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消しゴムをくれた女子を好きになった スピンオフ・サトミ編
152: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:44:21.89 ID:flZ1wfTAO
投下します
少し昔話をしたくなった
~もう一つの消しゴム~
153: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:46:33.94 ID:flZ1wfTAO
いや、こんなタイトル書いたけど、そんなに大層な話じゃ無いんだよww
サトミから聞いた話を俺の勝手な想像と共に書いてみようと思っただけww
でも、余りサトミの個人情報に関する事は掘り下げられないから、所々フェイクを入れるよ
じゃあまあ始めますww
155: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:48:25.42 ID:flZ1wfTAO
サトミに取っては、人生始まって以来?のピンチだった。
「あっ」
と声を思わず出してしまった。
シャーペンの芯が無くなったのだ。
代えの芯も無い。
昨日お母さんからちゃんと用意しておきなさい、って言われたので筆箱に代えの芯ケースを入れた筈だったのに・・・
また、竜也か・・・
弟の竜也がまたイタズラしたに違いない。
156: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:50:24.64 ID:flZ1wfTAO
もう・・・あの馬鹿・・・サトミは頭を抱えた。
赤ペンで書いたら良いだけじゃん。
そう思われそうだが・・・
その通りだと思うし、何なら後で知り合いにノートをコピーすれば?って思う。
だが、天然のサトミに取ってはそれは無理だったのです。
サトミが泣きそうに成っていた時、隣の男子がスッと芯ケースを差し出した。
その時にサトミが思ったのは・・・
私の心を読まれてる・・・?だった。
天然なんで本当に勘弁してあげて下さい。
157: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:52:25.92 ID:flZ1wfTAO
サトミは感激して慌ててノートの切れ端に
『ありがとう』
とペンで書いた。
そして遅れてしまった板書の続きをしようとして慌ててしまい・・・
せっかく貰った芯を落としてしまったのだった。
ウウウウウウウ!!!!私のバカーーー!!!!
サトミはそう思いながら慌てて拾おうとするが、見当たらない。
158: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:54:09.84 ID:flZ1wfTAO
ヤバイ・・・せっかくの人の好意を・・・
そう思い泣きそうに成っていると、隣の男子は少し笑いながら再び芯をくれた・・・
しかも三本も。
サトミは嬉しく成った。
そして、何とかして自分の感謝の気持ちを彼に伝えたい・・・
そう思い・・・目の前に有った新品の消しゴムを見つける。
これを上げよう・・・
そう思ったが、上げたら自分の分が無くなってしまう・・・
どうしよう・・・?
159: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:55:37.67 ID:flZ1wfTAO
サトミは・・・
消しゴムを真っ二つに割った。
そしてそれを彼に渡して微笑んだ。
サトミ「こんなのしか無いけど・・・」
彼は何故か顔を真っ赤にしていた・・・
160: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:57:56.55 ID:flZ1wfTAO
それが全ての始まりだった
そんな本当に何気ない・・・出会いだったんだ・・・
その時の彼女に取っても彼に取っても。
だけどその出会いは・・・
『運命の出会い』
だった・・・
161: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 18:59:25.83 ID:flZ1wfTAO
ゴメンなんか書いてて恥ずかしく成って来たww
まあ、良いや続き。
サトミに取っては中学二年生の時は本当に思い出深い時代だった。
引っ越しの前日、サトミは少し、有る男子の事を考えた。
いや、マジで。
サトミに取ってもその男子は恋愛感情を抜きにして特別な男子だった。
その人に対して何も言わずに引っ越すと言う事をどうかと思っていたんだ。
162: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:01:14.08 ID:flZ1wfTAO
終業式が終わり、サトミはクラスの女子と近くのファミレスでお別れ会をした。
サトミはあの男子が来てくれないかな?
