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837: 1/2:2007/04/16(月) 15:51:07 ID:AkoJYX7l0
ついでに同じく萩尾望都の短編「酔夢」。
1人の少女が占い師の元を訪れる。
少女はいつも、同じ様な夢を見る。
その夢に現れる男に少女は恋をしている。
しかし夢の中で、男と愛をかわす事はない。
男はいつも、少女の目の前で死んで行くからだ。
「その人といつか本当に会えるだろうか」と聞く少女。
占い師は「会えるだろう。しかしお前の恋は叶わない。
何度出会っても、男はお前の足下に伏して死ぬだろう」と告げる。
時は流れ、少女は隣国の王に嫁いだ姫の姿で男に出会う。
少女は王を愛しておらず、人質として嫁いだ様なものである。
王が戦から戻ってくる。大勢の奴隷や略奪品を携えて。
王が言う。「何でも欲しいものをやろう」
少女は奴隷の群れに、夢の中の男を見つけ「あの男を下さい」と頼む。
しかし王はそれを許さなかった。「あの男は私の弟で、反乱を犯した罪で処刑する」
少女は男を助けようと、顔を隠し、男の居る牢へ向かう。
男の縄を解き、逃がす少女。男は少女が何者かを知らない(少年だと思っている節がある)。
男は少女の瞳を見つめる。黒曜石の様な瞳をした少女は、何も言わない。
男は「もしこの者が口を割れば、私は捕まってしまうだろう」と考え、
少女に剣を振り下ろす。
少女は死ぬ間際、「あなたにずっと恋をしていた」と告げる。
男はそれが、自分もまた夢に見ていた少女である事を悟る。
生き返ってくれ、もう一度目を開けてくれ、と泣く男。
838: 2/2:2007/04/16(月) 15:53:46 ID:AkoJYX7l0
冒頭の占い師が語る。
「2人は出会うが、恋は叶わない。お前は男の前で、ひれ伏して死ぬからだ」
運命が変わり、少女は男の前で死に続ける。
次に語られる世界は、未来。宇宙船の中が舞台となる。
国では神官として暮らす男が、宇宙船へやってくる。
そこには男性の身体を持つ少女が居た。
少女は男性の身体を持っているが、染色体は女性だった。
男は言う。「あなたに会った事がある」
男は夢の中で何度も少女に出会っていた。
人嫌いの少女は、その話を馬鹿馬鹿しいと一蹴する。
何度も同じ事を繰り返すのは何故か。
死ぬ対象が変わっても、繰り返し繰り返し出会うのは何故か。
少女の身体を男性にしてみたり、どこかで修正しようと言う
意志が働いている様に見えるのは何故なのか。
「時空間のトラウマ」と言う言葉で語られる、2人の運命。
ある時、2人は宇宙での作業を行う事になる。
その際に事故が起こる。男は必死に少女を助けようとする。
男は「少女を殺そうとする自分」の姿を見る。
(以前描かれた、男を救おうとした少女(姫)を殺害するシーン)
男は自分自身の前に立ちはだかる。
「殺してはいけない」「その少女を殺してはいけない!」
剣は少女の前で跳ね返り、男の胸に突き刺さる。
シーンがかわり、男は宇宙空間で作業中、事故に巻き込まれる。
宇宙船の中から「彼を助けて!」と叫ぶ少女。
男は宇宙へ消えて行き、少女はまた取り残される。
839: 本当にあった怖い名無し:2007/04/16(月) 15:56:48 ID:AkoJYX7l0
「時空間のトラウマ」「繰り返される夢」「何者かの意志」
結局、何も変わらず少女は男と愛を交わしあう事もない。
運命についた傷を克服する事は、結局出来ないのか?
20ページ程度の短い話ですが、非常に深いです。
うろ覚えで間違ってる所もあると思うので
気になる人は実際に読んでみて下さい。
読後、何とも言えない不安みたいな気持ちになります。
文庫本「半神」に収録されています。
↑どれも秀作だけど、後味が微妙なものばかり・・・
この人の漫画は要約するの難しいですねorz
またまた長文で申し訳ない。
840: 本当にあった怖い名無し:2007/04/16(月) 16:00:19 ID:RMj/bDcYO
宇宙船のあたりがよくわからなかった
842: 本当にあった怖い名無し:2007/04/16(月) 16:22:28 ID:AkoJYX7l0
>>840
ごめんなさい。うろ覚えなので余計に分かりにくいかも。
少女は、外見は男だけど遺伝子は女と言う姿で描かれる。
男は少女と出会う夢を見続けており、
少女と実際に出会ったら、殺さずに済む運命を探している感じ。
(2人は夢の中で惹かれあっているので)
一度目の事故では2人とも生き延びる事が出来たが
二度目の事故で男は死ぬ。→単独で作業中?
男は「少女を殺さずに済む運命」を模索していたが
その結果(過去に戻って自分を殺した結果?)、
すべては元に戻って「男は少女の前で死ぬ運命」が続く、
みたいに解釈しているんだけど・・・。
「男は少女の前で命を落とす」
↓何らかの作用によって運命が変わる
「少女は男の前で命を落とす」
↓何らかの作用によって運命が変わる
「男は(ry」の無限ループっぽくて、後味悪いなあと思ったのです。