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638 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:37:18 ID:xRPE9jGM0
さて、いきなり信じがたい額が予算として降ってきたんだが、
いったいどうするかお…
639 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:37:18 ID:xRPE9jGM0
もちろん産業開発だろ!
うちの国で鉄鋼とか自動車とか作るんだ!
男のロマンだろ!
640 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:37:50 ID:xRPE9jGM0
やっぱそうだおね!
ガンガン重工業化して、ボツワナをアフリカ一の工業国に!
やる夫のとこにはどっさりリベートが入ってきて、
ハーレム作ってウハウハだお!
641 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:38:14 ID:xRPE9jGM0
…当該対象の有機情報連結を解除する
すいませんでした
642 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:39:02 ID:xRPE9jGM0
ま、まあ冗談は置いといて、
いやあしかし、実際問題どうするよ!
なんにでも使い放題だろ!
こはやっぱ、パーッと重工業化をだな!
643 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:39:51 ID:xRPE9jGM0
…いや、ここはやっぱり堅実に使っとこう。
初等教育と道路整備、電力と水道と保健衛生に全額だ。
おいおい、ちょっと地味すぎないか?
ここで一気に経済を飛躍させてだな。
644 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:40:40 ID:xRPE9jGM0
あのなあ、やらない夫。
大卒22人、舗装道路13㎞でどうやって産業開発する気なんだお!
小学校だって国内全域にはないんだお!
電気も水道もないのに工場作る気かお!
飛躍の前に、まず足元を固めなきゃどうにもならんお!!
えー、でもよその国はどんどん工場とか立ててるぜ?
ガーナみたいにアルミニウム工場立てたり、
ザイールみたいに世界最大の水力発電所とか立てたいだろ、常識的に考えて。
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645 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:41:23 ID:xRPE9jGM0
だめったらだめ!
よそはよそ、うちはうちでしょ!?
まったく新しいものばかり欲しがって!
おかーさんそんな子に産んだ覚えありませんよ!?
誰が母さんだよ
646 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:42:16 ID:xRPE9jGM0
ま、まあ真面目に話すとだな、
どう考えたって今のうちの国力で重工業化とか無理だから。
作ったところで原料の供給体制もない、インフラもない、労働者までいない。
援助国に1から10までやってもらって、それでも動かないのが目に見えるお。
だからだめ。
まあ冷静に考えるとそうなんだけどよ…
しょうがないか、まずは基盤固めからだな。
…しかし、工業化できるほかの国がうらやましいなあ…
647 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:43:02 ID:xRPE9jGM0
カーマとマシーレのこの決断は、
結果的には大英断といえた。
ここで国家としての足腰を強くすることで、
ボツワナは次に来る経済成長へのステップを踏み出すことができるようになったのだから。
カーマのように自国を冷静に判断できるものなど、ほとんどいなかった。
新独立国、とくにアフリカの新独立国の多くは、
むやみな重工業化や無意味なモニュメントの建設に国費をつぎ込んだ。
教育に国費をつぎ込んだ国は多かったが、インフラ整備に国費をつぎ込んだ国はさほど多くない。
648 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:43:35 ID:xRPE9jGM0
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649 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:44:12 ID:xRPE9jGM0
インフラ整備にしても、身の丈に合わない巨大発電所やダムの建設が主で、
中にはインド洋に浮かぶザンジバルのように、
アフリカ初のカラーテレビの送信システムに巨額の国費をつぎ込んだ国まで現れた。
【ザンジバル革命政府大統領(タンザニア副大統領)アブード・ジュンベ】
革命の成果を人民に伝えるには
カラーテレビとかいいと思うんだよね
…見る奴いないけど
651 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:44:54 ID:xRPE9jGM0
しかし、基本のインフラも経済条件も整っていない中での重工業化など、
うまくいくはずがなかった。
さらに官僚の黒人化による混乱も合わせ、
ほとんどのアフリカの内政は大混乱に陥った。
ここでアフリカ諸国が滅亡しなかったのは、
単に独立の意味が異常に重くなり、軍事侵攻の可能性がほぼ消え失せたからにすぎない。
この混乱にほとんどの国民は愛想を尽かし、
クーデターが多発するようになる。
クーデターを起こして政権を奪取するのは、ほとんどの場合軍であった。
政権を奪取した軍は、もちろん自らの母体である軍への支出を増やした。
支出を減らせば、いつまた軍内の不満分子が蜂起するかわからないからである。
かくして、自らの政権を守るためだけに、
他国からまず攻め込んでこない状況で軍だけが拡大されていくようになる。
こうして、経済成長はますます遠いものとなった。
652 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:45:51 ID:xRPE9jGM0
一方ボツワナでは、予算が初等教育やインフラ整備などに適切に使われた。
今度、近所に小学校ってのができたそうですので、
行ってきますね!