少しそう思っていた。
が、結局来ないままお別れ会は終わり、サトミは家路に着いた。
家に帰ると引っ越し屋さんがあらかたの荷物を既に運び終えていた。
母親「サトミ、もう今日の内に新しいお家に行く事に成ったよ」
サトミ「え?明日じゃ無いの???」
サトミはビックリした。
163: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:04:37.34 ID:flZ1wfTAO
母親「引っ越し屋さんが早く作業を終えたから、ベッドも全部運んで貰ったのよ、別に明日来るお友達もいないんでしょ?」
母親の一言にサトミは考えた。
・・・確かに・・・
だけど・・・もしも・・・もしかして・・・明日に・・・
だが、サトミが考える様な事は現実に起きそうに無い。
サトミは返事をした・・・
サトミ「・・・うん」
・・・・
164: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:07:39.23 ID:flZ1wfTAO
そして季節は過ぎた。
サトミは高校生に成り友達も沢山出来て、中学生の頃を忘れかけていた。
高二の夏休み前にサトミの仲良しのミユキが言ってきた。
ミユキ「ねえ、夏休みに海でバイトしない?民宿で住み込みでやるんだけどww」
サトミ「んー・・・良いやww」
ミユキ「ええー???なんでよ」
サトミ「だって・・・サメ怖い・・・」
ミユキ「いるわけ無いでしょ!!!」
サトミ「いや、サメは結構至る所にいるんだよ・・・昨日もテレビで・・・」
ミユキ「ハイハイww大丈夫だからww」
天然なんで、本当に勘弁してあげて下さい
165: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:09:09.87 ID:flZ1wfTAO
サトミ「住み込みかぁ・・・お父さんがダメって言うと思うんだな・・・・」
ミユキ「あー・・・アンタのお父さんなら言いそー」
サトミはミユキの話を断った。
ミユキもそれ以上は無理強いをしなかったのだ。
家に帰る時にサトミは少し思う。
海か・・・行きたい気持ちも有るけど・・・
お父さんが絶対にダメって言うだろうな・・・
そう考えながら家路に着く。
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166: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:10:47.90 ID:flZ1wfTAO
サトミは自分の部屋でベッドに寝転びながら考えた。
夏休みに海に皆が行くと私は一人ぼっちか・・・
それも淋しいな・・・
サトミがそう思っていると母親が部屋に入って来た。
167: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:13:11.45 ID:flZ1wfTAO
母親「ねえ、サトミー。夏休みなんだけどね」
サトミ「うん?」
母親「私は叔母さんの具合が悪いから田舎に帰るけど・・・サトミはどうする?」
サトミ「え?叔母さん大丈夫?」
母親「うーん、よく分からないけどねー」
サトミ「お父さんは・・・?」
母親「お父さんは出張続きだから・・・竜也は家に残るって言ってるんだけど・・・でも心配でねー」
サトミは少し考えた。
どうしよう・・・
そして恐る恐る切り出して行った。
サトミ「・・・あのさ・・・」
168: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:14:59.58 ID:flZ1wfTAO
母親はサトミの話しを聞くと、アッサリ頷いた。
母親「そうしたら?田舎も手狭だし、一人残すのも不安だしww」
その夜、サトミは父親に話してみた。
父親は最初は渋い顔をしていたが、最後は充分に気をつける様に言って認めてくれた。
竜也は一人ぼっちで家に居る事が出来ず・・・
母親に連れられて田舎に行った。
竜也の嫌がり様は凄かったらしい。
かくして・・・サトミはその夏・・・海へと向かったのだった・・・
169: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:17:14.39 ID:flZ1wfTAO
民宿のバイトは楽しかった。
殆ど毎日の様に海で遊ぶ。
ある日、サトミが昼間のシフトで民宿で留守番をしていると、オフのミユキ達が帰って来た。
ミユキ「今日さww男の子達に声をかけられたよww」
サトミ「へー、良かったねww」
ミユキ「夜に一緒に花火する事に成ったからサトミも行こうよww」
サトミ「えー、でも知らない人達って怖くない?ダメだよ変な人に付いて行ったら」
サトミがそう言うとピザが呟く。
ピザ「一人は、マアマアのイケメンで、一人はガイコツで馬鹿。もう一人はやたらとスカシた感じの奴ww」
なんだその三人組。
サトミはそう思った。
171: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:18:46.11 ID:flZ1wfTAO
夜になり、皆で出掛け様とした時に民宿の女将さんが声をかけて来た。
女将「悪いんだけど、誰か明日の仕込みを手伝ってくれない?」
全員が顔を見合わせた。
嫌だ。
その空気がビンビンに伝わっていた。
女将さんは、その空気にヨロケそうに成る。
頑張れ女将。
172: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19 :20:41.79 ID:flZ1wfTAO
サトミはその空気を見るに見兼ねた。
サトミ「あ、良いですよww私やりますww」
サトミは手を挙げた。
ミユキ「え?良いの?サトミ」
サトミ「うんww大丈夫ww終わったら行くww」
そう言ってミユキ達を見送る陰で女将は小さくガッツポーズをしていた。
正直、サトミは余り興味が無かった。
そして少し怖かった。
テレビでそんな人に付いて行って怖いシーンとか有るし・・・
そう思い民宿に居ようと思ったのだ。
173: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:22:25.99 ID:flZ1wfTAO
仕込みをしながら、ふと思う。
てか、ミユキ達は大丈夫?
心配に成って来た。
サトミの頭にミユキ達が犯されるシーンが過ぎった。
冷や汗が出て来る。
不安だ。
サトミの仕込みを行う手がいつになく早くなる。
ヤバい。
絶対にヤバい。
相手がサーファー(何故かサトミはサーファーだと思い込んでいた)だったら絶対にヤバい。
クスリとかされて海外に売られちゃう!!!
ちなみにこれはガチに思っていたらしい。
174: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:24:51.27 ID:flZ1wfTAO
サトミは仕込み早々に終わらせて・・・海岸に向かった。
早く・・・
早く・・・
ミユキ・・・
襲われて無いでね・・・!
サトミは海岸へ走った・・・
海岸に到着すると、サトミが考えていた阿鼻叫喚の図は無かった。
楽しそうに語らうグループだけ。
ミユキ達だった。
ミユキはサトミを見付けると砂浜に呼んだ。
サトミは一気に拍子抜けをしたのだった。
175: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:27:00.39 ID:flZ1wfTAO
近付くと、男は一人だけである。
三人居るんじゃ無かったの?
