後味の悪い話

【後味の悪い話】アニメ版「墓場鬼太郎」

スポンサーリンク

129: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/06/11(木) 17:53:24.57 ID:IQdZoD0P0.net
「墓場鬼太郎」アニメ版

鬼太郎といえば悪い妖怪は許さないヒーロー、優等生のようなイメージが一般的にあるけれど、そのイメージはアニメの色が強く原作の彼はもの凄く人間臭い。
煙草をふかしたり、盗んだバイクで走り出したり、金欠の為にゴミ箱を漁り、けどお金持ちから依頼が入れば調子に乗って外車を乗り回したりといった具合。
そんな原作でも鬼太郎は正義感は一応持ち合わせており、妖怪退治もする。

しかし原作「ゲゲゲの鬼太郎」の原点となった、幼少期の鬼太郎を描いた作品「墓場鬼太郎」では、鬼太郎は陰気で生意気で不気味な子供で、関わった者を不幸に陥れる存在として描かれている。
悪い妖怪を退治しないどころか、どちらかと言うと鬼太郎自身が恐怖の対象で、バトルよりもホラーに重点が置かれている。
「墓場鬼太郎」は風刺の多い雑誌での掲載だったが、成長した鬼太郎の話は掲載されたのが少年誌だったため正義感の強いキャラクター造形になったらしい。

アニメ版鬼太郎はどの年代でも正義感溢れる子として描かれているが、例外が前述の「墓場鬼太郎」のアニメ版。
原点の不気味でダークな鬼太郎を再現しようと2008年に試みられたアニメで、従来の鬼太郎アニメが子供向けだったのに対し、ホラー要素、残酷描写が強い為深夜枠。

とにかく作中に出てくる水木という人物が気の毒過ぎた。
原作者、水木しげると苗字が同じだけど特に意味はない。

以下アニメ「墓場鬼太郎」と水木について。

130: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/06/11(木) 17:54:14.68 ID:IQdZoD0P0.net
とある病院で心臓が止まっているのに生きているという患者が居た。その患者の形相は幽霊のようだった。
以前までは普通の人間の姿だった患者が何故このようになったのか、その原因を突き止める為に水木という男性は捜査を託された。

原因は幽霊族(そういった種族名なだけで実体があり、幽霊ではない。不思議な力が使えるので妖怪と同じか、それに近い)の夫婦の妻の方が、苦しんでいる患者を見兼ねて自身の霊力を分けてやったから。
※原作では血液銀行に出された幽霊族の夫婦の血がその患者に当たったから

捜査により夫婦と知り合った水木は幽霊族がかつて人間に迫害されたこと、幽霊族はもうこの夫婦二人しか生き残りがおらず、更に二人は不治の病であることを聞く。また幽霊族の妻は子供を身籠っていた。
夫婦は人間に居場所を知られたくなく、捜査の結果を報告しないでくれ、せめて子供が産まれるまでは、と懇願する。

やがてその夫婦は死んでしまう。夫の体は腐乱し、妻は子供を身籠ったまま死んでしまった。
夫の遺体は腐乱の為手を付けられなかったが、水木は妻の遺体を埋め、墓を立ててやる。
水木が墓を立て終わり去ろうとした時、墓から赤ん坊の手が突き出た。赤ん坊が死んだ母親の胎内から自力で這い出し、墓から出てきたのだ。この赤ん坊が鬼太郎である。
水木は墓から這い出てきた鬼太郎に恐れをなして突き飛ばしてしまい、鬼太郎は墓石に左目を打ち付け、隻眼になってしまう。
水木はその場から逃げだし、赤ん坊の鬼太郎は雨の中一人取り残されて泣き喚く。

一方腐乱した夫の遺体からは眼球が垂れ落ち、その眼球に魂が宿って目玉おやじとして復活する。目玉おやじは鬼太郎のもとへと駆けてゆき、対面する。
雨の中鬼太郎の為に、目玉おやじは何か着るものを探しにいくからと、鬼太郎から目を離した。
水木が先程のことを憂いながら家の玄関に座っていると、鬼太郎が這って現れる。この子は考えれば可哀想な子だ、と水木は鬼太郎を育てることを決意した。
その様子を水木の家の窓から見ていた目玉おやじは、息子がちゃんとした家に保護して貰えたことに安堵する。

131: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/06/11(木) 17:55:20.04 ID:IQdZoD0P0.net
こうして鬼太郎は表立っては水木に育てられ、水木が見ていない所で度々鬼太郎のもとを訪れる目玉おやじには妖怪達や霊界側のことを教わるといった形で、義父と実父の間で育つ。

