世にも奇妙な物語

【世にも奇妙な物語】13番目の客

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11:世にも奇妙な物語「13番目の客」 1/2:2013/09/17(火) 08:03:49.54 ID:6o3zMg4aP

本田謙一郎(草なぎ剛)はディスカウントショップのやり手の社長。
今日も携帯で部下を叱りとばしながら、
商売のため出たくもない政治家の息子の結婚式に出るため車を走らせている。
髪も髭も伸びているので目に付いた理髪店に入ると・・・。

そこはものすごく秩序が保たれた場所。
13人の店員に出迎えられ、戸惑いながらもヒゲ剃りだけを任せる社長。
だが、店員は髪の手入れまで始めた。
その床屋は何から何までキッチリとした秩序の下で動いていた。
ある者はクリームを泡立て、ある者はシーツを被せ、ある者は切った髪の掃除をして…
慇懃無礼な対応にイライラしながらも、店員の態度に気圧され、そのまま委ねるしかなかった。

やがてカットが終わり、帰ろうとする社長。
だが、それより先に店長らしき店員が、仕事終わりとでも言うように身なりを整え、店を出た。
自分を無視して店長を見送る他の店員に苛立ちながら帰ろうとするが、何故か敷居をまたげない。
他の店員が言うには、1人客が来たら1人が出られるシステムなようだ。
それまでは徹底した秩序の下で過ごさなければならない。
怒りのあまり社長は暴れだすが、店員たちは社長を押さえつけ、縛り付けてしまう。
「ここから出せ!」と叫ぶも、誰も取り合おうとはせず、店員たちは床屋の修行に勤しんでいた。

やがて空腹の為フラフラになるが、店員の一人は、秩序を守らないと食事は出ないという。
椅子に掛けて、秩序を受け入れれば食事は出るというが、社長は意地でも椅子に座らない。
それを見かねた別の店員が、「余った食事を与えるのは秩序を乱すのか?」と問う。
その言葉に店員たちは固まり、そして食事を少しずつ、社長の席に置いた。
誰もいなくなった食卓で、社長は久々の食事に貪りつき、そして震えながら涙を流した。

12:世にも奇妙な物語「13番目の客」 2/2:2013/09/17(火) 08:05:09.22 ID:6o3zMg4aP
次の日から、社長は秩序の輪に入り、床掃除から始める。
そんな社長に、店員達もやっと、先輩として厳しくも暖かい言葉をかけるようになった。
かつての自分とはかけ離れた仕事に戸惑いを感じながらも、少しずつ楽しさを見出していく。
新しい客がかつての自分のように怒りを見せれば、優しい言葉をかけて諭したりもした。

そんなある日、寝室で一人の先輩に声をかけられる。
先輩が言うには、新しい環境に馴染むためには4つの段階がある。
新しい環境への好奇心、今までの自由が消えたことへの不満、後輩への知ったかぶり。
それを経て、ようやくそこの文化を自分のものにし、住人となれるのだ。
だが、この床屋を出たものは、もう一つの段階を経験するという。
やがてその先輩がこの床屋を旅立つ日が来る。
郵便配達員だった彼は、この先にある段階が何なのか、自分の目で確かめるといっていた。

12人の店員がいて、次にやってきた客の髪を序列が1番の者が切り、店を出ていける。
その客は店員としてそこに序列の最後に加わる。
客は1ヶ月に一人くらいしか来ないので、店を出ていけるまでには1年以上かかる。
最初は反抗したが結局その秩序に飲み込まれ、1年以上経ってやっと序列が1番になり、
そして客の髪を切り、出て行けることになった。

久しぶりにスーツに身を包み、みんなに見送られながら床屋を後にする。
長い仕事を終えた社長は、清々しい顔をしていた。
ここに来た時の険しい顔からすれば、憑き物が落ちたかのようだった。

みんなの拍手に送られ外の世界に出た時、携帯が鳴った。
相手はかつての自分の部下。
部下からの喜びの声に呆然としながら、今がいつなのかを問いかける。
外の世界は1年前のままだった。
社長が床屋に入ってから、実は時間は経っていなかったのだ。

だが、嬉々とした部下の声とは裏腹に、社長は呆然としていた。
混乱する剛。先輩が言っていた「次の段階」がこれだったのか。
彼の目の前には、郵便配達の自転車が倒れていたのだ。

理不尽な世界に閉じこめられていたはずが、
外に出てみるとその世界が幸福な世界であったことに気づいてしまう。
後ろを振り返り、あの床屋へ帰ろうとする。
しかし床屋はどこにもなかった。

もはや現実には適応できなくなってしまったのか。
理髪店に戻りたいがもうそこには店はなかった・・・。
「床屋が見えない…もう一度入れてくれ…見えない…見えない…俺を入れてくれぇ…!」

13:世にも奇妙な物語「13番目の客」 補足:2013/09/17(火) 08:13:09.82 ID:6o3zMg4aP
ごめん、ちょっと補足

結局、もう一つの段階がなんだったのか、っていうのは作中では語られなかった。
ただ単に、元の世界に絶望して、管理されながらも平穏があった床屋に帰りたくなった、ってことくらい。
元の世界に戻りたくなる帰巣本能との戦い、って感じかな。

そして、物語の冒頭で、タモリ(ストーリーテラー)の語りがこれ。

「鎖に繋がれた犬と、野放しの犬。
繋がれた方は自由は無いが、決まった時間に食事と、散歩がある。
だが、野放しの犬は一日中散歩も食事も自由だ。
さて、どちらが幸せか…?」

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