そう思いながら、その男を見た。
・・・・
・・・・!!!
サトミの中でセピア色の記憶が舞い戻る・・・
サトミ「森・・・君・・・」
176: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:28:10.95 ID:flZ1wfTAO
そこには中二の時に同じ文化祭の実行委員だった眼鏡がいた。
サトミはビックリした・・・
と、同時に安心した。
そして眼鏡と再会を喜んでいる最中に・・・
「うおおおおおおおお!!!!!!!」
と叫びながら海岸に向かって来た二台のチャリンコが見えた・・・
こうして
運命の歯車が回りだしたんだ・・・
177: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:30:11.78 ID:flZ1wfTAO
サトミに取っても、その二週間は楽しかった。
本当に夏を感じる事が出来た二週間だったんだ。
だが、その夏も終わりが来た。
「タクシーなんか勿体ねーよww今から迎えを寄越すからww」
その言葉を頼りにサトミは民宿の前で待っていると、向こうから汗だくでチャリンコで現れた、あの人を見て笑ってしまった。
178: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:33:44.51 ID:flZ1wfTAO
その人の後ろに捕まりチャリンコに乗る。
夏の田舎道を二人で進みながら風を感じる。
何故か前で自転車を漕ぐ男の背中を見てドキッとした。
夏だ・・・
サトミは思った。
でも、ミユキがこの人の事を気に入ってたんだな
・・・うん。
この人は優しい人だし、真面目な人だww
そう思い、なんとかミユキの恋を成就させよう、そうも思った。
179: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:35:26.93 ID:flZ1wfTAO
駅に到着して二人で話しをする。
この人とは本当に話しが合う。
ふとした沈黙の時にサトミは言った。
サトミ「ミユキの事・・・どう思う・・・?」
サトミは一生懸命ミユキの良さを語った。
が、話しをすればする程、その人は沈んで行った。
180: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:37:35.91 ID:flZ1wfTAO
・・・?
なんで?
サトミがそう思っていると、その人は突然呟いた。
「俺は・・・石原が好きなんだけどな・・・」
サトミは一瞬何が何だか分からなく成った。
え?
何?
サトミはグルグルと今までの事を振り返る・・・
確かに・・・そう言えば・・・確かに・・・
サトミは焦った。
181: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:38:57.40 ID:flZ1wfTAO
そして・・・
サトミ「返事は今した方が良い・・・?」
サトミがそう言うと、その人は無理に笑いながら応える。
「今じゃなくても良いよww」
そう言われサトミは電車に乗った。
電車の中から、その人を見つめる。
そうか・・・この人は私を好きだったんだ・・・
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182: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/21(水) 19:40 :20.31 ID:flZ1wfTAO
何か、不思議な感じだった。
胸が締め付けられる。
ドアが閉まり、電車は動き出した。
ゆっくりとその人から電車は離れていく。
サトミは窓に張り付いて、その人を見つめた。
その人は・・・
ずっと佇んだまま・・・電車を見送っていた・・・
こうして
彼等は再び離れ離れに成って行ったのであった・・・
186: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/21(水) 19:48:28.95 ID:9k.Bw5g0
福田さんがきてたwww
まとめはゆっくりでいいんだよ
遅くなったけど結婚おめでとう!!
193: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:26:40.83 ID:3e7R4ak0
夏の残りをサトミはずっと告白して来た人の事を考えて過ごした。
確かに、あの人は悪い人じゃ無い。
だけどミユキが好きな人なんだ・・・そう思った。
それにその人の事はずっと友達だと思っていた。
恋人・・・って言う感じじゃ無いし・・・
サトミは悩んだ。
思い切り悩んだ。
そして、もう一度話しをしたかった。
ちゃんと話しをして結論を出したかったのだ。
そう思い、夏の間に聞いたその人の家の電話番号を回した。
昔の連絡網は廃棄したので無かったのだ。
194: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:27:32.99 ID:3e7R4ak0
何回かのコールの後に出た。
爺さん「もすもす・・・」
しゃがれた声で聞き取り辛かった。
サトミ「あ、もしもし・・・石原と言いますが、ユウジさんいらっしゃいますか?」
爺さん「あい・・・いません・・・あい・・・」
留守か・・・お祖父さん、かなりのお年なんだな・・・何言ってるか分かん無いや。
サトミ「あ、そしたら、また電話します。失礼します」
爺さん「え!!!????」
サトミ「あ、また!!!電話します!!!!」
爺さん「あい・・・」
ガチャ。プー、プー。切られた。
195: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:29:42.75 ID:3e7R4ak0
それから何回か電話したがいつも爺さんが出た。
サトミは爺さんに伝えた。
サトミ「ユウジ君に!!!お電話頂ける様にお伝えして貰えますか!!!」
サトミは耳が遠い爺さんに伝える。
爺さん「はぇ???ああ!!!あい・・・」
ガチャ。プー、プー。
サトミは電話を待ったが・・・結局電話は無かった。
それ以降サトミは再び電話をしようとしたが、また爺さんの相手をするのが正直疲れていた。
そして、そのまま時は過ぎたのであった・・・
196: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:31:13.65 ID:3e7R4ak0
「私、彼氏と運命かも知れないww」
大学生に成ったサトミは毎日が新鮮で楽しかった。
ある日の学食で友達がそう言って来た。
サトミ「運命・・・?」
友達「そうそうwwだってね、私と彼氏、同じ高校だったんだけど・・・大学入ってバイト先で再会したのよwwこれ凄く無い?」
友達は嬉しそうに語って来る。
運命・・・なのかな・・・?