653 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:46:31 ID:xRPE9jGM0
高等教育は後回しとなったが、
これは高等教育に関しては、さしあたりの体制が整っていたこともある。
1964年。
【英国保護領ベチュアナランド 高等弁務官】
もうすぐ独立だろうし、最高学府が欲しいな。
でも一国じゃなかなかきついから…
バソトランドのロマにローマ・カトリックのカレッジがあるね。
あれを貰い受けて、ベチュアナランド・スワジランド・バソトランド三国の
連合大学にできないかな?
655 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:47:15 ID:xRPE9jGM0
【英国保護領バソトランド国王 モショエショエ2世】
うちはいいですよ。
問題ないです。
656 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:47:53 ID:xRPE9jGM0
【英国保護領スワジランド国王 ソブーザ2世】
うちも問題ない。
一国じゃ大学なんて夢のまた夢だが、
三ヶ国連合なら何とかなるもんな。
こうして1964年、ベチュアナランド・バソトランド・スワジランド大学がバソトランドで開学する。
三国独立後は新政府へと引き継がれ、ボツワナ・レソト・スワジランド大学となっていた。
この大学によってボツワナはなんとか最低限のインテリ層の確保には成功していたため、
心置きなく初等教育の拡充に努めることができた。
654 :名無しさん 2013/05/29(水) 19:47:04 ID:LdIHAcH60
指導者が先進国の高等教育を受けていた賜物だなあ…。
659 :名無しさん 2013/05/29(水) 19:49:13 ID:BdLLAej.0
英国がこんなに良心的に見えるスレも珍しいw
658 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:49:06 ID:xRPE9jGM0
こうして基礎固めを行った結果、
ボツワナはきたるべき経済成長のための基礎条件を整えることができた。
そのために、以後ボツワナの経済は順調に発展していった…
…ということになっている。
すくなくとも、ボツワナに関する記述ではたいていそれだけしか触れられていない。
しかし…
660 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:50:16 ID:xRPE9jGM0
…本当に、それだけなんでしょうか?
661 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:50:41 ID:xRPE9jGM0
こういった政策を、他国がとっていなかったわけじゃないんですよ。
特に教育に関しては、どこの国も本当に力を入れています。
2013年現在、識字率が50%を割っている国はアフリカでは13ヶ国。
54か国中の13か国ですから、割合としてはそう高くありません。
独立時はどこも10%から20%が関の山でしたから、
教育に関しては成果が出ているといっていいでしょう。
662 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:51:14 ID:xRPE9jGM0
インフラ整備はどこもかなり遅れているんですが、
重工業の整備やモニュメント建設は
やらなかった国も多いんですね。
理由もやる夫たちと同じ。
お金と実力がないからあきらめた。
あと、保健衛生は不十分な国が多いですが、
不十分なだけでそれなりに取り組んではいるんですよ。
その証拠に、どこの国でも独立後に人口爆発が起きている。
何も手を打っていなければ、人口が増えるわけはないんです。
663 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:51:46 ID:xRPE9jGM0
つまり、ボツワナの経済成長は
従来の説では説明しきれないんです。
近いことをやっている国は、ないわけではないんですから。
間違っているわけではないんですけどね。
何かが決定的に足りない。
よって、ボツワナに経済成長をもたらした原因は、
どこかほかにもある。
1はそう考えています。
では、なにがボツワナと他国の運命を分けたのか?
