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怯える千尋
自分の体が透けていくことに気づき怯える千尋。全てを拒絶しようとする千尋のこのシーンの原画を担当したのは鉛筆米林宏昌さん。米林さんは後に「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」「メアリと魔女の花」などを監督しています。
ハク「ここでは、仕事を持たないものは 湯婆婆に動物にされてしまう」
釜爺の部屋
この壁一面の引き出しが印象的な釜爺の部屋ですが、実は東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」に保存されている明治初期に創業した文房具屋、武居三省堂がモデルになっています。建築された当初は書道用品の卸をしていた建物なんだそうです。
黒い生きものたち
この小さな黒い生きものたち、『となりのトトロ』でメイとサツキが「マックロクロスケ」と呼んでいた不思議な生き物と同じ仲間です。カンタのおばあちゃんは「ススワタリ」と呼んでいました。本作でもこのように印象的な場面で再登場した「チビ」たちは、宮崎駿監督のお気に入りなのかもしれませんね
油屋のモデル
独特のデザインと構造が印象的な油屋の建物。宮崎監督は「色々な温泉が入っていて特定のモデルはない」と言っています。ただ、美術監督の武重洋二さんいわく、ジブリの社員旅行で行った四国の道後温泉は油屋の外装を描く際に参考になったとのこと。
その他にも日光東照宮や江戸東京たてもの園にある建築物なども参考にしたそうで、油屋は様々な建築様式やデザインが混在した不思議な建物として描かれています。
神様「おしらさま」
このまっしろな神様は「おしらさま」といいます。東北地方では、古来「おしら様」という同じ名前の神様が信仰されてきました。そのご神体は桑の木で作った棒の先に男女の顔や馬の顔を彫り、衣を重ねて着せたもので、作中に出てくる大根のような姿とは全く違います。
宮崎駿監督は作品に登場する神様について次のように話しています。
右向き矢印ちなみに東北地方で信仰されてきた「おしら様」は子供が大好きな神様なのだそうです。おしらさまが初対面の千尋を助けてくれたのは、この同じ名前の神様とも関係があるのかもしれませんね。
夏木さんにとって湯婆婆は
湯婆婆の声を担当したのは夏木マリさんです。夏木さんにとって湯婆婆は“とにかくかわいくて面白い”愛すべき人物なのだとか。時代を一生懸命に生きる中で、そのアグレッシブさから世間的には悪い人だと思われてしまう…そんなイメージで湯婆婆を演じたそうです。
夏木マリさんは3月からの舞台でも、朴璐美さんとWキャストで湯婆婆、銭婆役を担当します。
契約書の名前
荻野千尋…と書いてあると思いきや、荻の字が間違っています。本来「火」と書くべきところが「犬」になっていますね。千尋は書き間違えただけなのか、わざと間違えたのか…気になるところです。
リンの声優さん
リン「お前、うまくやったナァ。お前トロいからさ、心配してたんだ。油断するなよ、判らないことはオレにきけ、な」
リンの声を担当したのは玉井夕海さん。当時から映画監督を志望していた彼女は、宮崎駿監督が主宰する東小金井村塾Ⅱに入門し指導を受けていた縁で、声優を務めることになったそうです。リンを演じるにあたって、バイト先のお弁当屋のおばちゃんをモデルにしていたのだとか
リンは、イタチかテンが変わったキャラクターにしようという話から描かれていったキャラクターだったそうですが、イメージボードの段階では「白狐」という表記もされていました。大人びて見えますが、設定上はまだ14歳くらいの女の子なんです。
ススワタリたち
たくさん登場するススワタリたち。実はとても細かい作業が行われているんです。胴体、目、手足の間に入るススを表現するために何枚もの画像を重ねています。重ねる画像はアルファベットをつけて順番を管理していましたが、ススワタリと特殊効果が多すぎて、アルファベットが足りなくなるほどだったとか
おにぎり
「千尋の元気が出るように、まじないをかけて作ったんだ」とハクが語るこのおにぎり。両親が貪り食う屋台のごちそうとはどこか好対照ですね。油屋で働くことになって以来、ずっと気を張っていた千尋も思わず涙を見せる感動的なシーンです。
出勤ボード
リンと千が札をひっくり返していく出勤ボードと思われるもの。ユニークな名前が並んでいます。リンの横には「コイ」「ふな」「トロ」…魚の姿をしているのでしょうか。
そのほかにも「馬」「へそ」など気になる名前がたくさんあります。
番台蛙は大泉洋さんが声を担当
この番台は、大泉洋さんが声を担当しています。ちなみにこの番台蛙には「声の良さで番台に座ることを許された」という設定があるんですよ。
オクサレ様
自転車に建材からルアーまで、人間が河に投げ捨てた大量のゴミによってこの姿になってしまったオクサレさま。実はこのキャラクターは、宮崎監督が川掃除に参加した時、自転車を引っ張り上げた体験から着想を得たものなのだそうです。
油屋の設定
神様がお湯屋に疲れを癒しに来る、という設定は長野県南部の遠山郷などで、毎年12月に行われるお祭り「霜月祭」が発想のヒントになっています。宮崎駿監督はこの祭りについて「日本中の神様を呼び出してお風呂に入れて元気にするっていう非常に面白いお祭りがあるんです。」と語っています
「日本の神様たちって本当にささやかな人たちだと思うんですよ。(中略)どうしてそういう神様たちを登場させたのかというと、日本の神様たちは、きっとものすごくくたくたになっていると思ったからです。そしたら二泊三日で骨休みにお風呂屋さんに来るに違いないと思ったんです。霜月祭と同じようにね
カオナシとは誰なのか?
