後味の悪い話

【後味の悪い話】稀代の魔女

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463: 1/6:2007/04/11(水) 01:18:42 ID:+ZyplsnJ0
昔本当は怖いグリム童話?に載ってた漫画。
けっこう前に読んだものなので作者やタイトルは覚えてない。
うろ覚えなので、どこか違うところがあったらごめん。

昔、あるところに裕福な家庭があった。
その家では美しく聡明な母と母に似て美しい二人の娘、優しい父親が
暮らしており、絵に描いたような幸せな家庭だった。

しかし、ある日父親がよその女との間にできた少女をつれてきてから、
それまでの幸せな生活は一変する。
信じていた夫に裏切られたことを知った母親は夫が連れてきた私生児の
少女につらくあたるり、シンデレラと呼び虐めた。
姉娘は母や妹があまりにひどくシンデレラを虐めるので心苦しく思っていた。

そんなある日、母親や妹に虐められていたシンデレラを介抱していた姉娘。
シンデレラはこの姉娘には少しばかり気を許していたらしく、本音を漏らす。
そのシンデレラの本音と言うのが、歳をとった女の嫉妬は見苦しいと母親を
嘲笑う内容のものだった。

464: 2/6:2007/04/11(水) 01:20:05 ID:+ZyplsnJ0
そもそも、あの優しかった母親が豹変してしまったのは、シンデレラがこの家にきたからだ…。
そう思った瞬間、姉娘は自分の中で理性の糸がきれるのを感じ、気がつけば
シンデレラを棒切れか何か(ここらへんはよく覚えてない)で、何度も打ち据えていた。

我に返り、自分のしたことに呆然とする姉娘に、シンデレラは、所詮姉娘も
母親や妹と同類なのだと告げ、薄笑いを浮かべ、姉娘を残し去っていったのだった。

それからほどなくして、城で王子の后を選ぶための舞踏会が催されることになる。

その舞踏会で王子の后に選ばれた女が誰かを知り、
シンデレラを虐めていた母娘は愕然とする。
王子の后に選ばれたのはシンデレラだったのだ。

シンデレラによって母と妹は火炙りにされ処刑された。
姉娘も本来なら同じ運命をたどるはずだったが、何とか逃げ延びて、
知らない土地の森の奥深くをさまよっていた。

465:3/6:2007/04/11(水) 01:20:44 ID:+ZyplsnJ0
そのとき姉娘と出会ったのが、ちょうど鹿狩りに来ていたその地方の領主だった。
姉娘の美しさに眼をとめた領主は、そのまま姉娘を妻に迎えることにする。

領主は姉娘の父親のような年齢だったが、姉娘は自分が幸せになれるのは
領主の妻という立場にいてこそなのだと思い、
寝所でも領主への奉仕に励み寵愛を得ることに成功する。

こうして、領主の妻としての地位を固めつつある姉娘だったが、
そのためには一つ気がかりになることがあった。

領主には前妻との間に美しい一人娘がいたのだが、
その少女がシンデレラそっくりなのだ。
姉娘は彼女の容貌に驚きつつも、白雪姫と言う名の領主の娘を可愛がろうと努力する。

やがて、姉娘は領主の子を身ごもる。
一人娘だけで世継ぎのいなかった領主は喜び、姉娘もこれからの自分の将来を確信した。
幸せの絶頂にいた姉娘だが、階段を降りようとしたとき、何者かに背中を
おされ、階段から転がり落ちてしまう。
朦朧とした意識の中、姉娘は階段の上で微笑む白雪姫を確認し意識を失った。

466:4/6:2007/04/11(水) 01:21:21 ID:+ZyplsnJ0
次に姉娘が目を覚ましたとき、まず姉娘が知ったのは、
自分が子供を流産してしまったという事実だった。
領主は流産は姉娘の不注意ときめつけているので、
なぐさめの言葉をかけてくれることはなかった。

うちひしがれる姉娘のところに白雪姫が見舞いに訪れる。
赤ちゃんじゃなくてあなたが死ねばよかったのに。
そう告げて去っていく白雪姫に、自分を階段から突き落としたのは白雪姫
なのだと姉娘は確信した。

呆然とする姉娘の脳裏によぎったのは、シンデレラとのいまわしい過去。
自分が幸せになるためには白雪姫はいてはならない存在となる。

姉娘は白雪姫の殺害を決行する。
(ここでの殺害手段は覚えていないんだが、たしか毒リンゴでの毒殺だったと思う)

愛娘を失い嘆き悲しむ領主をみながらも、姉娘は自分の勝利を確信する。
そこへ訪れたのが隣国の王子。

彼の手により白雪姫が目覚めたのを知った瞬間、姉娘はまた自分が居場所を失ったのを知った。

467:5/6:2007/04/11(水) 01:23:22 ID:+ZyplsnJ0
それから何十年も月日が流れる。

シンデレラに追われたときよりもさらに森の奥深くに逃げ込んだ姉娘は、
老婆となり一人で静かに暮らしていた。

そんな彼女のもとに初めて訪れた来訪者は、ヘンゼルとグレーテルと名乗る兄弟であった。

憎まれ口を叩くグレーテルにムッとして、お前達を食ってしまうぞと脅かす
老婆となった姉娘。

驚く子供たちをみて、姉娘は自分にまだそんな覇気があったのに驚きつつ、
それもグレーテルの面差しがシンデレラに似ているからだと気づく。

しかし、グレーテルがシンデレラに似ているからといって、姉娘には彼らに
危害を及ぼす気はなかったので、苦笑してさきほどの発言を取り消し、
二人に帰るように促そうとするが、そこで姉娘はいつの間にかヘンゼルと
グレーテルのの体が不思議な光に包まれているのに気づく。

468:6/6:2007/04/11(水) 01:24:17 ID:+ZyplsnJ0
ヘンゼルとグレーテルは実は天使で、この森に住み多くの人々を悩ませている
魔女=姉娘の魂を取りにきたのだった。

姉娘は驚いて、自分はこの森の奥で静かに暮らしていただけで、だれにも
危害は加えたことはないと抗弁するが、天使から帰ってきた答えは、姉娘が
この森に住んでいるというだけで人々は彼女の住む森を魔女の住む森と
おそれ、森に入ることができず長いこと苦しんでいたのだと告げる。

自分がまたいつの間にか人々に疎まれる身になったことを知った姉娘は
自分の人生に対する哀れみのような諦めのような不思議な微笑を浮かべ絶命する。

場面は転じて姉娘の魂をもって天に昇る天使たち。
グレーテルは姉娘の魂をみつめながら、ヘンゼルにつぶやいた。
「それにしてもこの人も、自分が希代の悪女だって知らないなんて、ちょっと可哀そうね」

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