それをこれから考察してみようと思います。
664 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:52:53 ID:xRPE9jGM0
1967年、ボツワナ。
上の会話の続きである。
インフラ整備と初等教育の充実、
保健衛生に予算を振り向ける、っと。
ほかにやっておくことはあるか?
665 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:53:25 ID:xRPE9jGM0
あ、それからこのお金、全部は使わないよ。
これだけ残しておくから。
やっぱり、お金ためておかないと困るもんね!
666 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:53:55 ID:xRPE9jGM0
ははは、その通りだよな。
やっぱり収入の範囲内で使って、
余ったら貯金…
……って…
667 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:54:23 ID:xRPE9jGM0
財政黒字ィ!?
なに言ってんの?なに言っちゃってんのこの人!?
やらない夫が驚愕するのも無理はなかった。
先進国も途上国も、およそ国家というものは基本的に赤字財政である。
「国家」そのものが担保にできるので、ある程度の借金ならなんとかできてしまうのだ。
それに、国家の支出には景気浮揚の効果もある。
よって、多少借金をしてでも支出を増やし、国民に富を移転するとともに次期税収を増大させる。
これが財政の常道というものだった。
668 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:55:07 ID:xRPE9jGM0
いや、そりゃ企業なら無借金経営ってたまにあるけどよ。
国家の無借金経営なんて前代未聞だろ…
よって、どんな国でも基本的には借金がある。
破たんさせなければいいだけなのだ。
669 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:55:51 ID:xRPE9jGM0
今すぐに無理だったら、できるようになってからでいいけど。
でも開発のために大規模な借款するのは禁止だお。
あくまで財政の許す範囲で、だお。
そうだなあ、GDPの20%までかな。
なあやる夫、
本当にそんなことするのか?
ダイヤモンド鉱山があればちょっとやそっとの借款じゃ揺らがないだろ、
常識的に考えて…
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670 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:56:24 ID:xRPE9jGM0
もちろんだお。
もし万が一、ダイヤモンドが枯渇したらどうするつもりだお?
余裕があるうちに蓄えを作っといたほうがいい。
借金してまで内政に力を入れすぎる必要はないお。
アイエエエ…
こんなのテストに出てこないだろ、
常識的に考えて…
673 :名無しさん 2013/05/29(水) 19:57:45 ID:LdIHAcH60
鉱脈はいずれ尽きるしね。
世界最大の鉱脈だって無限じゃないし。
原油が切れる日に戦々恐々としている中東の国たちを見てるともう…。
671 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:57:07 ID:xRPE9jGM0
こうして、やる夫はこのころから財政均衡路線をスタートさせる。
これにより、基本的にほぼ収入の範囲でしか支出ができなくなったため、
基盤整備はゆっくりとしたものとなった。
672 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:57:43 ID:xRPE9jGM0
だがそれでも、
これまでに比べれば比較にならないほどの予算が来たのは間違いない。
官僚たちは急増した仕事に追われることとなった。
675 :名無しさん 2013/05/29(水) 19:58:27 ID:LdIHAcH60
あー、事務方がパンクする可能性か
674 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:58:24 ID:xRPE9jGM0
【白人官僚】
久々にワロタ
こういう状況が毎晩だったのが昔の本国なんだよな
今の官僚は昔の
状況を知らないから困る
この状況を切り回したのは、
独立時に残した白人官僚たちだった。
676 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 19:59:12 ID:xRPE9jGM0
ふむ、こういう状況かね。
ではこちらに重点的に予算を配分して、
ここは来年度に回そう。
基本的なものと緊急性の高いものからやっていくほうがいい。
経験を積んだ白人官僚たちは、つみあがった仕事を次々とさばいていった。
677 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:00:00 ID:xRPE9jGM0
おお…
あの書類の山が次々と…
その下で働いていた黒人官僚たちは、
この仕事の中で経験を積んでいく。
前にも書いたが、この経験の継承こそが重要なものだった。
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678 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:00:50 ID:xRPE9jGM0
俺のこの手が光って唸る!
お前を倒せと輝き叫ぶ!