鬼太郎が小学校低学年程?になった頃。不審な行動の多い鬼太郎は周囲の子供や水木の母に気味悪がられていた。
水木は鬼太郎が怪しい何者か(目玉おやじ)と話していること、夜な夜などこかへ出かけていることを知る。
水木はあとをつけるも、鬼太郎は行く先々で姿をくらましてしまい、行き先が掴めない。

ある日水木は、鬼太郎が行方をくらます際に使っている紙片を手に入れる。
その紙片は、地獄へと行く切符だった。鬼太郎は夜になると目玉おやじと共に地獄へ遊びに行っていたのだった。
それが地獄行きの切符だとは知らないまま水木は、これでどこかへ繋がるのかもしれないと切符を持って鬼太郎がいつも行く場所へと赴いた。
水木は生きたまま地獄に引きずりこまれる。しかもその切符は片道切符で、水木は帰れなくなってしまう。

鬼太郎が片道切符でも平気だった理由は、いつも身に付けている縞模様のちゃんちゃんこがあれば、地獄とこの世を自由に行き来できるとのこと。
鬼太郎は水木が地獄から帰れなくなったのを知っていながら、水木の母にしらばくれ、全く気にしていなかった。

ストーリーが進み、再び鬼太郎父子が地獄を訪れた際には、息子を育ててくれた恩にと、目玉おやじは水木をもとの世に戻してくれる。
それでもかなりの間地獄に放置だったので相当辛かったと思う。
そんな目に遭わされながら、もとの世に戻った後、水木はお金に困っていた鬼太郎父子を養ってくれるという凄く良い人。
そんな水木を鬼太郎は「金づる」と発言している非道っぷり。

その後、「水神」という妖怪が襲ってくるエピソードがある。
水神は透明な液体状の体で、取り込んだ相手を溶かしてしまう妖怪。

原作では水神が襲ってくる話で、水木は行方不明になってしまう。明確にどうなったかは描写されず、水木はそれきりで登場しない。
原作はともかく、アニメ版の水神襲来シーンは唖然としてしまった。

132: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/06/11(木) 18:32:18.67 ID:IQdZoD0P0.net
鬼太郎父子と水木の下宿先に水神が現れ、玄関から波のように襲いかかってくる。
鬼太郎は玄関を上がった先にある階段へと逃げるが、水木は逃げ遅れて水神に足を捕らわれてしまう。
手を伸ばせばすぐの所にいる鬼太郎に水木は助けを求める。鬼太郎の動きが一瞬止まる。しかし鬼太郎は表情は一つも動かさず
「じゃ!」と言うと、階段を駆け上がり、水木をあっさり見捨てる。この後瞬く間に水木が溶かされたのは言うまでもない。

仮にも育ての親だろうに…「じゃ!」で済ませていいんか鬼太郎…と思いました。
しかも水神が襲ってきたのは鬼太郎が水神を怒らせたのが原因というのが何とも。

因みに水神襲来直前の会話。
鬼太郎「小遣いくれ」
水木「昨日やっただろ」
鬼太郎「たりない」
水木「勘弁してくれ、こっちだって必死で働いてるんだ」
鬼太郎のお腹が鳴る。
水木「はあ、みんなには内緒だぞ」
水木が鬼太郎に小銭を差し出す。
鬼太郎「ケッケッケッケッケッ(笑)」

舞台は昭和30年代で、ご飯は一人コッペパン一個、というような描写があった。そんな中なのに良い人すぎる水木。溺れた鬼太郎を助けてくれたことも。
なのに初っ端で地獄に送られ今度は育て子にあっさり見捨てられる…。

この不気味な鬼太郎は原作(の原点)らしさが出ていてこれはこれで好き。けれど、小さい頃鬼太郎が良い子でヒーローなアニメを見て育ったから、やっぱり根底にはその像が根付いているというか、ギャップの効果で余計に後味が悪かった。

それと声優のキャスティング。不気味な鬼太郎を演じるのが、かつてヒーローな鬼太郎を演じた野沢雅子さん(DBの悟空等の声)だったりするのが良い意味で皮肉が効いていました。

153: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/06/13(土) 03:59:05.63 ID:0rLYAdeW0.net
>>129
この作者は、描く年代によって、同じ話を再構築するから
年代別で追いかけて読み比べるのもお勧め
ちなみに、鬼太郎アニメ=正義の味方になったのは80年代以降
70年代の鬼太郎アニメは努力が報われない話が結構ある

スポンサーリンク

-後味の悪い話