スポンサーリンク
218: 1/2:2008/04/12(土) 04:47:16 ID:pij/+wIy0
『罪の収穫』
農場を営む家庭に育った少年シェーン。
お産の近づいた愛馬ジンジャーを気遣い、専用の毛布を仕立てる程その愛情は深い。
だがシェーンにはジンジャーの事以上に興味を惹かれる事があった。
それは近所に住む独り暮らしの老人、ジェニングスの事だ。
彼には『しつこいセールスマンを撃ち殺した』だの
『母親は魔女で、奴は魔法や呪いが使える』だの、若者にとっては面白い噂が絶えない人物だった。
敷地内に大きな池(恰好の釣りポイントらしい)があるためか、
厳重に立ち入り禁止を謳う看板が乱立するその家もまた、彼の変人ぶりを強調する要素だったのだ。
ある日、シェーンは好奇心からジェニングスの敷地に忍び込む。
悪友から聞かされた、例のセールスマンの墓があるのかを確かめたかったのだ。
しかしジェニングスに見つかり、制止を振り切って逃亡する。
その最中、シェーンは誤って脱穀機のスイッチを入れてしまい、
そこに倒れこんだジェニングスは両腕を切断する悲劇に遭うのだった。
自分のせいで起こった事故。誰にも話せはしない。
命に別状はなく、直ぐに退院したジェニングスがシェーンの家を訪れる。
しかし彼は事故に関する事を一切話さず、ただシェーンが
敷地に忍び込んで釣りをした事に謝罪を求めただけだった。
シェーンの父は息子を強く叱り、2週間だけ身の回りの世話をシェーンに頼みたいという老人の言葉を快諾する。
真意の見えないジェニングスへの恐怖に怯える日々。
そんな折、老人がリハビリに出かけた隙に再び『墓』を探すシェーン。
それらしい場所を見つけ、懸命に掘ったその先に現われたのは、ジンジャーの毛布だった。
怪訝な表情でそれを取り出した時、ボトリと音を立てて『腕』が落ちた。
切断されたジェニングスの、腐りかけた右腕だった。
219: 2/2:2008/04/12(土) 04:48:05 ID:pij/+wIy0
もう辞めたいと訴える息子の言葉に耳を貸さず、老人のために働けと言う父。
事情を知らない親に腕の事を話せないシェーンは、嫌々ながらも手伝いを続けるしかなかった。
そして2週間が経った。
明日からは怯えずに過ごせる毎日が待っている筈だ。
最後の日、ついに激情を爆発させたシェーンはジェニングスに真意を問いただす。
何故自分を責めないのか、何故謝れと言わないのか、と。
だが老人は静かに呟いた。
「そんな事をしても何にもならないからな」
去ろうとするシェーンをジェニングスが呼び止める。
「忘れ物だ。それは君の物だろう」
椅子にかかったジンジャーの毛布を示しながら、老人はニヤリと笑みを浮かべるのだった。
帰宅すると丁度ジンジャーのお産が始まったところだと言う。
シェーンは心躍らせながら厩舎へ向かったが、そこには悲劇が待っていた。
生まれた仔馬には前脚がなかったのだ。
それはまるで、肘から先を失ったジェニングスの姿そのままだった。
ショックに震えるシェーンを元気付けようと、両親が少し照れながら切り出した。
「もう少し経ってから言おうと思っていたが、もうすぐお前に妹か弟ができるんだ」
「きっと可愛い赤ちゃんが生まれるわ」
愕然とするシェーンの目に、闇の中で佇む老人の姿が映る。
その顔は醜悪な笑みに満ち溢れていた・・・。
進行がサスペンスフルで、是非動画で観て欲しい佳作。
確たる結末が見えない、でもきっとバッドエンドだよなぁ、としか考えられないダークさ
は、何となく70年代のホラー小説を彷彿とさせるのだわ。
221: 本当にあった怖い名無し:2008/04/12(土) 06:09:35 ID:zlKKkZ7Z0
絶対少年が誤解してただけで、最後は老人と和解するんだと思ったのに。
でもすごいおもしろそうだ。