手が勝手に動く…だと…
官僚というのは国家の手足である。
いくら首脳部が政策を決定したとしても、
手足が動かなければ実行はできない。
他の黒人諸国は、白人官僚をクビにすることで
経験を失ってしまった。
つまり、手足が満足に動かなくなってしまったのである。
679 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:01:32 ID:xRPE9jGM0
これに対しボツワナでは、
手足が手足としての機能をまっとうできた。
豊富な予算によって経験を積む場面が増えたため、
動きはさらによくなった。
680 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:02:19 ID:xRPE9jGM0
【新独立国高官・Mさん】
麻呂にかかれば
政府予算などかっぱぎ放題でおじゃる
…これに加え、ボツワナの行政機能の向上にはもう一つの理由があった。
汚職をかなり抑え込むことに成功したことである。
汚職のない国は存在しない。
とはいえ、アフリカ諸国の汚職は汚職などというかわいいレベルのものではない。
1990年代のナイジェリアのように、政府予算の半分が策定中にどこかに消えてしまう国もあるのだから。
681 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:02:57 ID:xRPE9jGM0
このレベルの汚職となると、
止めなければ政府自体の機能が停止してしまいかねない。
ただでさえ低い行政能力が、この強烈な汚職体質でとどめを刺されている国も多いのだ。
685 :名無しさん 2013/05/29(水) 20:05:36 ID:5145vaHU0
植民地時代も賄賂や横領は問題視されてたけど、レベルが違うなw
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682 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:03:40 ID:xRPE9jGM0
汚職は許さないお!
やった奴は即クビ!
カーマはもちろん汚職を厳しく取り締まった。
自らも全く汚職はしなかったし、
政府内でも汚職禁止は徹底させた。
しかし、それは多くの国でやっていることであって、
取り立ててボツワナが特別というわけではない。
しかし、ボツワナではこれがうまくいった。
それは、なぜか。
683 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:04:11 ID:xRPE9jGM0
久々にワロタ
こんなザルな横領5分でバレたのが昔の本国なんだよな
今の官僚は
横領も満足にできないから困る
官僚制度がしっかりしていて、
行政府の隅々にまで目が行き届いたのがまずひとつ。
そしてそれを生かすための監査制度を整えたのが一つ。
そしてもうひとつは、ツワナ自体に「盗みを罪とする」文化が根付いていたことである。
684 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:05:02 ID:xRPE9jGM0
【黒人官僚】
俺は官僚になる前は故郷で牛飼いしてたっていう
牛=財産だから、俺みたいなやつは珍しくないっていう
牛飼いの時は、出稼ぎしてたやつの牛を預かるのは珍しくなかったっていう
預かり料はもらったけど、もちろん、ちょろまかすようなことはしなかったっていう
686 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:05:40 ID:xRPE9jGM0
なんでかって?
人の牛を盗む奴は泥棒だっていうwwwwww
預かり物は返さなきゃいけないっていうwwww
687 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:06:25 ID:xRPE9jGM0
予算も同じだっていうwwww
国民からの預かり物で、俺のものじゃないっていうwwww
だから給料はもらうけど、
予算をちょろまかすなんて考えたこともないっていうwwwww
泥棒にはなりたくないっていうwwwww
ツワナでは牛が商業用の財産として重要視され、
取引や所有が保護されていることは前述した。
これにより所有権が発達し、個人用の財産を重視する風潮があったため、
公と私の分離がうまくいったのだ。
689 :名無しさん 2013/05/29(水) 20:07:24 ID:FuIyOoiw0
ちょろまかせるのか?と思ったけど、自分とこの痩せてたり乳の出が悪い牛と入れ替えるとか手はあるか
690 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:07:17 ID:xRPE9jGM0
>>689
「いやー、牛死んじゃったよごめんなー」
とかいって隠れて売っ払えばいいだけですよw
688 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:07:17 ID:xRPE9jGM0
国家のものは麻呂のもの
麻呂のものは麻呂のものでおじゃる
これに対し、すべてではないが新独立国のいくつかには
公と私の分離が成立していない国家があった。
この場合、そもそも公という概念が成立していないので
あまり汚職に対して抵抗がない。
もちろん、この状況で国家全体に対する責任感などあろうはずもない。
692 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:09:58 ID:xRPE9jGM0
麻呂の秘蔵のZIPじゃ!
