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365:本当にあった怖い名無し:2013/06/15(土) 03:59:55.73 ID:h3Gcn51P0
ディストピア文学の初期の一作「われら」が最高に救いがない
世界大戦で人類社会が崩壊して、荒廃した外界から遮断された都市が舞台
独裁者と監視者によって支配されたこの国では
起床から就寝までほぼ全ての行動が当局によって管理されている
それに反した行動をとる者は犯罪者であり、
性生活のパートナーまで政府の認可を経て決定されている
主人公はこの国の宇宙船建造を担当する官吏で、
模範的市民として国家の現状に何ら疑問を抱いていない
ある日、そんな主人公の前に一人の女が現れる
その女は主人公を大戦前の世界の遺物や
違法な嗜好品(酒や煙草、ドレス)に触れさせ、主人公を困惑させる
初めは誘いを拒絶していた主人公だったが、やがて女に魅了され、
ほとんど信奉する勢いで女のことを想うようになる
それは国家によって絶滅されていたはずの
恋という感情だったが、同時にそれは主人公を狂わせた
政府の許可により女と関係をもっていた友人を糾弾して絶交し、
かつての恋人(主人公は恋人だと認識できていなかった)さえも裏切って邪険に扱ってしまう
女はそんな主人公の想いを知ると、都市を囲う壁に連れて行き、外の世界を見せる
外界には政府が死滅したと教えていた旧人類が暮らしており、
女と同じく国家の支配に従わない人間たちが集まっていた
そこで女は同志と旧人類、主人公の前で都市からの脱出を宣言し、
それが主人公の建造している宇宙船によって達成されるのだと説いた
女は反政府組織の一員だったのである
366:本当にあった怖い名無し:2013/06/15(土) 04:00:28.06 ID:h3Gcn51P0
主人公は脱出計画を無謀なものだと考えたが、
女に心酔していたために計画への参加を了解してしまう
計画の進行と並行して組織は反政府運動を繰り広げ、
政府も対抗して市民から反抗の意思を奪う脳外科手術を開始する
以前は従順だった市民も反政府運動を目撃して動揺しており、
手術から逃れようとして都市は混乱状態に陥る
その最中に宇宙船の試験飛行が行われ、組織は都市からの脱出作戦を実行に移した
……だが、監視者は計画をすべて把握していた
脱出計画に失敗した宇宙船が都市へと帰還すると
都市は市民の暴走により無秩序状態になっていた
主人公は恐怖に駆られて当局のもとへ出頭し、支配者の前で全てを自白しようとする
しかし我に返った主人公は当局の手から抜け出し、混乱の中を最愛の女の家へと走った
だが、そこには女が主人公以外の多数の男と関係していた証拠が残っていた
彼は宇宙船の建造担当官という地位のために利用されていただけだったのだ
失意に打ちひしがれた主人公は自ら監視機関へと出頭し、
自分の罪を認め、全てを自白した
主人公の自白を受けた監視者は自白されるまでもなく全てを知っていたと笑い、
彼を手術室へと連れて行く
数日後、処刑場に支配者と主人公の姿があった
二人は同じテーブルにつき、処刑される女の姿を微笑みながら見つめていた
367:本当にあった怖い名無し:2013/06/15(土) 04:14:58.87 ID:fX3/PIgs0
>>365
「あなたには魂が形成されてしまったのです!」だっけ
1984年や華氏451より好きだわこの作品
しかしディストピアものって主人公にご禁制の文化を教えるのは大抵女(異性)な気がするが
好奇心と恋愛感情は管理できないってことなのか
368:本当にあった怖い名無し:2013/06/15(土) 04:28:14.60 ID:h3Gcn51P0
>>367
そうそう、男と女の立ち位置が同じなんだよね
「われら」では主人公D503と女I330
「1984年」ではスミスとジュリア
「すばらしい新世界」では蛮人ジョンとレーニナ
「華氏451」では消防士モンターグと少女クラリス
やっぱりアダムとイブ的な何かなんだろうか
華氏451以外の3作はほんと後味が悪い・・・
上には書かなかったけど、元恋人O90の末路とかぞわぞわした