後味の悪い話

【後味の悪い話】蟲師シリーズ「枕小路」

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175: ↓1/2:14/07/01(火)01:26:38 ID:MXBxtjfSR ×
蟲師シリーズ 「枕小路」 漆原友紀

【前提】
舞台は対象か昭和初期。物語世界では、「蟲」と呼ばれる妖怪のような生き物がいる。
ほとんどの蟲は霊感のある人間しか見ることができないが、蟲はそこかしこにいて
良くも悪くも人間に影響を及ぼしている。
蟲師とは、蟲絡みのトラブルを解決する仕事をしている人のことである。

主人公の研ぎ師Aは、海の近くの村で妻と幼い娘と共に暮らしている。
あるときからAは予知夢を見るようになった。
Aは夢で崖崩れを予知して村人を救ったり、水脈を見つけたりした。
村人たちはAに感謝して、沢山の贈り物をした。
Aは、贈り物のおかげで、研ぎ師の収入ではできない贅沢を妻子にさせてやれるのが嬉しかった。

Aの元に蟲師が現れ、「予知夢を見せているのはAに憑いている蟲だ」と告げる。
「時間が経つにつれ、どんどん予知夢を見る頻度が上がってくる。そして最後には夢に取り込まれて
二度と目覚めなくなる。予知夢を見る割合が10日に5回以上になったらこの薬を飲め。
予知夢を見る割合を減らしてくれる。しかし、この薬はそれ以上飲んだら毒になる。
飲みすぎてもいけない」
と言って薬を渡し、「一年後、また来る」と言って去っていった。

一年後に蟲師が村を訪れると、村は人気もなく廃墟と化していた。
慌ててAの家に行くと、Aは鬼気迫る顔つきで何があったか教えてくれた。

最初のうちは、Aも妻も薬を飲み忘れることのないように気をつけていた。
あるとき嵐があって海が荒れ、何人もの村人が死んだ。Aの娘もまた死んだ。
娘の亡骸をかき抱いて、Aは「何のための予知能力なんだ、こんな大事なことが
予知できなかったなんて」と嘆いた。
村人たちは「全くだ、今までさんざん贈り物をくれてやったのに肝心な時に役に立ちやしない」と
A夫婦を冷たく睨んだ。
それ以来、A夫婦は薬のことを気にしなくなった。
176: ↓2/2:14/07/01(火)01:27:00 ID:MXBxtjfSR ×
ある日、Aはひどい悪夢を見た。
周りの人間にカビのような青い斑点ができて、そこから体が腐って崩れていくという夢だった。
真っ青な顔で目を覚ましたAに、妻が「どうしたの?」と声をかけた。
その妻の腕にカビのような青い斑点ができて、そこから体が腐って崩れ落ちた。
カビ(?)は主人公を中心として放射状に広がっていき、たちまち村は全滅した。
そしてAは自分が蟲師に騙されたことに気がついた。

Aは蟲師に詰め寄った。
「俺は予知夢を見ていたんじゃない。
俺の見た夢が現実に反映されていたんだ。どうして教えてくれなかった。」
蟲師は「この蟲を取り除く方法はない。そのため皆自殺してしまう。だから言えなかった」

蟲師が少しAから離れた時に、Aは服毒して自殺を図った。
蟲師は必死でAを看病し、「かならず蟲を取り除いてみせる。だから生きてくれ」と懇願した。

蟲師は医術の心得があったので、Aの容態はひとまずは落ち着いた。
眠るAの見た夢で、Aは自分の蟲が枕の中に巣食っていることに気づき、
蟲師もまたAの寝言からそれを察する。
目覚めたAは刀で枕に斬りかかる。蟲師はAを止めようとしたが、間に合わなかった。
Aが刀で枕を斬ったのと同時に、Aはまるで刀で斬られたかのような怪我をして、
激しく血を流しながら倒れた。

かつて日本人は一日の1/3の時間、頭を預ける枕に神秘性を見ていた。
枕という言葉の語源は「魂の座(くら)」である。
Aは自分の魂の座を斬ったため、自分も怪我を負ったのだ。

蟲師は応急手当した後、医者を呼んだ。蟲師の応急手当が良かったこともありAは助かった。
しかしAはメンヘラ化しており、時折わけもなく暴れた。そして数年後には発狂して死亡した。
死ぬまでの間、Aは2度と夢を見なかったという。

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