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452:1/2:2007/01/13(土) 11:15:05 ID:i8BuYH53O
主人公は小学生の女の子。格好良くてダンスの才能のある兄を尊敬している。
しかし兄はもう中学生で反抗的になり、以前のように妹に優しく接しない。
むしろ『鬱陶しい』などと意地悪を吐き捨てる。
中学卒業後は芸能事務所入りで上京が決まっており、
友人や女の子達に囲まれる兄を見て、主人公は寂しく思っていた。
そんな時、兄が行方不明になる。
心配した両親が警察や各所に連絡をする中、
妹だけは嬉々として『お友達の家で宿題してくる』と出かけて行く。
不思議がる両親をよそに妹が訪れた先は町外れの空き家。
待っていた兄が、あたたかい言葉をかけてくれる。
数日前、妹は外商と名乗る黒い服の男から薬の瓶をもらった。
外国で手に入れた、人間を従順にさせる薬だが効果の程はわからない。
だが試してみる価値はある、と。
恐る恐る試したところ効果はてきめんだった。
兄はどこにも行かず自分だけを大切にしてくれる。兄の膝に座り、妹は微笑んだ。
しかし幸せは脆く崩れていく。
453:2/2:2007/01/13(土) 11:16:54 ID:i8BuYH53O
ある夜、妹が兄の食事を運びに行くと、物が壊れる大きな音が耳を突いた。
急いでドアを開くと足元に皿の破片を散らかし、震える手をじっと見つめる兄がいた。
『ずっと家にばかり居て体力が落ちたかな』
弱々しく笑い、兄は妹のために踊る。
妹は不安を振り払おうとするが、兄の顔色は日に日に悪くなる。
放課後、空き家に走り込んできた妹に気付き兄は振り返った。
『なんだか凄く顔が熱くて痒くて…』
妹は悲鳴をあげた。兄の頬からズルリと皮がはがれ落ちている。
『どうしたんだ』と腕を掴む兄を突き飛ばすと、痩せた足は簡単に折れてしまった。
自らの体に怯えつつ咳き込むと、口から蛆がわいて出る。
『こんなのお兄ちゃんじゃない!』と泣き叫ぶ妹。
『だいたい、お兄ちゃんはいつも私に優しくなんかない!
世話をする人が私しかいないから優しくしてるだけだ!』
『違うよ…』と、兄は妹を抱き寄せ、
『本当はもっと優しくしたかったんだ、お前を大切な家族だと思っていたんだ…』と囁く。
妹は兄にしがみついて泣いた。
空き家の外では黒い服の男が時計を眺め、
『2週間と少しか…失敗だったな』と呟き、去っていった。
静かな家の中で、泣きつかれた妹は白骨を抱いて眠った。
その顔には安堵の笑みがあった。