後味の悪い話

【後味の悪い話】童話「べっかんこ鬼」

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460: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/05/09(土) 09:33:21.77 ID:Z5Y2YIim0.net
童話 べっかんこ鬼

笛吹峠に一匹の鬼が住んでいた
あっかんべーをしているような締りのない間抜け面をしており
人間にも恐れられるどころか笑われる始末で
「べっかんこ鬼」と呼ばれていた

ある日、べっかんこ鬼が山の墓場で昼寝をしていると
美しい娘がやってきた
娘はべっかんこ鬼を見ても知らん顔
この娘、ユキは目が見えないのだ
ユキは母親の墓の前で
「いじめられるから、もうここから帰りたくない」と泣いた

それを聞いたべっかんこ鬼はユキを山の住処へと連れ去ってしまった
恐怖に震えるユキ
べっかんこ鬼の差し出す食べ物に手を付けず、
いっそ自分を食べてしまえばいいと言ってべっかんこ鬼を拒絶する

困り果てたべっかんこ鬼は、山母(ヤマカカ)様のところへ相談に行った
山母様は、ユキを里に戻すように言う
「イヤでたまらない里よりも、おまえのほうが嫌いなのじゃ。鬼だから」
悲しみに打ちひしがれるべっかんこ鬼

ユキに里に戻してやると告げるが、
なかなか決心がつかず、笹笛で心を落ち着かせようとする
その悲しい音色に心打たれるユキ
「おらァ、ひとりぼっちだ。だけど、おまえがいてくれたら・・・。」
そう言って泣くべっかんこ鬼を見て、ユキは山に残ることを決め、
二人は夫婦となった

461: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/05/09(土) 09:34:38.71 ID:Z5Y2YIim0.net
ユキはべっかんこ鬼の優しさに触れて幸せだった
べっかんこ鬼もユキがいてくれることを心から幸福に思った
しかし、山の美しい景色も、一面の花もユキに見せてやることが出来ない
「一番見たいのは、あなたのべっかんこ顔」そう話すユキの為に
べっかんこ鬼は山母様にユキの目を治す方法を聞きに行った

「山の奥深く咲くという赤い花の汁を垂らせば、目が見えるようになるだろう
しかし、その花は呪いがかかっていて、摘むものは命を落とすという、止めておけ」
そういう山母様に
「命懸けの仕事は鬼の仕事だ」と答えべっかんこ鬼は花を探しに出かけた

険しい崖を登り、やっと赤い花を見つけたべっかんこ鬼は
喜び勇んで二人の住処へと戻ったその時、一発の銃声が轟いた
さらわれたユキを取り戻すため山を探し回っていたユキの父が
べっかんこ鬼を見つけ発砲したのだ

462: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/05/09(土) 09:35:32.14 ID:Z5Y2YIim0.net
銃声を聞いて飛び出してきたユキを抱き寄せ、その目に花の汁を垂らすべっかんこ鬼
ユキはべっかんこ鬼の体から血が出ていることに気づき動揺する
「おまえさま、どうしてこんなことに」
しかし、べっかんこ鬼はユキを見つめたまま動かない
「どうじゃ、見えるか?おかしな顔じゃろ?」
ユキはぼんやりと視界が開けていくのを感じた
ユキが生まれて初めて目にしたのは
血まみれで息絶えていく間抜けた顔をした鬼の姿だった
「いいえ、ちっともおかしくなどありません、お前様、しっかりして!」

鬼にとりすがるユキに父親は声をかけた
「怖かったろう、一緒に帰ろう」
ユキは、父の手を振り払い、恐ろしい顔で睨みつけると、
「あんたは、鬼じゃ!」と叫んだ
「夫を返せ、返せ、返せ!」そう叫ぶユキの顔は
いつしか鬼のようになっていた

ユキに拒絶され、父親は一人山を降りた
ユキは山の岩屋で一人暮らしたという

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