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403: 1/2@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:40:15.87 ID:PAYwVvs20.net
松本洋子の短編漫画集『魔物語』に収録されている「ファミリー」
主人公は中学生の女の子。
優しい両親と、可愛い幼い妹の四人家族で幸せに暮らしている。
主人公はある日、妹の誕生日にあげたウサギの縫いぐるみが家のどこにも無いことに気付く。
妹はそれをとても気に入って何所に行くにも抱えて歩いていたはずなのに、妹に聞いても
「そんなウサギ知らないよ」と言い、両親に聞いても「そんなもの最初から無い」と言う。
おかしいな?と思いながらも夜になったので主人公は眠りについた。
主人公は夢を見る
(いつものようにウサギで遊んでいる妹…うっかりベランダの外にウサギを落としてしまった。
ウサギはベランダの途中で引っかかっている…ウサギを取ろうとベランダの手摺りを乗り越える妹の姿。
駄目、お姉ちゃんが取ってあげるから動かないで!)
飛び起きる主人公。
思い出した!妹はあの日、高層階から落ちたのだ。
死んでしまったと思ったのに、たったの三日で妹は何事もなかったかのように家に帰ってきた。
なんでこんな大事なことを今まで忘れていたのか?
朝、両親に事故のことを聞いてみるが
「そんな事故は無かった」
と取り合ってくれない。
また夜になり、トイレに行くために目が覚めた主人公は両親の話し声を聞いた。
「あの子、記憶が戻ってしまったのね」
「また『会社』につれていかなければ」
主人公が両親の部屋のドアを開けると、
そこには捲れた皮膚の下から配線やネジが見えているロボットのような母の姿があった。
「あれはママじゃない!」
引き止める両親の声がする中で、主人公は書斎に逃げ込んで鍵をかけ籠城する。
「きっとこの部屋の中に謎を解く証拠があるはずだ」
書斎をくまなく調べると、ある新聞記事を発見した。
そこには、母と自分と妹が事故死したという記載があった。
404: 2/2@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:41:40.03 ID:PAYwVvs20.net
書斎の扉の前、「ここを開けてくれ」と頼む父。
静かに扉が開き「これ、どういうこと?」と新聞記事を差し出す主人公。
両親は観念したように話し出した。
一年前、家族で出かけたドライブで事故があり、父親だけが生き残ったこと。
家族を失い絶望していたとき、ロボットの中に人間の記憶と意識を注入出来る技術を持った会社の存在を知ったこと。
妻と娘二人を蘇らせてもらったが、娘たちには精神的ショックを考えて事実を伏せていたこと。
娘たちに自分がロボットだと気付かせる出来事があった時は、会社にその記憶を消してもらっていたこと、等々。
「じゃあ私もロボットなの…?」
「そうだ」
悲鳴をあげてベランダから飛び降りる主人公。
(私は地面に叩き付けられて血を流して死ぬの。ネジや配線が飛び出したりなんてしない。私は人間なんだから)
次のページでは家族四人が談笑する平和なシーンに変わる。
その様子から主人公はやっぱりロボットで、また記憶を消されてしまったことを示唆しながら終わり。