後味の悪い話

【後味の悪い話】キャラコレショートショート

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524:本当にあった怖い名無し:2006/06/24(土) 13:17:20 ID:gU5cFXyo0
「キャラクター・コレクション」っていうテーブルトークRPGに出てくる職業をショートショートを交えて解説するっていう本があって、
その本から「錬金術師」のショートショートを。

 主人公の吟遊詩人がある町で、錬金術師に出会う。
錬金術師は実験により、生物を特殊な液体に入れると金属が出来ることを発見し、更に高度な生物ほど価値のある金属が出来ることを知る。
「犬からは銀が出来た。人間に最も近い猿からは金が出来るに違いない」と確信する錬金術師。
主人公はその液体の正体を問うが錬金術師は口をつぐむ。

 その後主人公は錬金術師の弟子から液体の正体が酸であることを知る。
弟子によると、あらかじめ実験前に金属を削って酸に溶かしておき、さも生物から金属が生成できるかのように見せかけていたという。
錬金術師も単純なもので、弟子の小細工に気付かず、素直に金属が出来たと喜んでいた。

弟子「こないだの犬を使った実験では銀を溶かしておいたんだ。」
主人公「じゃあ次は金を溶かすのか?」
弟子「金は溶けないから、また銀を溶かしておくよ。」

弟子は錬金術師の一人娘と恋仲であり、いずれは娘と結婚して師の後を継ぐつもりであった。
「ちょっと金がかかるが、師匠の後を継げるなら安いものさ」とうそぶく弟子。あきれる主人公。

 数ヵ月後、別の町に滞在していた主人公は錬金術師が殺人罪で処刑され、弟子は「俺のせいで!」と叫んで自殺したと言う話を聞いた。
猿を使った実験でも金が生成できないことに業を煮やした錬金術師は、娘を実験に使ってしまったのだ……。

読んだのが何年か前なのでところどころ記憶違いがあるかもしれないけど、こんな感じの話。

588:本当にあった怖い名無し:2006/06/25(日) 14:20:10 ID:M1v3LD4h0
>>524
キャラコレナツカシス。他にも後味が悪いのがあったな。俺が覚えてるのは「暗殺者」と「スパイ」。
昔の話なんで細部が違ってたら誰か訂正してくれ。

「暗殺者」
ある国の王子が召使いの少年に暗殺された。召使いはある宗教団体で養成された暗殺者で、
王子の父である王が、その宗教団体を弾圧した報復としてだった。
主人公である吟遊詩人はその王に招かれ、捕らえられた少年に歌を歌って聴かせる様命ぜられる。
なぜこの様な事をするのかと疑問を抱きながらも、詩人は歌を歌って聴かせる。
歌い終わった後、詩人は少年の頬に一筋の涙が流れているのを目にする。

城を去る前、詩人は家来になぜこの様な事をしているのか尋ねる。真相はこうだった。
この宗教の教義は、現世で苦しければ苦しいほど、来世での幸せが約束されると言うもの。
なので、拷問したりすぐに死刑にしても意味が無い。
そこで王は、現世での様々な喜びを歌った歌を聴かせることを思いついた。
たった一回しかない人生を、教義の為に浪費してしまったと気づかせるために。

刑が執行される直前まで、少年は「死にたくない!」と泣き叫んでいたと言う。

589:本当にあった怖い名無し:2006/06/25(日) 14:20:23 ID:M1v3LD4h0
「スパイ」
ある国(A国とする)の酒場で、その国の王の武勲を称える歌が歌われていた。
みな喜んで聴いていたのだが、一人の男が「武勲なんて嘘だ!」と叫んで、
いい気分を邪魔された客達に小突き回される。
主人公の吟遊詩人に助けられた男は、なぜこんな真似をしたかと話し始める。

男の正体はスパイ。以前の戦では、攻め込む予定の隣国(B国とする)への潜入任務を命ぜられていた。
いわゆる「草」と呼ばれる任務で、まずはB国に何年も住み込み、周囲の完全な信頼を得る。
そして戦が始まると、内部から手引きをしてA国を勝利へ導くのだ。

男は命令どおりB国へ潜入し、ある大商人の家へ奉公人として雇われた。
何年も過ごすうちに大商人に認められるようになり、将来の後継者として一人娘を妻に迎えるまでになった。

やがて戦が始まった。男は大商人の後継者からスパイへと戻り、任務を忠実に実行した。
B国は壊滅し、A国の大勝に終わった。
男は王から褒賞をもらうも、その心は空虚だった。

家族を探して廃墟をさ迷い歩く男。その結果、愛する妻は兵達に犯され自害した事実を知る。

男は詩人に語りかける。
「なあ、信じられるかい?あんたの目の前にいる男は、戦を勝利に導いた英雄なんだぜ?」

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