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【後味の悪い話】レイ・ブラッドベリ「夢魔」

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287: 本当にあった怖い名無し:2008/12/10(水) 12:21:47 ID:yzbvae3F0
レイ・ブラッドベリ「夢魔」

宇宙飛行士レナードは宇宙船の故障で生物の居ない小惑星に不時着する。
6日後に救援が来ることになり、安心して眠りにつこうとした彼。
まどろみかけた瞬間に、彼の脳裏に「争い合う2つの声」が響く。

彼らは、かつてこの星に存在し、激しく争った二つの知性体だった。
既に肉体は滅びたが、その思念だけがこの星に残り続けていた。

彼らは、待っていたのだ。
再び闘うのに必要な「肉体」がやって来るのを。
2つの声は彼の脳裏で激しく争い、そして彼にこの肉体を明け渡せと迫る。
早く完全に寝てしまえ。そうすれば、この肉体は私のものだと。口々に。
2人いればよかったが、1人しかいないのならしょうがない。
この肉体を支配した方の勝ちだと。

危ういところで目覚めることができたレナード。
しかし、もう眠ることはできない。
眠ったが最後、この身体は彼らに乗っ取られる。
彼らは互いに占有権を得ようとして争い、この身体を引き裂いてしまうだろう。
(続く)

288: 本当にあった怖い名無し:2008/12/10(水) 12:24:06 ID:yzbvae3F0
レナードは救援隊が来るまでの6日間、一睡もせずに過ごさなければならなくなる。
意識は朦朧とし、少しでも気を抜くと彼らの勝ち誇った声が沸きあがって来る。
そんな地獄の6日間を耐え向き、レナードはついに救援隊を迎える。

「ざまあみろ!俺は自由だ!お前らから逃げ切ったんだ!」
そう叫んで救援隊に駆け寄り、一刻も早くこの星を出ようと言うレナード。
しかし救援隊員たちは笑って首を振る。
「そんなに急ぐことはないさ。君も疲れてるだろう。我々も長旅で疲れた。
 今夜一晩、揺れない大地の上でゆっくり休んで、明日発つとしよう」
レナードは半狂乱になって自分が置かれている状況を説明する。

救援隊員たちは彼が疲労で錯乱していると判断し、鎮静剤を投与する。
絶望的な唸りをあげてその場に崩れ落ちるレナード。
次の瞬間、彼の身体は激しく跳ね上がり、ものすごい唸り声を上げ、
泡を吹き、のたうち回り、宙をかきむしり、そして絶命する。

「かわいそうに。衰弱しきってたんだな」
と、救援隊員たちは彼の遺体を安置し、明朝の出立に備えて眠ることにする。
「よく眠れそうだ」「お休み」と言葉を交わしながら、「2人の」救援隊員は眠りにつく。

290: 本当にあった怖い名無し:2008/12/10(水) 15:13:44 ID:Ut0PUrsk0
>>288
乙。面白い!

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