575: 1/2:2007/04/12(木) 14:27:11 ID:c66P9B/X0
子供三人で一人が不幸ってので一つ思い出したので書いてみる。元はAAストーリー。
仲良し三人組の子供達がいた。二人の男の子と一人の女の子。
子供達はある日、天使に出会う。
天使は約束した。子供達が自分の翼を手に入れたら一つだけ願いを叶えてやろうと。
子供達は最初は天使の姿に興奮しはしゃいでいたが、時間が経つに連れ記憶は薄れていった。
やがてあれは夢だったと天使のことを忘れていく。
男の子Aは成長しグライダーを楽しむようになった。彼は楽しむための翼を手に入れた。
天使は約束を果たした。男の子Aが空を飛ぶ時、空は常に美しさに満たされるようになった。
男の子Bは成長しレスキューに入った。彼は人を助けるための翼を手に入れた。
天使は約束を果たした。
男の子Bが空を飛ぶとき、空は常に安全に満たされ、ただし安心は与えなかった。
576: 2/2:2007/04/12(木) 14:27:48 ID:c66P9B/X0
女の子はずっと天使を信じ続けた。
彼女には母親がいなかった。父親は飲んだくれで機嫌が悪いと暴力をふるった。
学校にも馴染めず、いつも一人だった。
彼女は父親も学校も嫌いだった。自分を助けてくれない世間が大嫌いだった。
彼女が信じていたのはたった一つ、天使が落としていった羽根だった。
信じていればいつか天使が願いを叶えに来てくれる、それだけを支えに生きていた。
しかし天使は現れない。
彼女は気づいた。天使が来てくれないのなら、自分が天使の元へ行けばいい。
こんな薄汚れた世界は捨てて天使の元へ逝こうと。
彼女は天使の羽根を手にビルから飛び降りた。
だが飛び降りた先に天使はいない。
天使の羽根ではなく天使の言葉を信じていれば。
紙飛行機でもいい、彼女が自分の翼を作っていれば願いを叶えてやれたのに。
天使はただ彼女を見ていた。