カオナシとは一体何者なのでしょうか。宮崎駿監督曰く「カオナシなんて周りにいっぱいいますよ。(中略)ああいう誰かとくっつきたいけど自分がないっていう人、どこにでもいると思いますけどね」とのこと。自分というものを持たず、出会うもの、人によって変化するのがカオナシという存在なのです」
油屋の従業員たち
油屋の従業員たちの大半が、男はカエル、女はナメクジをモデルにして描かれています。このことついて宮崎駿監督は「僕らの日常ってカエルやナメクジみたいなもんじゃないかと思っているんです。自分も含めて難しいことを言ってるカエルのようなものだと思ってますから」と語っています。
宮崎監督から見る人間の日常が表現されたのがこのカエルやナメクジのようなキャラクターたちなんですね。
ヒロインとなった千尋
最初は階段すらも這うようにしてソロリソロリと降りていた千尋が、ハクを救おうと危険もかえりみずに必死に走るこのシーン。作画監督の安藤雅司さんによると、「差し迫った状況に出くわした時に非常に能動的な行動に出るところ」は宮崎駿監督の理想像が反映された姿なのだと言います。
決して類まれな力を持った生まれながらのヒロインではない千尋。このシーンでは見るものを皆くぎづけにするぐらい魅力的なヒロインですよね。
竜の作画
竜という幻想の生物をいかにリアルに動かすか、スタッフたちは当初かなり戸惑ったと言います。実は、ハク竜がニガダンゴを飲んで暴れ苦しむこの動き、絵コンテには「まな板に留められたうなぎ」と描かれていました。確かにうなぎのような動きです。
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釜爺の声優
釜爺「あの子は千尋というのか……いいなぁ、愛の力だな」
数々の印象的なセリフを吐く釜爺の声は、🎙菅原文太さんが担当しています。「愛というセリフをいやみなく言える人はこの人しかいない」という鈴木敏夫プロデューサーの推薦により決まったそうですよ!
釜爺のセリフについて
釜爺「手ェ出すんならしまいまでやれ」
「手を出すならしまいまでやれ」「人の仕事をとっちゃならねえ」という釜爺のセリフは、デジタル化で仕事の領分が合間になった当時、宮﨑さんが感じていたことでした。
髪を結わくシーン
今作の作画監督のひとり、賀川愛さんによると、千尋が髪を結わくこのシーンは宮崎監督がこだわって直していたそうです。賀川さんはこのシーンでの髪を結わく表現について「男じゃないと描けない」と語っています。この世界での千尋の変化を感じるシーンでもありますね。
ちなみにこの紫色の髪留めがこのあとのシーンで重要な役割を持ちますので注目です!
約束の場面
千尋「またどこかで会える?」
ハク「ウン、きっと」
千尋「きっとよ」
ハク「きっと。さあ行きな、振り向かないで」
髪留め
この髪留めだけが、千尋が不思議な世界にいたことの証拠になりました。宮崎駿監督は「あの世界は全部夢だったというふうにしたくなかった」と語り、そのために残したのがこの髪留めだったのだと明らかにしています。
最後に一度だけトンネルを振り返る千尋の眼差しに応えるように輝く“たったひとつの証拠”。この紫色の髪留めだけが千尋の不思議な冒険のことを知っているのです。
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「千と千尋の神隠し」Q&A
2022年。金曜ロードショーで「千と千尋の神隠し」が放送されました。その中で、金曜ロードショー公式Twitter(@kinro_ntv)が視聴者から質問を募集。
その質問にスタジオジブリ公式(@JP_GHIBLI)が答えていました。
公式からの回答が知れるというまたとない機会。知れば100倍千と千尋の神隠しが面白くなる質疑応答をご紹介します。
また他にタイトル候補はありましたか?