皆のもの、喜ぶがよいぞ!
そのかわり、有力者は自らの庇護下の民に対しては富や利益をもたらす必要はある。
これをしないと、有力者でいつづけることはできないため、
彼らは国庫から得た富を個人的に分配し、支持者を増やしていった。
もちろん一番富むものは自分であるが。
横領した金だけでなく、
やがて正式な国庫の金も自らの地元へと投入するようになっていく。
それ自体は日本だろうとどこだろうとあることだが、
国家全体を見る視野がないうちにそれをやってしまうと、
国庫自体が一部族の私有物になってしまう。
693 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:11:15 ID:xRPE9jGM0
だまりゃ!麿は畏れ多くも大統領より国会議員の位を賜り
蔵相を務めた身じゃ!
すなわち大統領の臣であって、国家の公僕ではおじゃらん!
その麿の屋敷内で狼藉を働くとは言語道断!
この事直ちに大統領に言上し、きっと警察にかけおうてくれる故
心しておじゃれ!!
さらにこうした高官たちは元首とも組んで特権グループを形成するようになる。
こうなったらもう手が付けられない。
行政も司法も、すべてが彼らの支配下に置かれてしまうからである。
印籠をかざしたところでトップとはすでにズブズブなので、
自称越後の縮緬問屋は切り殺されておしまいである。
公と私の区別は完全になくなり、国のすべては私的なものとみなされるようになる。
新しい家産制国家、
「ポストコロニアル家産制国家」の誕生である。
694 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:12:33 ID:xRPE9jGM0
ボツワナはこうした道をたどらなかった。
税収内で地に足の着いた計画が立案され、
ついた予算は効率的に執行されて、
汚職によるロスもない。
こうして政府資金がうまく流れるシステムを構築し、
途中の無駄を徹底的に排除したことがボツワナの経済成長を生んだのである。
695 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:13:28 ID:xRPE9jGM0
【新独立国首脳・Kさん】
あんなこといいっ……!
できたらいいっ……!
あんな欲っ… こんな欲っ…
いっぱいあるがっ………!
みんなっ!みんなっ!みんなっ!
叶えてくれるっ…!
金がすべて 叶えてくれるっ……!
「ダムを造りたいっ……!」
そう、5000万ドル……!
ざわ… ざわ… ざわ…
とっても大好きっ……!
金っ………!
696 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:14:14 ID:xRPE9jGM0
【先進国の銀行】
当行は誰でもウェルカム
開発資金も政府予算も、お好きなだけご用立ていたします
こういった開発計画に豊富な資金を融通したのは、先進国の銀行だった。
彼らにしてみれば、そうそう「国家」が破たんするとは思わないし、
いざとなれば担保として鉱山や港湾を差し押さえればいい。
こうして、彼らは返済能力を超えた貸し付けを続けた。
697 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:14:59 ID:xRPE9jGM0
こうして豊富な資金を手に入れた新独立国だったが、
その資金を生かすことはできなかった。
前述のとおり行政能力が大幅に落ち込んでおり、
さらにそれもあって汚職に歯止めがかけられなかったからである。
豊富な資金は、無駄に浪費されるか汚職政治家・官僚の懐に入り、消えていった。
残されたのは、多額の借金だけであった。
698 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:15:23 ID:xRPE9jGM0
こうして新興諸国は、返済能力を大幅に超えた借金を抱えるようになっていく。
もともとの行政能力が高くないこれら国家にとって、
この借金は命取りになった。
しかし、それだけでは終わらなかった。
699 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:15:49 ID:xRPE9jGM0
国内の行政がまともに機能していない状況で、
鉱山や港湾などの施設が満足に動くはずもなかったのだ。
援助を得て建設したはずの施設さえ、維持管理費用が捻出できずに廃墟と化していたのだから。
結果、こうした借款は大きく焦げ付いた。
こうして、この借款は銀行側にも少なくない打撃を与え、
アフリカ諸国への民間投資は急激に冷え込んでいく。
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700 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:16:21 ID:xRPE9jGM0
もちろんアフリカ諸国もただで済むわけはなく、
まともに機能しない行政と山積みの借金というダブルパンチで
ほとんどの国は沈んでいった。
もっとも今見たとおり、
借金はアフリカ諸国の混迷の主原因ではない。
得た資金を無駄なく効率的に開発へと回すシステムが構築されない限り、
いくら借金を免除しても何の解決にもならないのだが。
こうして、ボツワナが成長軌道に乗る中、
他国は貧困から抜け出せないままとなるのである…
701 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:16:55 ID:xRPE9jGM0
というわけで、1の解釈を示してみましたが
いかがでしたでしょうか?