サトミはそう思った。
運命と言うのはもっと重い言葉だと思っていた。
たかだか二十歳やそこらで運命なんて物を感じられるんだろうか・・・?
その時位からサトミの頭に『運命』と言う言葉が妙にこびりついた。
198: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:32:37.86 ID:3e7R4ak0
『運命』
それは振り返って始めて分かるもんじゃ無いのか・・・
そう思っていた。
しばらく後にサトミにも彼氏が出来た。
うん、俺は平気。
俺も彼女いたし。
仕方ない。
彼氏と付き合っている時に、何度か思ったのが
「この人は運命の人なんだろうか・・・?」
だった。
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199: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:33:29.53 ID:3e7R4ak0
彼氏に聞いた事もある。
彼氏「いやー、正直そんなの分かんねーよww」
そう一笑されてしまった。
確かに。
そんなの分かる筈も無い。
そんなのはやっぱり振り返ってからしか分からないものなんだ・・・
サトミはそう自分に言い聞かせる反面、『運命』と言う言葉に引かれ続けた。
少女ちっくな女でスマン。
200: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:34:24.92 ID:3e7R4ak0
大学二年に成った時に、その彼氏とも別れた。
「お前はなんで、そんなにトロいの?もう正直ウザいよ」
そう言われたらしい。
彼氏を殺してやろうか本当に。
サトミはショックだった。
本当に好きだった人にそう言われて沈んだ。
私ってトロいんだ・・・
別れてからはどこにも行きたく無かった。
誰にも会いたく無かった。
201: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:35:17.54 ID:3e7R4ak0
友達から慰めのメールが来る。
でもショックは癒えない。
そして思ったのは・・・
あの人は『運命の人』じゃ無かったんだな・・・
そう思って一人部屋で膝を抱えた。
202: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:36:36.45 ID:3e7R4ak0
梅雨に入った頃、サトミは外出し始めた。
だが、まだショックは癒えなかった。
気が付くと彼氏と一緒に行った場所に行く。
そこで一人でぼんやりしていたのだった。
そして泣く。
可哀相に・・・
203: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:37:54.08 ID:3e7R4ak0
ある朝も何も考えずに出掛けた。
バイトをしなきゃ・・・
何故か朝の通勤電車に揺られながら、そんな事を考えていた。
電車で近場をグルグル周った。
その後に「帰ろう・・・」
そう思い駅で佇む。
雨はシトシトと降り続いていた。
天気も自分もウジウジして嫌だった。
204: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:38:48.29 ID:3e7R4ak0
駅に入って来た普通電車に乗り込む。
そして、誰もいない端っこの座席に座った。
ボーッと前を見ながら流れる景色を眺める。
ちゃんとしよう・・・明日からちゃんとしよう・・・
そう思い、いくつかの駅を越えて人がパラパラと乗り降りをする。
206: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:39:43.32 ID:3e7R4ak0
ある駅に到着すると、大学生らしき男が乗ってきた。
こんな時間に・・・・学校?
遅いな・・・三限からかな?ああ私も学校行かなきゃな・・・
そう思い、何気なくその人の顔を見た・・・
時が止まった。
いや、動きはじめた。
あの時に見た夏の海が一面に広がった・・・
二度目の偶然が重なった瞬間だった・・・
207: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:40:59.22 ID:3e7R4ak0
「偶然が重なるね」
翌日、学食で友達にそう言われた。
友達はサトミが学校に出て来てくれた事を喜んでくれていた。
皆、別れた彼氏の事は何も言わない。
その気遣いが嬉しい反面辛かった。
友達A「良いんじゃない?その人ww偶然にかこつけて付き合ったらww」
友達B「そうそうwwひょっとして運命かもww」
その言葉が出た時に・・・クキンと胸が鳴った。
まさか・・・wwあの人が・・・?
