後味の悪い話

【後味の悪い話】加納朋子『最上階のアリス』

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202: 最上階のアリス1/3@\(^o^)/ 2015/06/15(月) 16:23:57.29 ID:qS5PS46m0.net
短編だけどミステリなのでネタバレが嫌な方は飛ばしてください。

『最上階のアリス』加納朋子

50代の私立探偵の元に大学時代の先輩である研究者から依頼が入る。

内容は「最近、妻がなにかとお使いを言いつけて
自分を自宅から遠ざけようとする。
家で1人になった妻が何をしているのか知りたい」というもの。

お使いというのは「デパートでケーキを買ってきてほしい」とか
「知り合いの個展に行って記帳してきてほしい」とか些細なもの。
家を空けるのは30分から1時間にすぎない。浮気を疑うわけじゃないが、
何が目的でそんな事をするのか知りたいという。

この妻とは探偵も学生時代から面識があり、
はたから見ても、夫の目から見ても献身的なよい妻だった。

人間関係が苦手で生活能力がない研究者の夫のサポートをして、
妻は家計を支えてきた。

研究者は妻の斡旋で教授職や企業の嘱託研究員をしてきたが、
病気にかかり長期間の入院を経て今は無職。
だが、彼が作って妻が特許を申請した玩具が製品化して大当たりしたため
現在は高層マンションの最上階で暮らしている。

探偵と助手は調査に乗り出す。

203: 最上階のアリス2/3@\(^o^)/ 2015/06/15(月) 16:25:20.82 ID:qS5PS46m0.net
研究者がお使いに出たあとマンションに残った妻に不審な動きはなかった。怪しい人物の出入りもない。
電話のリダイヤルも出かける前に確かめたものと同じ。
助手はよくお使い先に選ばれるデパートに行ってみようと言う。そこのケーキが食べたいらしい。
仕事後に車でそこに向かうと、ある地点でカーステレオの音楽が数秒止まる事に気付く。
帰りにも同じ現象が起こる。付近を見渡すと、携帯電話の基地局があった。

研究者は大病を患った際、ペースメーカーを入れていた。
妻がお使いを頼んだ場所は、どれも基地局の電波塔を通り過ぎなければいけない場所だった。
電波塔の近所では頻繁に電気機器の誤作動が問題になっているという。
探偵は考える。これは「プロバビリティーの犯罪」ではないのか。

ペースメーカーを抱えた身で、しかも運転中に機器の狂いが起きたとしたら。
妻は殺意を持って夫にお使いを頼んでいたのではないのか。

助手は妻にそう問い詰める。すると、妻は意外な真相を語る。
妻は病気だった。余命幾ばくもないらしい。
お金の管理も、自分の身の回りの世話もできない夫は、私がいなくなったら生活していけないだろう。
マンションのローンも残ってる。あの人より先に死ぬわけにはいかない。
「あの人が先に亡くなれば、保険金も入りますしね。家のことも、お金のことも、お墓のことも
 すべてきれいにして後から行けるわ。子供たちにも誰にも迷惑をかけずにね」

204: 最上階のアリス3/3@\(^o^)/ 2015/06/15(月) 16:26:18.26 ID:qS5PS46m0.net
妻の話を、助手は涙ながらに語った。
助手は妻を追求しに、探偵は研究者に報告に行ったのだが、探偵は本当の事は言えなかった。
「君が心配するような事は何もなかった。ただ、近所に電波塔があるようだから身体には気をつけて」と忠告しただけだ。
ただ、研究者は探偵の話からうすうす真実に気付いたかもしれない。

その年の暮れ、探偵は知人から研究者の訃報を受けた。
喪主の名は、研究者の妻だった。

勝手な判断で夫道連れにしようとする妻も、頃されてもやむなしと思ってるっぽい夫も不可解だけど
この妻が作中では夫に愛を尽くす献身的な良妻扱いで
美談みたいに語られてるのが気持ち悪かった
何より運転中に事故ったら周りにも被害出て迷惑極まりない

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