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924:本当にあった怖い名無し:2006/08/20(日) 21:38:48 ID:iiARaDS0O
我孫子武丸の小説だったと思うけど、タイトル忘れた。
ある精神病院の若い医師が主人公。
医師として優秀な自分をよくわかっていて、治る見込みのない患者を相手に仕事として日々対応していた。
ある日同僚の医師に呼ばわる。
部屋にはどこかの(診察室のような)部屋と、一人の(医師のような)女性が写っているモニターがあるだけ。
何がしたくて呼んだのか尋ねると、同僚の医師は「とりあえず見ていて下さい」と言うだけ。
やがてモニターの中の部屋に一人の男性が入ってくる。
男性は医師で、自分の担当の患者について相談しているようだった。
相談内容は「担当の患者が自分が医師だと思い込んでいて、その症状の病名や治療方法」についてだった。
しばらく見ていても意味もわからず我慢できなくなった主人公は、同僚に何度もこの映像は何なのか尋ねるが、同僚はただ「わかりませんか?」と言うだけ。
しばらく見ていると同僚が「写ってるどちらかは患者です。あなたはわかりますか?」との事。
話を聞いている様子だと女性の診察に間違いはなく、主人公は女性が医師で男性が患者ではないかと思いはじめる。
それを同僚に伝えると、実は女性が患者だった。
「自分が医師だと思い込むだけではなく、その診察も間違っていないので、こちらも治療方法が難しく困っているのです」との事。
見るとモニターには必死に患者ではないと主張する女性と、優しく説明する男性が写っていた。
「ですから本人に、自分が写ったテープを見てもらえば少しは治療になるかと思いまして。」
意味がわからない主人公。
同僚は続ける。
「わかりませんか?あそこで必死に自分は患者ではないと主張するのはあなたですよ」
今までモニター越しに見てたのは自分だと気付いたのは、主人公と同じタイミング。
すげーと思ったけど、この女性の今後の治療がどうなるのか考えると後味悪かった。