣家の火災に巻き込まれ家を失ってしまう。幸い怪我人は無かったが、母親を含む全ての連絡先を失ってしまった
幸い父親の遺産で金はあったため、彼は一時的にネ ネットカフェで寝泊まりすることにした
ある時、彼はそこで不良にぶつかり服を汚してしまい弁償を要求されてしまう。その際金蔓として認定され、その後頻繁に金を巻き上げられるようになってしまった
弁償代金を遥かに超えても金を奪われ続けしばらく経ったある日、彼は不良にいつまで払い続ければいいのかと聞いた。不良はこともなげに言った
“そんなの、自分で考えろ”
岩シ水は、自分で考えることができなかった
全てを父親が支配する生活は、結果的に誰かに指示されねば何も決めることができない指示待ち人間を作り上げていたのだった
ネットカフェ難民となった岩シ水に、指示する人は誰もいない。不良はいつまでも自分からお金を毟り続ける。いつまで払い続ければ許されるのだろう
勉強に身が入らない。一人では何も決められない。どうすればいいのか分からない。わからない、わからない。もう何も考えたくない。こんな悩み、消し去ってしまいたい
岩シ水はコンビニに行き、ライターを購入した
間も無く、ネットカフェで放火事件が起きた
死者重軽傷者合わせて20数名という大惨事だった。すぐに犯人は逮捕され取り調べを受けるが、供述は一貫していた
「人を殺すつもりは全く無かった。ネットカフェを無くしたかった」
話を聞き終え、怒った職員に人を殺した自覚あんのかと詰められるも、岩清水は顔色ひとつ変えず困った顔をするばかり
“人を殺すつもりなんてなかった。燃やした場所にたまたま人が大勢いて、死んでしまっただけだ。それを言うなら僕だって、二桁も死んでしまったせいで死刑になってしまって困る”
悪びれもせずそう言う岩清水は、死ぬまで、いや死んでからも自分の罪と向き合わないままだった
現代日本が生み出したモンスターを表してるようで後味最悪だった
これ以外にも引きこもりやユーチューバー、煽り運転など現代社会の問題を取り扱った話が多くあるのでおすすめ