たらればさんFGO記

【FGO】下総国 「英霊剣豪七番勝負」は『魔界転生』へのオマージュ【たらればさん】

たらればさんが、Fate/Grand Order 第1.5部 亜種特異点III 屍山血河舞台 下総国 「英霊剣豪七番勝負」の感想をつぶやいていました。いつもながらとても参考になる内容です。

ぜひ読んでみてください。


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※以下、たらればさんの「FGO・下総国」に関する話題まとめです。

たらればさん 亜種特異点『下総国』考察

いやー面白かった!! 武蔵さん欲しい!!

「下総国」モチーフについて

・最序盤から終盤まで、本シナリオの端々に見え隠れする『魔界転生』(山田風太郎著)へのリスペクトとオマージュ。ファンにはたまらんですね!

以下、両作品の共通点をざっくりと

  • 本シナリオの「第一歌」、「第二歌」というシーン分けは、『魔界転生』の前半部「時獄篇第一歌」「第二歌」から
  • 「英霊剣豪」が(魔界転生の「魔界衆」と同じ)7名
  • ラスボスに位置するのが天草四郎
  • 最初は味方(人間側)だった宝蔵院胤舜、柳生但馬守が敵に回る
  • 鍵となる女子のひとりが「お縫(ぬい)」
  • 武蔵さんが本シナリオ最終盤に、刀の鍔を眼帯にして柳生十兵衛コスプレ(かっこよかった)
  • 『魔界転生』では、晩年人生を懐古する武蔵の前に現れるのが魔界衆だったが、FGOでは◯◯◯◯◯だったという「if」構成なのですね(共通点ここまで)
なおタイトルに付く「序」、「破」、「急」、時折差し挟まれるト書きのような情景描写と(主に武蔵さんの)独白、これ歌舞伎の演出なのですね

『五輪書』『宮本武蔵』へのオマージュ

・本シナリオは『魔界転生』だけでなく『五輪書』(宮本武蔵著、わたしは角川ソフィア版(魚住孝至編)で読みました)、『宮本武蔵』(吉川英治著)へのオマージュがいくつかありました。

・冒頭の武蔵さんの述懐「大将。それは、言わば大工の棟梁だろう」はモロに『五輪書』の「地の巻」ですね(後述)

・マネジメント論としての『五輪書』について少し私見を。

・宮本武蔵が同書で主張しているのは、「武士」とは(徳川体制における行政官としてではなく)あくまで職業軍人でありプロの兵士ないし戦術家であるのだから、その役割に応じて日々研鑽すべきであり、本書はその啓発書である、ということでした。

・その端的な例が、「指揮官(武将)と兵士(武士)では作業の種類が根本的に違う」ということを示す「棟梁と大工の違い」だったりします。特に棟梁としての仕事の分析が面白い。

・「作業者(兵士)の技術練度を上中下と分けて把握しておくこと、それぞれの練度に合わせて作業を配置すること、各現場で丁寧な作業を徹底させること、(練度のほかに)それぞれの作業者にはやる気の上中下があること、全体に勢いをつけること、無理なものは無理だと把握しておくこと」

・これはリーダー論でありマネジメント論でもあり、おそらく武蔵はこの書を戦略的に大名や家老に読ませたかったんでしょうね。二刀流も「2本持ってるんだから2本使えよ」という実践的な理由であり、すごく合理的で論理的で実践的な人なんですね。

・ビジネスマンのためのビジネス論に似ており、また身体運用法という意味で現代スポーツにも活用できるように思えました。上掲書(角川ソフィア版)、読みやすくてお薦めです。

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・一方で柳生但馬守宗矩が執筆した『兵法家伝書』は、上掲『五輪書』とは近いようで真逆で、「(殺人剣ではなく)活人剣としての剣術」について書かれており、行政府として治安維持を担うの将軍家にとって重要な指針であり、柳生宗矩の哲人的政治家ぶり(体制維持)が垣間見えて面白いです。

(閑話休題)

メモとして(超ネタバレ)剣豪7人列記

  • 宝蔵院胤舜=ランサー・プルガトリオ
  • アーチャー・インフェルノ=巴御前(7章以来の登場)
  • アサシン・パライソ=望月千代女
  • バーサーカー・衆合地獄=酒呑童子
  • ライダー・黒縄地獄=源頼光
  • キャスター・リンボ=???
  • セイバー・エンピレオ=柳生但馬守

巴御前について

・巴御前、史実上なんとも微妙なやられ役である木曽義仲の物語に華を添える、文学史上重要な役柄としての歴史があり、個人的には名作『うしおととら』藤田和日郎著の実質的最終巻「外伝」収録の「雷の舞」に登場する巴御前が(源平盛衰記の記述もしっかり踏まえられており)大変キュートで好きです。

酒呑童子について論考

第10節
・酒呑童子(「鬼」の代表選手)について論考
・鬼については以前紹介した『古生物学者、妖怪を掘る』(荻野慎諧著)が最高です。「角が生えている生物は、現実の生物界では牛、鹿、サイ、ヤギ、カブトムシに至るまでほぼ草食。なのになぜ物語の世界でだけ、角は邪悪や残虐性の象徴なのか」と。

なぜ鬼は嫌われるのか?