208: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:42:03.52 ID:3e7R4ak0
サトミ「うーん・・・でも友達・・・って感じの人だから」
友達A「え?冴えない感じ?」
サトミ「ううん、そんな事は無いと思う・・・」
友達B「じゃあ遊びに誘われてる訳だし、遊んでからイロイロ決めたらwwサトミも新しい恋見つけなきゃww・・・あ・・・」
友達はそう言って口を塞いだ。
サトミは苦笑いをした。
そんなに気を使わ無くて良いのにww
209: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:43:09.71 ID:3e7R4ak0
だが、サトミは付き合う気は無かった。
余りにも前の失恋が痛かったからだった。
スイーツ(笑)←なんかそんな感じww
その人と遊びに出掛けた。
なんだか中学時代に戻った気がした。
いつかの様にかき氷を食べた。
凄く懐かしくて笑う。
楽しい。
何もかもを忘れてしまう。
210: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:44:06.93 ID:3e7R4ak0
だが、ふとした瞬間にその人の顔が曇った。
そして上の空に成る。
サトミも天然とは言え大学生でしかも女だ。
勘は働く。
別の・・・女の人が居るんだな・・・そう思った。
なんだ・・・そうか・・・サトミはガッカリした。
少し・・・ほんの少し興味が沸いていたのに。
211: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:45:03.88 ID:3e7R4ak0
それは気が合う、って言うのと、素の自分に成れるって言う気持ちが重なったからかも知れない。
だけど・・
ダメだな・・・
もう傷付くのは嫌だし。
サトミはそう思った。
その遊びに行った日から連絡がしばらく途絶えた。
サトミはそれで完全にその人に女の影を確信した。
結局。あの人も運命じゃ無かったんだ。
そう簡単に巡り会わないんだ。
そう思いながら日々を過ごして行った・・・
212: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:45:55.69 ID:3e7R4ak0
ある晩、またその人から電話がある。
普通に喋る。
携帯で電池が無くなるまでも喋ってしまった。
確かにあの人と話すのは楽しい。
凄く癒される。
だけど・・・あの人の彼女は大丈夫なんだろうか・・・
サトミはそう思いながらも、それ以降もその人と電話を続けていたのであった・・
213: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:47:41.91 ID:3e7R4ak0
テスト期間に入りテスト勉強をする。
失恋で学校に来てなかったから勉強が大変だった。
それでも何とか友達の協力で切り抜ける事が出来た。
テストが終わりあの人から電話があった。
遊びに誘われた。
あの人の声は明るかった。
後ろめたさが消えた感じがしていた。
別れた・・・?
そう思ったがサトミは何も聞かない。
214: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:48:32.11 ID:3e7R4ak0
あの人は古い友人なんだ。
それに私はもうしばらくは傷付きたく無いし・・・
それに・・・
それに『運命の人』なんて早々現れない・・・
いつまでもこんな少女チックな考えは持たない方が良い・・・
サトミはそう思いながら出掛ける準備をしていたのだった。
215: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:49:30.62 ID:3e7R4ak0
その人の二度目の告白は突然過ぎてビックリした。
そんなに一気にまくし立て無くても・・・
だが、その人は真剣な眼差しだった。
サトミはその気持ちは凄く嬉しかった。
こんなトロい女を「好き」と言ってくれるなんて・・・
217: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:50:23.74 ID:3e7R4ak0
でも。
でも、今はそんな気に成れない・・・
それにこの人は・・・この人は違う気がする・・・
サトミはそう思い言葉を発した。
「ごめんなさい・・・」
その人は凄いショックな表情を浮かべる。
漫画の様に顔に斜線が入った様だった。
218: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:51:18.84 ID:3e7R4ak0
二人は歩き出す。
仕方ないよね・・・サトミは思った。
この人とは友達でいたい。
だから・・・
恋人には成れない・・・
運命の人なんて・・・
そう簡単に巡り会わない・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
219: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:52:32.77 ID:3e7R4ak0
突然、その人は立ち止まる。
そしてサトミを真剣な眼差しで見つめて携帯電話を取り出し、そのまま開けた。
何・・・?
サトミは思った。
「知ってた・・・?」
彼が呟く
「うん?」
「俺らってさ・・・二回も偶然の再会をしてるよな・・・?」
「そうだね・・・」
サトミの鼓動が少し速く成って来た。
220: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:53:29.59 ID:3e7R4ak0
彼は少し息を吐くともう一度サトミを見つめる。
「これが・・・もし三回の偶然が・・・重なったら・・・奇跡だよな・・・?」
サトミは何も応えられずにいる。
221: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:54:24.53 ID:3e7R4ak0
彼はサトミを見据えたまま呟いた。
「それって何て言うか知ってる・・・?」
彼の質問にサトミは息が詰まる様な思いになった。
「何・・・?」
声が少し震えた・・・そして・・・彼は応えた・・・
「運命って言うんだよ・・・!」
222: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:55:18.74 ID:3e7R4ak0
ドクン・・・!!!
サトミの心臓が弾けるように血液を送り出す・・・
彼は携帯電話のサトミのメモリーを開けると一気に消去した・・・
サトミの中でその姿が遠くに見えた。
サトミの鼓動はマックスになっていた
223: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:56:25.53 ID:3e7R4ak0
「俺はもう一度お前に再会する、それが何年、何十年かかるかは知らん・・けど、絶対にもう一度・・・再会する!」
『運命』
その言葉がサトミの中を回り続ける
『運命』・・・
「このまま行けば、友達として俺は石原と過ごせるんだろう・・・それはそれで幸せかもしれない・・・けど、俺は石原の恋人に成りたいんだよ勝手だけど俺は・・・お前の恋人に成りたいんだよ・・・!」
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224: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:57:16.40 ID:3e7R4ak0
彼の瞳がそれが本気な事を物語っていた・・・
「だから・・・俺は絶対にもう一度お前を探し出す!!!」
彼の叫びを聞き終えると・・・
サトミは下唇をかみ締めた。
居たんだ・・・
こんな人が・・・
サトミは何故か笑ってしまった・・・
自分の青臭い思いを受け止めてくれる人がいる・・・
その気持ちに思わず笑ってしまったのだった・・・
225: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/22(木) 13:58:27.67 ID:3e7R4ak0
そうして2人は三度目の別れをした・・・
『運命』
その言葉を信じて。
その時にサトミは決断した。
もし本当に、本当に巡り合えるんだったら・・・
信じよう・・・!