基本は登場人物同士のやり取りだけなんですが、
今回はやり取りだけではちょっと説明しきれないので
わたしがしゃしゃり出ちゃいました。
702 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:17:27 ID:xRPE9jGM0
上でも言ったように、この当時のボツワナ政府の政策は
一つ一つがそんなに派手じゃないんですね。
どこの国でもやっていることを、できる範囲でやっているにすぎない。
それが、この時期のボツワナの経済研究が進んでいない
原因だろうと思うんですが…
カーマという人は、たぶんあらゆる意味で
「無理をしない」人だったんだと思います。
できるところまでは全力でやるけれども、
それ以上のことは一切やらない。
それこそが、たぶん成功の一番の原因だったんじゃないかと思ったんです。
703 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:18:17 ID:xRPE9jGM0
さて、ここでちょっと視点を変えて、
次回は南の大国・南アフリカ共和国の話にしようかと思います。
ボツワナを語るうえで、
南アフリカは切っても切れませんから。
主役はもちろん、あの人です。
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705 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:18:42 ID:xRPE9jGM0
【ハリー・オッペンハイマー】
ただの人間には興味ありませーん!
この中に権力者、リベラル派、革命家がいたら、
私のところに来てくださーい!
次回「喪黒福造の憂鬱」(仮)
乞うご期待!
712 :名無しさん 2013/05/29(水) 20:28:09 ID:/Et0u7kM0
乙
先のことで>>1が触れるだろうけどカーマ自体も権力奪われないように
仕込むとこには仕込んでるからな。ただ、公私の概念があったのは大きいな
719 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:18:42 ID:xRPE9jGM0
>>712
たぶん次々回くらいで少し触れますが、
カーマも政治家ですんで自分の権力保持の手くらいは打ってるんですよ。
ただ、別に不法なことをしてるわけじゃないんですけどね。
713 :名無しさん 2013/05/29(水) 20:28:20 ID:BdLLAej.0
乙でした
結局、近代国家が発展するには国民が近代的な価値観を広く共有してないとダメなんだよな
ボツワナが最も幸運だったのはダイヤとかじゃなくて、そういうところだったのかも
720 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:18:42 ID:xRPE9jGM0
>>713
ボツワナ成長の源泉を所有権に求めるのは、
欧米系のボツワナ解説によく出てくるんですよ。
ただ、これが成長の基盤になったというのは大賛成です。
価値観って重要ですよね…
716 :名無しさん 2013/05/29(水) 20:38:01 ID:U17deKiU0
アフリカで言えばルワンダも経済成長をきちんとやりとげたよね。色々あったけど。
>>1さんは「ルワンダ中央銀行総裁日記」とか読まれました?
