後味の悪い話

【後味の悪い話】タマゴ

787: 本当にあった怖い名無し:2009/07/18(土) 20:38:50 ID:bN9fY6Zs0
たぶん絵本か何かの話。

荒野で卵から孵化した動物がいた。
「ママ、どこにいるの、ママ?」
だが、周囲には親の姿はなく、砂地に白い石コロが転がっているだけの殺風景な場所。

「ここはつまらない。」
その子はその場を離れて親を探す旅に出る決意をし、
途中で出会った友達と仲良くなったり、また別れてそれぞれに旅立ったりする。
やがて季節は春から夏になり、もうすっかり成体になっていて、
秋口に出会った異性の個体と夫婦になり、卵を産む。

今でもまだ親を探すという当初の夢を持ち続けていたのかは分からないが、
とにかく幸せな一時だった。が、冬のはじめ、別の動物に襲われて夫は死ぬ。
容赦ない冬の到来で一人身を挺して吹雪から卵を守りながら、
「私はどうなっても構わない、だけど風よ、せめてこの子達にだけは暖かく吹いておくれ!」
と叫んで息絶える。

長い長い冬の後、ようやくまた春が巡ってくる。
生き残った卵は一個だけで、巣に覆いかぶさって雪から中の卵を守っていた母親は
すっかり変わり果て骨の破片がそこらまわりに散乱していた。
孵化した赤ん坊は呟く。
「ママ、どこにいるの、ママ?」

789: 本当にあった怖い名無し:2009/07/18(土) 21:52:39 ID:Gt9rbU820
>>787
つまり最初に転がってた白い石ころは……ウワァァァァ

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