この人が・・・
『運命の人』
だと言う事を・・・!
234: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/22(木) 17:48:12.39 ID:m1L4b2SO
相変わらず福田は文才あるよな~
BGMはサンボマスターで脳内劇場
239: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:41:08.06 ID:oXRb/ESO
社会人に成り、サトミは上京した。
両親、特に父親は反対したのだが仕事と言う事で渋々了承。
だが、その後に竜也を送り込むと言う策士ぶりを発覚した。
サトミに取って初めての一人暮らしは大変では有るが楽しかった。
仕事も忙しく目まぐるしい毎日を送っていた。
240: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:43:06.82 ID:oXRb/ESO
忙しい最中にサトミはふと思い出す。
『運命』と言う言葉を。
あの日あの時・・・確かに感じた。
あの人は真剣だった。
サトミはあの人に巡り会う為にイロイロ動き回った。
だが、巡り会う事は無いまま大学生活を終えて上京する事に成っていた。
それと同時に運命を諦めかけている自分がいる。
でも、遠く離れたこの地で・・・
サトミはどこかで期待している自分もいた・・・
いつかどこかで・・・巡り会う事を・・・
242: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:45:30.48 ID:oXRb/ESO
ちなみに話しは変わるけど、俺はいつも、これ書く時にMr.Childrenの『CANDY』を聴いてる
なんかね、俺の思いにピッタリなんだよ
全然関係無い話しを失礼しました
続き書きます
243: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:47:02.58 ID:oXRb/ESO
サトミは毎日仕事を頑張った。
友達もいないし、恋人もいないサトミに取っては毎日仕事しかする事が無い。
最初は失敗する事も多かったが、次第に上司からの信頼も得る事が出来た。
それでもミスはするし、怒られる事も有る。
遅くまで残って仕事する時もある。
たまに自分でこんな生活で良いのかな・・・?
そう思う時もあった。
244: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:48:47.91 ID:oXRb/ESO
夜空を見上げて昔を思い出す事も有る。
決まって思い出すのは、高二の夏に田舎道をあの人の後ろに乗って自転車で走った時だった・・・
何故かは分からない。
ただ、あの強烈な夏を思い出し・・・
続いて、あの夜の公園のあの人の『運命』と言う言葉を思い出す・・・
そうして時は流れて行った・・・
245: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:50:32.99 ID:oXRb/ESO
社会人も三年目を迎えると自分の生活が出来上がる。
そんな折りに上京して来た竜也は非常に迷惑だった。
「竜也、たまにはトイレ掃除してよ」
そう言っても竜也は何もしない。
そして疲れているのかリビングで眠る。
寝言でたまに「すみません・・・すぐやります・・・」と呟いていた。
竜也もちゃんと社会人をやっているんだ・・・
サトミはそう思っていた。
246: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:52:01.29 ID:oXRb/ESO
「石原さーん、これまた間違えちゃいましたww」
新人の女の子がペロリと舌を出して書類を持って来る。
また・・・
サトミは溜め息をついた。
サトミ「分かった、それじゃあ、ここをこう変えて・・・」
そうサトミが説明すると新人は答えた。
新人「あ、私は馬鹿だから分かんないやwwww」
サトミは目が点になった。
247: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:56:03.11 ID:oXRb/ESO
サトミ「うん、でもね、これを覚えないと・・・」
新人「石原さん、お願いしますwwこれやっといて貰えますww」
そう言って仕事を押し付けられた。
サトミ「うん・・・」
サトミは何も言えず仕事を引き受ける・・・
ダメだな・・・私・・・
サトミは思う。
なんで強く言えないんだろう・・・本当ダメだ。
まあ、この新人がとんでもなくダメだけどサトミも舐められ過ぎだ。
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248: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:57:57.52 ID:oXRb/ESO
「大丈夫か・・・石原さん・・・?」
そう言ったのは先輩社員の田中だった。
ちなみに田中はイケメンらしい。
サトミ「あ、大丈夫です・・・」
田中「そうか・・・まあ、最近の子は難しいからなー」
じゃあお前が注意しろよボケ。
あ、これは俺のツッコミです。
田中「まあ、良いや週末に皆で晩飯食べに行くんだけど来る?」
サトミ「あ、はいwwじゃあ行きますww」
田中「うんwwじゃあww」
最近よく田中に誘われる。
勿論二人きりじゃ無しに皆でだけど。
249: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 16:59:58.29 ID:oXRb/ESO
田中さんは優しいし仕事も出来る。
あんな人が彼氏だったら・・・
サトミはそう、ふと思った。
夏も近付いた有る夜、久しぶりにサトミも竜也も家に早く帰って来た。
一緒に晩御飯を食べながらお互いの仕事の話を久しぶりにした。
竜也「でさwwその福田さんがさ・・・ww」
最近よく竜也が『福田』と言う名前を出す。
あの人と同じ名前だ。