・なぜ鬼は嫌われるのか? 本シナリオの「そのように語られてきたからだ」という設定には説得力があります。

・天才・山田風太郎作品のなかでも最高傑作といえる『魔界転生』に対して、本シナリオが俄然オリジナリティを発揮しているのが、酒呑童子と源頼光を編み込んだ一連のシーンだと思います。

・日本における「鬼」にまつわる論考は、『鬼と日本人』小松和彦著、角川ソフィア文庫刊が大変詳しくまとまっていて、初学者には特にお薦めです。また角川ソフィアか、すげーな角川。特に序章にあたる「鬼とはなにか」は必見。日本史上においては、「人間」の反対概念として「鬼」が創造されたと

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・日本で一番有名な鬼は酒呑童子であり、源頼光による退治譚は、室町時代に成立、つまり足利将軍家(源氏系)の起源神話、王権神話として機能した。「鬼」が持つ神秘性は失われたが、しかし非人間的所作(残虐性もしくは規格外)の冠詞概念として(例/鬼嫁、鬼監督、鬼畜米英等)生き続けていると。

・なお源頼光が酒呑童子を退治したのは平安中期、一条天皇の要請であり、おお、その一条天皇は安倍晴明や紫式部や清少納言が仕えた帝ですね。つまり、当時は「そういう時代」だったんでしょう。ちなみに源頼光たちが持ち帰ったという酒呑童子の首は、「宇治の宝蔵」に安置されたといいます。

・その「宇治の宝蔵」とはつまり(ピンときた方も多いと思いますが)紫式部が『源氏物語』宇治十帖の舞台に選び、先般のFGOイベント「鳴鳳荘」の元ネタでもある「宇治殿」、つまりのちの平等院鳳凰堂だったりします。
・因縁ですなー。
・「この世のどこかにこの世とあの世をつなぐ宝を収めた蔵がある」と。

12節、酒呑童子と源頼光がダブルで登場

・つえええぇぇ。。。
・令呪と石を2つ割って(涙)宿業両断
・「嗚呼、そんな…………、そんなにも浅ましくも正しい魂…! まるで晴明(やつ)のようでありますまいか……」
・……え、安倍晴明、出てくるんですか?

・宮本武蔵、「生涯独身」という属性は引き継いでるんですね。武蔵さんと柳生但馬守と天草四郎は英霊ではない、という解説。
・「たどり着いた者」とは?
・うーん、わからん…
・14節で「おたまちゃん」に、おぬいちゃんと田助を預ける主人公たち
・たたたた玉藻前(日中最強妖怪)やないかい。

宣教師登場

・わーー、またきみ(巌窟王)か!!
・あ、そうか、巌窟王はキリスト教徒(伴天連)であり、しかも復讐者であるからか!(え、そういう問題か??)

14節

・14節で加藤段蔵による告解とキャスター・リンボの真名判明
・おおお、、「安倍晴明」って! おまえかー!!?

・……ん?
・ほんとに晴明?(一人称が「拙僧」て)

・あ、そうか、英霊剣豪の登場時にいちいち空が暗くなるのは『蘆屋道満大内鑑』の演出か。
・個人的には(初見が歌舞伎なので)道満に悪役というイメージはあんまないです。「恋しくば 尋ね来てみよ和泉なる 信田の森の うらみ葛の葉」は最高なので観ましょう。

風魔小太郎

・風魔小太郎「母上…!」(えっ??)すみません、風魔に関する知識がすべて『風魔の小次郎』(車田正美著)です。
・ホームズと巌窟王は、どうやら亜種特異点シリーズでは特権的な役割を与えられているんですね。
・穢土城内、武蔵の「姫路城なら登ったことがある」って、長壁姫(刑部姫)伝説かー!

・最終決戦で「都牟刈(つむかり)の太刀」登場。
・いわゆる「草薙剣」ですね((草を)摘む、刈る)

佐々木小次郎登場

・実在が怪しいが「語られ続けていること」を依り代にして顕現した佐々木小次郎と、実在は確定しているが「(その実在とはまったく異なる)語られ続けた姿」で顕現した宮本武蔵。

・おぬいちゃん、「むさしちゃんみたいに、なるの! きれいで、かっこよくて。つよくてりっぱな、むさしちゃんになる!」でちょっと泣く
・あぁ、、そうか…、武蔵さんが「英霊ではなく人間」という設定がここで生きてくるのか……
・カルデア帰還で最後に武蔵ちゃんからメッセージ
・かなりグッとくる

・そんなわけで、ここで「一切完勝」!続いて「セイレム」突入となります
・フレンド欄の皆さんいつもありがとうございます! 皆さまのおかげで攻略できてます!!
・なお幣デア、魔王信長まだお越しになってません……。。。、、。

・ところでルルハワってなんですか。

(了)

おまけ

・(週末15年ぶりくらいで『魔界転生』を読み返しました。まったく色褪せない面白さにうなりつつ、乱れ打たれるエログロ差別描写(5pに一回くらいの割合で誰かが全裸になってて、10pに一人くらいで誰かが真っ二つになる)に、現代だったら制約なしでこれを発売するのは難しいのかな…と思うのでした)

・(少し寂しくなるいっぽうで、凄まじい速度で社会環境が変わり、(自分自身を含む)読み手の意識が変わってゆくなかで、変わらず痛快であり続ける娯楽小説の強さとたくましさに、ある種の安心感と郷愁めいた感覚も覚えるのでした。『魔界転生』、やっぱり山田風太郎作品のなかでも最高峰ですねー!)

参照:https://twitter.com/tarareba722/status/1150779401044254720

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