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952:1/4@\(^o^)/:2014/11/16(日) 10:53:18.10 ID:PHDogV1Y0.net
藤田あつ子の漫画『煌如星シリーズ』よりタイトル失念
清の時代の中国で県知事(※県民の選挙ではなく中央から派遣される高級役人)の
主人公が、様々な身分や職業の人達の間に起こる殺人事件を推理する
手元にないのでちとうろ覚え、あと時系列順に書くため倒叙化
地元の役人が富豪の令嬢に婿入りするために退職した
元々あんまし役人として優秀でもなく、よく言えば純粋・悪く言えば子供で
言いたいことはその時の気持ちのままに言っちゃうし計画性とか生産性がない性格
大好きな詩を出版したり美しい妻と酒飲んだり楽器弾いたりしながら
富豪の財産で風流に暮らしていければいいな~的なあんぽんたん(以下詩人)
富豪夫婦もそれは納得済みで、もともと詩人の親に世話になった事があって
その死後に幼い詩人を引き取り、幼い一人娘と婚約させて婿候補として育てた
時代が時代なので一人娘が婿をとらなければまずこの商家が存続できない
商売は有能な部下達にさせればいいので婿になってくれさえすれば十分
詩人は頼りないお人よしだが、誇り高い令嬢もまんざらではなかった
しかしある時令嬢は、仕立て屋に作らせた何枚もの豪華な服の中に
色が気に入らないものがあったので、一人の若い下女に笑顔で押し付け
恐れ多いだの仕事で汚してしまうだのと拒否されても無理に着せてしまった
その着飾った下女を見た詩人は、一目で下女に恋をしてしまう
953:2/4@\(^o^)/:2014/11/16(日) 10:54:20.92 ID:PHDogV1Y0.net
下女と結婚したいから令嬢との婚約を破棄するという詩人に富豪夫妻激怒
恩知らずだの、居候に捨てられた女なんて他の縁談も来ないから家が滅ぶだの騒ぐ
他の使用人達も、主人の婚約者をたぶらかして引き離す不忠者と下女をなじる
下女自身は詩人に恋愛感情があるわけではなかったが
身分の高い相手から求愛されたら拒否権がないのと
そのレアな幸運自体に内心舞い上がってしまい、黙って詩人に付き従っていた
令嬢本人だけが妙に冷静で、ここでgdgd引き止めても自分の価値が下がるだけ、
でも自分と結婚しないならもうここは詩人の家じゃないから二人で出て行ってくれ
と告げて、全員を納得させ、詩人は下女とラブラブで出て行った
……令嬢の本心はこの時点では誰も気づいていなかった
その後、甲斐性のない詩人は富豪の家を出たことで現実に打ちのめされる
今更役人には戻れないし元手がなきゃ行商人にもなれないし土地がなきゃ農民もやれないし
そもそも詩で食って行くつもりのワナビなのでまともに労働する気はない
かといって惚れた女房に夜の仕事をさせる気もない
手持ちのものを売ったり、妻が同じ庶民の家事手伝いして小銭を稼ぐ貧民生活
二人はスラム街みたいなところで詩も売れずにくすぶっていた
富豪の家に一人で戻ってきた詩人のやつれた顔を見た時、令嬢は内心
詩人が元下女と別れて自分とやり直しに来たんじゃないかと思った
それが金や贅沢な生活目当てだろうと構わない、一緒にいてほしい
しかし違った、元下女が無理な生活がたたって病気になったので
治療費と当面の生活費を援助して欲しい、と詩人は妻のために来たのだ
954:3/4@\(^o^)/:2014/11/16(日) 10:55:22.87 ID:PHDogV1Y0.net
富豪夫妻も使用人達も、詩人がどこまで恩知らずなんだと怒る中
令嬢はプライドが邪魔して素直になれず「また」カッコつけてしまい
元下女の病気が治るまでなら詩人と二人でこの家で療養していい、と言ってしまう
詩人は相変わらずの無神経無双
妻にとって敵だらけの屋敷では妻が落ち着けるはずもなく、家に帰りたい、
特に変に親切な令嬢が怖い、恋敵だし何か企んでいるんじゃないか、と言っても
令嬢を疑うな、帰るも何もここが元の家だろう、幼馴染と仲良く話して何が悪い
(※最後の言葉は浮気の口実じゃなく素で言ってる)
あげく、その幼馴染である令嬢と、夜の豪華な中庭で月を見ながら会話し
「昔は当たり前だと思っていたが、失って初めて美しい世界の大切さが解った
我ながら大きなものを捨ててしまった」みたいな事をぬけぬけと言ってしまう
この言葉を『元下女との事をなかったことにして
またこの家の家族として暮らしたい』という意味だと解釈した令嬢は
父の商売敵が父の命を狙った誤爆だと見せかけて、巧妙に元下女を毒殺した
主人公はそのトリックを実行可能なのは令嬢だけだと気づいたが、物的証拠がない
おまけに富豪夫妻も使用人達も、被害者の夫である詩人までもが令嬢を
「恋敵すら寛大に許す慈悲深い聖人で、殺人はありえない」と信じ込んでいた
だが主人公は、かつて詩人が令嬢に送ったアクセサリーを、令嬢が
捨てもせず、素知らぬ顔してつけもせず、密かに持ち歩いていた事に気づいた
そしてそれが令嬢の詩人に対する秘められた執着だとも
そこで「詩人が今もどんなに亡き妻を愛しているか」を滔々と語って挑発したら
誇り高い令嬢は今まで決して見せなかった憎々しげな眼差しで睨み、自供した
955:4/4@\(^o^)/:2014/11/16(日) 10:56:25.94 ID:PHDogV1Y0.net
くだんの一言が令嬢を追い詰めたこと、
妻を愛しているなら今更令嬢に思わせぶりな態度をとるのは残酷だと
主人公が詩人に指摘しても、詩人は何が悪いのか全く理解せず
裕福で風流な生活から貧しくて趣味どころか衣食住にも困窮する生活になったら
前の生活が懐かしくなるのは普通でしょう?それを素直に言っただけですよ?
文字通りに聞いてくれればいいのに何で「戻りたい」って意味に曲解するわけ?
と、些細な言葉が誰かの心に大きな影響を与えるという概念すらない事を
悪びれずに露呈させた
それでよく詩人になりたいもんだ……売れないわけだよな
元の漫画は主人公とその友人の視点で進み
詩人まわりの事情や令嬢の本心は彼らが調べて行くことで明らかになっていき
最後に令嬢の不器用で切ない恋心がクローズアップされて終わるんだが、
そこでプツンと話が終了するために、令嬢が刑に服したかどうかや
無神経な売れない詩人がその後どうなったかは不明のままだ
人によっては馬鹿が男女三人いただけだと思うかもしれない
あるいは殺人という罪を犯した令嬢だけが悪人と判断する人もいるだろう
しかし軽はずみに駆け落ちしたあげく相手が死ぬ元凶を作った詩人が
一向に自分の愚かさに気づかず、更正することもなく生きていくのが
後味悪いというかぶん殴りてえ