まあ、どこにでも有る名前だからサトミは特に気にも留めなかった。
250: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:01:32.85 ID:oXRb/ESO
竜也が嬉しそうに語る『福田さん』竜也曰く仕事が出来る上司らしい。
どんな人なんだろう・・・
サトミは少し気になった。
竜也「姉ちゃんさー、早く彼氏作れよ、その田中さんて人良いんじゃね?」
サトミ「田中さんは、先輩なの。そんな関係じゃ無いから!」
竜也は「ふーん」そう呟いた。
弟に恋人の心配される様に成ったらマズイわね。確かに。
サトミは思っていた・・・
251: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:03:06.95 ID:oXRb/ESO
ある日、新人がやらかした。
顧客に出す書類を完全に間違えていた。
大慌てで書類を作成しなおす。
とにかく新人に客先に謝罪に行かせてサトミは書類の作成を行った。
なんとか夕方までに書類を作成しなおし、今度は自分の仕事をする。
一人、また一人と帰宅し始めた。
新人も自分の仕事を終えるとさっさと帰宅する。
サトミは疲れていたし、自分の仕事を早く終えたいので注意する元気が無かった。
それに女同士は何かとやりにくい。
252: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:05:02.85 ID:oXRb/ESO
オフィスがガランとした時に後ろから声を掛けられた。
「今日は大変だったな石原さん」
振り返るとそこには田中さんがいた。
サトミ「あ、お疲れ様です」
田中「どれ、見積もり作ってるんだろ?俺も手伝うよ」
サトミ「あ、良いです、良いです・・・」
田中「良いからww」
そう言って田中は手伝い始めた。
サトミは嬉しかった。
田中さんは・・・本当に良い人だ・・・
そう思い二人で楽しく作業を行って行く。
253: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:06:37.10 ID:oXRb/ESO
二人で行ったので作業は早く終わった。
田中「よし・・・お疲れ!」
サトミ「お疲れ様です・・・本当にありがとうございました!」
田中「水臭い事は言うなww・・・なあ」
田中はサトミを見た。
サトミ「はい?」
田中「今から・・・飯、どう?」
サトミ「え・・・」
田中「美味い店知ってんだ、行こうよ」
サトミは一瞬迷った・・・
が、「はい・・・ww」
そう返事をした・・・
254: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:08:07.09 ID:oXRb/ESO
二人でご飯を食べた後に飲みに行った。
田中「でも、あの新人はダメだなー」
サトミ「・・・もう大変ですww」
田中「石原さんは・・・よく頑張ってるよ・・・」
そう言って田中はサトミを優しく見つめた。
ドキン。
サトミは鼓動が早くなった。
田中が喋る横顔を見つめる。
この人で・・・良いのかな・・・?
サトミは思った。
255: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:09:47.54 ID:oXRb/ESO
明らかに田中はサトミを狙っている。
それは十二分に理解出来る。
サトミも田中は嫌いじゃ無い。
むしろ素敵な人だと思っていた。
『運命』か・・・
そろそろ潮時かも知れない。
私はずっと待っていた。
本当に待っていた。
でも・・・
あの人じゃ無いかも知れない・・・
運命の人は・・・
別かも知れない。
田中「うん?どうしたの?」
田中はサトミが黙っているのに気がついてサトミを見た。
256: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:11:22.89 ID:oXRb/ESO
サトミ「田中さん・・・」
田中「・・・うん?」
サトミは少しはにかむ。
サトミ「運命って・・・信じます・・・?」
田中「運命・・・かあ・・・」
田中はそう言って考え込む様にテーブルに肘をついた。
サトミはドキドキして来た。
この人なら大丈夫・・・笑わない・・・
絶対に大丈夫・・・そう思った。
サトミ「昔ね・・・二回再会した人がいたんです・・・」
そう言ってサトミは田中に全てを話した。
257: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:13:39.15 ID:oXRb/ESO
共感して欲しい・・・
そして私を理解して欲しい・・・
そんな願いを込めた・・・
話し終えたサトミは田中を見た。
そして・・・
田中「うん、運命だねーww凄いなそりゃww」
田中はそう言ってグラスを口元に持っていく。
サトミ「・・・・」
田中「まあ、俺もそんな恋愛したいな・・・」
そう言って田中はサトミを見つめた。
サトミは微笑み返した・・・
258: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:15:19.02 ID:oXRb/ESO
店を出た後に田中は言ってきた。
田中「もう一件・・・どう?」
田中の言葉にサトミは少し考えて答えた。
サトミ「あ、すみません・・・明日早いんで・・・帰ります・・・今日はありがとうございました」
そう言って頭を下げるとスタスタと歩きだした。
259: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:18:12.01 ID:oXRb/ESO
違った・・・ね。
馬鹿だ私は・・・
なんであんな話をしたんだ・・・
田中さんは違う・・・
サトミはふと、夜空を見上げた。
そして、いつかのあの人を思い浮かべた。
あの人は絶対に馬鹿にしない・・・
あの人は運命を受け入れるんじゃ無くて、自ら作ろうとした・・・
ネオンに照らされて星空が見えない。
あの夏の海岸の夜空とは全く違う。
サトミは涙が出て来た。
なんの涙かは分からない。
郷愁の涙なのか、今の自分の情けなさなのかは分からない。
