後味の悪い話

【後味の悪い話】倉橋由美子「故郷」

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357: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/10/16(金) 11:27:21.57 ID:QtLztN/2O.net
倉橋由美子「大人のための残酷童話」から「故郷」

貧しい村が嫌で都会に出て成功した男、名家の娘と結婚する。
一通りの成功を収めて人心地がついたので、やっと貧しい村を思い出す。
妻を伴い帰省旅行に出るが、里心半分不安半分。

貧しい村はさらに貧しくみすぼらしくなっていた。
村の入り口に昔から居座っていた乞食によると、男の父は酒に溺れて石工をやめてしまい、娘と宿屋をやっているそうだ。
長男はまた牢屋に逆戻り。
父には孫がいるが、孫のタネは父か長男のどちらかに違いない。

前科者の兄の事は妻に隠していたし、妹の子については耳を覆いたい気持ち。
男は妻と召使いを町の宿屋に置いて、道に迷った旅人に身をやつして実家に一夜の宿を求めた。
みすぼらしい部屋に通されてしばらくすると、戸の外から男の金品を奪う算段のひそひそ話が。
覗くと、父親の手には肉切り包丁が。

しばらくすると、妹がにやにや笑いながら入ってきて、ぼろ着の胸をはだけスカートをめくる。
臭気と醜さに絶叫するのと父親が肉切り包丁を持って飛び込んでくるのと表の戸を激しく叩く音がするのと同時だった。
父親と妹がひるんだ隙に、男は窓から飛び降り気を失った。

男は町の宿屋の、妻を泊まらせた部屋で目覚めた。
妻が夫の身を案じて、縁故のある有力者を動かして官権の手をわずらわせたそうだ。

絞首刑になった父と妹は同じ手段で旅人を何人も殺していて、あの夜の客が20年ぶりに帰郷した息子であり兄である事を充分に承知していた、と供述したという裁判所からの通達を聞いた男は故郷を忘れ、幸せに暮らした。

教訓。汝のルーツを求めるなかれ。

358: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/10/16(金) 12:25:27.54 ID:b+34fKWS0.net
カミュの「異邦人」の中に出てくる新聞記事では
金持ちになって素性を隠して実家の宿屋に泊まった男が、
男の正体を知らない両親により、金目的で殺される。
殺した後で、男の持ち物を調べたら自分たちの息子だったもんで、両親が自殺するという話が紹介されていた
しかもこれは実話らしい

367: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/10/16(金) 21:43:51.24 ID:O9jGjU640.net
>>358
あったね。
確か割りと有名な事件だけど、ソースが思い出せない(笑)
死体を売って金にしてた夫婦が青酸カリで殺してた気がするんだが。

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