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199: 名無しさん@おーぷん 2014/07/07(月)17:24:17 ID:AgOwwgs21
山岸凉子「天沼矛(あめのぬぼこ)/第2話・緋桜」
佐江子は東京で駿と知り合い、婚約した。
駿には離婚歴があり、当時乳飲み子だった一人息子を妻に引き取らせていたので両親は反対したが、佐江子の郷里で働く事になったので態度を変え、実家の庭を、見事な桜の大木を切り倒してまで二人の新居の為に提供してくれた。
佐江子の実母は佐江子が5歳の時に亡くなり、6歳の時に母の妹が後妻に入った。
「田舎ではよくあるのよ、妻の妹を後妻にするのは。お母さん(実母)もママ(後妻)も、どちらも大事な母よ」
「桜の木の下には死体が埋まっている」というが、佐江子は桜といえば丑の刻詣りを連想する。
夜桜の舞い散る中、白い着物の女が髪を振り乱して桜の幹に五寸釘で藁人形を打ち付けている、おそらく映画で見た美しいシーンだ。
休暇を取って帰省した佐江子は、後妻が庭師の為の茶菓子を買いに出たので桜の伐採を何となく見物していた。
大きすぎてトラックに乗らないので電ノコで幹を切断したが、幹に太釘がたくさん刺さっていたのでその部分をよけて切る事になった。
庭師によると、年輪からいって20年程前だとか。
佐江子は思い出した。
子供の頃、長いこと入院していた実母が一時帰宅を許された夜。
夜中トイレに起きてふと庭を見ると、寝巻き姿の実母がツゲの櫛をくわえて桜の幹に藁人形を打ち付けていた。
その年の夏、実母は亡くなった。
(ずっと映画だと思っていたわ…お母さんがそこまでする恨みって、まさか…ママとお父さんは前から…!)
200: 名無しさん@おーぷん 2014/07/08(火)03:48:23 ID:UlQNd047B
佐江子は丑の刻参りは誰かに見られると呪いが術者自身に返るということは知らなかったのか…