吾朗さん「『あの作品』の『あのトンネル』は、つくっていますよ〜(笑)」
冒頭に登場する不思議な町の飲食店街は、有楽町や新橋の歓楽街をイメージしながら描かれたそうです。
リンは近しい先輩なので、人間に見えるのかもしれませんね。そういうこと、ありませんか?
ちなみに同じくお湯に浸かっているのは「牛鬼」です。
宮﨑さん曰く、「今の日本の神様は大変だよなぁ」と思い、神様や妖怪が疲れを癒す湯屋が生まれたそうです。20年後の今はもっと湯屋が繁盛しているのかも……。
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実際のモデルは、スタジオジブリです。ジブリで働くには最上階にいる鈴木さんのところに行って「働かせてください」と言わなければなりません(笑)
あそこだけ表現の手法を変えていますか?
具が入っていたかは想像にお任せします(ワサビが入っていたわけではありません)。
ハク「いつもは千でいて 本当の名前はしっかり隠しておくんだよ」
「昨夜のあれはなんだったの?」
ハク「私のことは、ハクさまと呼べ」
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20周年の時、スタッフ同士で何かお祝いなどはありましたか?
過去を振り返らず、目の前のことをやっていこうというのが、宮﨑さん、鈴木さんの考えです。
ちなみにラピュタやハウルに登場する目玉焼きは、学生の頃、長旅から一文なしで帰宅して、お腹ペコペコで作った記憶をもとに描いたそうです。
人はみんないいところも悪いところもある。一面的に描くことが出来ない人間の象徴として、カオナシというキャラクターを生み出したのではないでしょうか(真面目に答えてみました)。
湯婆婆は坊にお金がかかってしょうがないそうです。
また坊の声は体の大きさを表現するために、3本のマイクで収録し、スクリーンサイズに対応した作りにチャレンジしているそうです。
。
なぜ弾を打てたかは定かではありませんが、「湯婆婆は空中遊泳できるおばあさんなんです」と宮﨑さんは言っていました。
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昔は行きと戻りがあったのに、行きっぱなしになってしまったのには理由があるのでしょうか? 何か設定があれば教えて頂きたいです。
「ニギハヤミ」の意味があったら知りたいです!
※別のインタビューで宮崎監督は「千尋のような経験を積んだあとでは、お父さんとお母さんを豚の中から見つけることは出来て当然」と話していました。
参考 「Q:千尋はどうやって、最後豚の中にお父さんとお母さんはいないと見抜いたのですか?」 ジブリ「A:理由は…」 https://sanblo.com/2ch_jiburi_tihiro/
それを印象づけるための演出だといえるのではないでしょうか。
お父さんとお母さんが、何事もなかったように車に乗り込む時、車の中は埃だらけになっていますので、トンネルのあちらとこちらでは、時間の経過が違うのかもしれませんね。
千尋がその川を訪れることがあれば……。
※ただしすでに川はマンションで埋め立てられているという・・・。
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ちょっとしたエピソード
オクサレ様
オクサレ様の中から自転車が出てくるエピソードは、実際に宮﨑さんが川掃除をしていたときに起きた出来事だそうです。
こんにゃくクッキー
当時、アフレコはスタジオジブリの試写室で収録していました。演者とスタッフが同じ空間での作業だったので、お腹が鳴らないように、宮﨑さんはコンニャククッキーを食べて、お腹の音をおさえていました。
夏木マリさん
夏木マリさんが、「千!」と叫んだ時に試写室の照明器具が共振して音が出たため、リテークになった事もありました。さすがの声量……!
カオナシの声優
カオナシのアフレコは爆笑の連続。
「もっと悲しい『あっ』を下さい」
「あっ…」
「もっと悲しい『あっ』を」
「あっ……」
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おまけ:「千と千尋の神隠し」中国版ポスター
今夜21時からの #金曜ロードショー で放送される「千と千尋の神隠し」の中国版ポスターが美しすぎる pic.twitter.com/FA4JMTefQo
— DIZ / ディズ (@DIZfilms) January 7, 2022