ただ・・・涙が出ていた・・・
260: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:21:07.36 ID:oXRb/ESO
夏も盛りになり、暑い日が続いた。
あの日以来、田中はサトミを誘わない。
そして軽く冷たくなった。
男の人って、そんなんなんだ・・・
サトミは思ったが、とにかく仕事を続ける。
お盆前で凄く忙しい。
持ち前の断れない性格が遺憾無く発揮されて仕事量が半端無い。
またもや新人がミスをして更に仕事量が増える。
明日から盆休みに入る、と言う日なので皆は明日からの休みで早めに仕事を終えて飲みに出掛けて行った。
261: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:22:38.91 ID:oXRb/ESO
八時を回った時
竜也からの「今日は福田さんと飲みに行く」と言うメールで気が付いて周りを見るとオフィスには自分しか残って無かった。
「はあー」
サトミは溜め息をついた。
だが、今日中に終わらせないといけない・・・
そう思い頑張る。
262: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:24:38.65 ID:oXRb/ESO
11時前になんとか終わらせる事が出来た。
サトミは会社を出て駅に向かう。
帰りの電車は酔客で一杯だった。
皆、明日からの休みを喜んでいた。
サトミは吊り革に捕まり窓に反射する自分の姿を見る。
すると目の端に顔見知りを捕らえた・・・
田中と新人の二人だった。
263: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:26:03.52 ID:oXRb/ESO
え・・・?
二人は楽しそうに話している。
そして、手を繋いでいるのが見えた。
サトミは軽いショックを覚えた。
別に田中が誰と付き合おうが構わない。
でも、お前は新人を馬鹿にしてたじゃ無いか・・・
時折二人がクスクス笑う。
それが自分を笑っている様な気がした。
サトミは・・・涙が出て来た。
264: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:28:11.41 ID:oXRb/ESO
自分はこんなに頑張ってるのに・・・
なんで・・・?
新人の尻拭いをする為に一人遅くまで仕事をしていた。
なのに、他の人達は仕事を押し付けて楽しんでいる・・・
サトミは涙が止まらなくなった。
それでも良い・・・
押し付けられるのは構わない・・・
でも・・・
でも私にも、疲れた時に疲れた、と言う相手が欲しい。
同じ価値を共有出来る相手が欲しい・・・
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265: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:29:43.33 ID:oXRb/ESO
サトミは家に着くと服も着替えず、化粧も落とさずにベッドに倒れ込んだ・・・
もう・・・無理なのかな・・・?
限界かな・・・?
『運命』か・・・
私には無かったんだ・・・
サトミはノッソリと動き、お風呂へ向かった。
そして、再び泣いた。
266: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:31:46.09 ID:oXRb/ESO
『運命』ってなんだろう・・・
そんなものは・・・無いんだ・・・
遠く離れた場所で、そんなものを期待している私は馬鹿なんだ・・・
もう・・・
もう・・・
無理なんだ・・・
267: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:32:41.05 ID:oXRb/ESO
お風呂から上がりサトミは髪を乾かして、ボーッとベッドに転がっていた。
盆休みに実家に帰る。
その時に・・・最後に行ってみよう・・・
あの人の住む街に・・・
そして、それで諦めよう・・・
もうこれ以上・・・待てない・・・
268: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:34 :20.68 ID:oXRb/ESO
サトミの気持ちとは裏腹に
既に運命の歯車は合致していた・・・
もう目の前まで『運命』は来ていた。
足音が聞こえて来る・・・
そして、インターフォンの音が聞こえた。
竜也か・・・サトミはそう思いインターフォンを出た。
269: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:35:23.58 ID:oXRb/ESO
そして、サトミはドアノブに手をかけた・・・
正に『運命の扉』は開かれた・・・
あの日、あの時、あの場所で約束された『運命』のカケラが・・・
今、一つに成った・・・
270: 福田 ◆RzEettbBGE :2009/10/23(金) 17:37:25.57 ID:oXRb/ESO
以上っす
なんか自分で書いててむず痒くなりました
一応これでサトミ編は終了です
次回は板倉編ですww
じゃあね!
271: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/23(金) 17:40:04.14 ID:hVv2O0.o
福ちゃんお疲れー(`・ω・´)ゞ
272: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/23(金) 17:40:34.84 ID:iKlFY1Eo
福ちゃんおつかれさま!
278: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/23(金) 20:51:54.94 ID:6rLSDtk0
俺のなかでは
スピッツ
水色の街
山﨑まさよし
One more time, One more chance
で再生!ミリオンヒット!