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ジョンソン家の奇妙なこと
@Nuwa_150
「ミッドサマー」「ヘレディタリー」で有名なアリ・アスター監督の卒業制作。
『The Strange Things About The Johnson's(ジョンソン家の奇妙なこと)』
内容は、息子が父親に対してガチ性愛を抱いててレイプするんだけど、
息子自身はかなり世間的には「良い」部類に入る息子で父親は誰にも告白できず、
精神的に追い込まれ、一方息子は父親がその罪を告発しない事で
自分を「愛して受け入れてくれている」と思い込む恐ろしい話。
そんなとんでもない内容なのに、更にすげーのが
最初に息子が父親を好きなんだろうなーと匂わした次の次のシーンぐらいが
「息子の結婚式」なんですよ。女の子と結婚してやがんのよ。
その結婚式で良心に誇れる社会的には「完璧」な息子をやりつつ、嫌がる父を襲う。
この「社会的な正しさ」と「息子を親として愛する気持ち」と
「物凄く気持ち悪いレイプ魔が息子であり、全く自分の嫌悪感が通じてない。
さらに自分の本当の気持ちを曝け出して攻撃したら多くの人を傷つける」状況の
絶望感と怖さが半端ないけど、ちょっと笑える作りをしてる狂気。
アリ・アスター監督の原液
家族が異常であり、その家族は本来告発されて突き放されなければならないのに
家族であるという一点で突き放せない苦しみ。
それをちょっとありえない方角でセーフティしつつ見せてくるスタイルが
卒業制作の時点で完成しているのがすげぇよな、と思う。
見る時は精神状態が万全な時にしたい監督。
見たいつってる人がいるので、有志が字幕つけてくれたやつ載せときますね。
30分にまとまった地獄なので、みんな見てね!!!!
参照元:https://twitter.com/Nuwa_150/status/1759100597649973713
おまけ
@Nuwa_150
アリ・アスター監督の卒業制作の映画で
「父と娘なら良くあるのに、息子と父だとありえないとか言われるんだ」
みたいなコメントもあったが、それは本当に監督も確実に意図してやってる。
大多数派が「ありえないから」と警戒心のハードルを下げた所に、
母親の対応や息子が詰問するシーンのような実際の父から娘へのレ◯プで起きる描写や、
理不尽さを盛り込んで、緩んだ視聴者の心にボディブローを入れてる。
父親という権威が振り回されてコソコソして、
助けを求める所なんて「ありえない」から笑えると思った後に、
実際に家庭の中で追い詰められる事で「貴方がどんな立場でも、性暴力は人を傷つける」
という表現をしている。
父から娘への家庭内レイプの体験談とかを読んでないと、
息子が「父さんから始めたんだ」と言ったシーンが全く理解できず、
一定層が、本当に父親から誘った可能性があるのか?と勘違いしてる。
けど、アレは父から娘へのレイプの体験談でも良くある内容で
「お前が誘ったんだ」と父親が娘に他責を向ける。
でもそれは娘が父の事を、親として愛して
親しみを込めて接していただけで「誘惑」なんてしてない。
父親側の勝手な言い訳、思い込みなんだけれど、
娘側は基本的にカウンセリングを受けるまで
「女なのに軽率な言動を父とはいえ男の前でした自分も悪かったのかも」
と思ったり告白する事が多い。
だから、それを反転させて
「父親が、息子として息子を愛したのを相手が曲解したとしたら?」と見せたわけ。
男が男らしく生きてて、曲解される事なんて滅多にないから、
衝撃を受けるしうろたえるけれど、
でも女だとそれを「当然」だと思ってしまうのは何で? どっちも同じだよって事が、
恐怖や不安と一緒に植えつけられる。
もちろん、あの映画自体は
映画として楽しく鑑賞できるようにカラーリングが
調整されてシナリオも整えられた娯楽作品。
でも、一度釘が刺さってくれたら、
今後はもう家庭内暴力の主体たる人間に家族が服従してしまったとしても
「その家族も悪かったんじゃないかな?」「接し方に問題があったんじゃ?」とは
言い切れないようになるんじゃないかな、という期待も込められていると思う。
そのために、あの息子は常に理性的で感情的にならず
「社会的には正しい」対応と言動をし続けてたからね。
という事を考えながら見ると楽しいよ!