結構面白いですよ。
基本的には、正直な国民性、無理なく将来を見据えた成長プランが一番大事なのかなあと。
721 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:18:42 ID:xRPE9jGM0
>>716
はい、もちろん読んでます。
あれ面白いですよねえ。
テクノクラートの誇りを持ってきちんと仕事をやり遂げていくのは、
見てて楽しい。
ただ、ルワンダは民族対立と人口過剰っていう爆弾を抱えてますからねえ…
基本的にごたごたしてないときのルワンダはアフリカらしからぬキレのある国なんですが、
…正直今の状況がいつまで続くか、という危惧はありますね。
720 :名無しさん 2013/05/29(水) 20:46:02 ID:rQaWhxJ60
乙でした
しかし、イギリスが親切すぎていい国と誤解しそうになるw
722 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:18:42 ID:xRPE9jGM0
>>720
親切だったら舗装道路13㎞とかいう惨状にはならないですよw
ただまあ、この時期のイギリスはボツワナなんか手放したいばっかりなんで、
手切れ金代わりにある程度の世話は焼いてますね。
それまでは自治に任せるというか、
びっくりするほどの放置プレイだったんでw
731 :名無しさん 2013/05/29(水) 22:14:48 ID:nHlPZ6.w0
乙
「盗みを罪・恥と認識している」
これはとても重要な基礎特性だよな…
725 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/29(水) 20:18:42 ID:xRPE9jGM0
>>731
これ、地味だけどすごい重要な特性ですからね…
木村重信の「カラハリ砂漠」(1966年)にこれを象徴するようなエピソードがあったんで、
おまけとして投下してみてもいいかな。
753 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:38:58 ID:vQ/r0eJQ0
739で言ったエピソード、
このころ(1966年)のベチュアナランドの雰囲気がよくわかるので
AA化してみました。
ちょっとしたおまけですが、よかったらどうぞ。
『…ガベロンズの駅前に、この村唯一のホテルがある。
ホテルといっても、ひなびた田舎の木賃宿だ』
755 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:40:19 ID:vQ/r0eJQ0
『夕方このホテルについて、大きなトランクを提げて入っていくと、
テラスでビールをのんでいた青年たちが、
先を争って私たちの手から荷物を奪い、部屋に運んでくれた』
756 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:40:53 ID:vQ/r0eJQ0
『チップを差し出すと、顔色を変えて怒った。
全くの親切なのだ』
757 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:41:25 ID:vQ/r0eJQ0
『戸外は広々とした砂地で、駅前のせいか、
何百人もの黒人がぶらぶらしている。
私たちのトラックは山のように荷物が積んであるが、
無蓋なので、盗難が心配だ』
759 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:42:01 ID:vQ/r0eJQ0
『ホテルの主人(イギリス人)にどこか安全な場所がないか聞いたら、』
760 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:42:32 ID:vQ/r0eJQ0
【ホテルの主人(イギリス人)】
どういうことだい?
『けげんな顔をされた』
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761 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:43:02 ID:vQ/r0eJQ0
いや、荷物が盗まれると困るのでね。
どこかで預かってもらえないかと…
『そこでトラックの荷物を見せて、
この中には高価なカメラ類などが含まれていること、
ホテルの周りにたむろしている黒人たちが一つずつ盗んでも、
数分でなくなる恐れのあることを説明した』
762 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:43:32 ID:vQ/r0eJQ0
なにバカなこと言ってんだい
この国で盗みなんか、あるわけないじゃないか
『すると主人は怒って、ベチュアナランドでは盗難は絶対にないと断言した』
763 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:44:04 ID:vQ/r0eJQ0
『そして彼は、ある客がホテルの前に鞄を一個忘れて旅立ち、
三か月後に引き返してきたとき、元の場所にそのまま置かれていたことを話した』
764 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:44:31 ID:vQ/r0eJQ0
『私たちは半信半疑の気持ちだが、
ホテルの主人のいう事だからと一応信用することとして、
代わりにその夜は二時間ごとに
荷物が盗まれていないかを調べることにした』
765 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:45:03 ID:vQ/r0eJQ0
だから言ったろ?
この国で盗みなんて、
あるわけないって。
『結果は主人のいったとおりだった』
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766 :Opqr ◆XLjdU8ssbY 2013/05/30(木) 01:45:51 ID:vQ/r0eJQ0
『その後私たちはベチュアナランドの各地を旅して、
この国の黒人たちがきわめて温順で、物乞いをせず、
決して盗みをしないことを、事実によって知った』
『南アフリカで黒人の盗みにしじゅう神経をとがらせていたのとは、
たいへんなちがいだ。
政治的自由のあるなし、人種差別の有無が、
こうも人間を変えるものか…』
以上です。
なんかこの時代のベチュアナランドの様子が生き生きと伝わってくる一文で、
かなり好きなのでちょっと投下してみました。