怖い話

【世にも奇妙な物語】ロッカー

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暗い研究室らしき場所

ストーリーテラーであるタモリがロッカーを開け作業衣を着替えながら話す。
「つい熱中してこんな時間になってしまいました。仕事をするにせよ遊ぶせよ何かに熱中するということは、とても充実感があり、素晴らしいことです。しかし、何かに熱中する余り、我々は身の回りで起こる現象に鈍感になっているかも知れません。世にも奇妙な物語、そして恐怖――」

ロッカーを閉める。そこに悟(織田裕二)がいる。
「それは我々のごく身近にあるものなのです。とにかく、気を落ち着かせ、周囲に充分気をつけることです」
外へと歩き出すタモリ。それを見計らいこっそりラボへと侵入する悟。

外には警備員が居た。
「遅くまで御苦労さまです」
「あっ、中にもうひとり残ってますよ」
「そうですか、承知致しました」
闇へと歩み出すタモリ。

悟は産業スパイだった。夜。ラボへと侵入した悟は、研究室の書類を盗み出そうとこっそりコピーしていた時、ラボの研究員に見つかってしまう。

研究員は悟の存在に気付くと、悟に襲い掛かった。

「返せ!人が研究したものをよくも…」

物凄い剣幕で悟の首を絞めそうな勢いだ。悟は近くにあった灰皿を手に取り、研究員を殴った。すると研究員はあっさり息を引き取り、その時の衝撃でひとつのロッカーが開いた。死んだ男のネームプレートには「佐口」と書いてあった。

悟は慌てて外に逃げようとしたが、音を聞きつけた警備員に阻まれ、先程開いたロッカーの中に隠れる。死体を発見した警備員は、警察に連絡しに行く。誰も居なくなった室内のでロッカーから出ようとする悟だが…。

開かない。

やがて警察が来て、現場検証が始まる。ロッカーの小窓越しに見える佐口の死体はその間不気味な死顔でこちらを見ている。鑑識がロッカーの写真を撮影。身を縮める悟。指紋検証の為、粉を付ける鑑識。口を塞ぐ悟。

ふと、ロッカーに貼られている写真を見た。
『63.10.12 バイトの洋子と』という一枚の写真に、満面の笑みで女と一緒に写っている男(段田安則)の姿を見つける。

「佐口邦夫」

あいつのロッカーだったんだ…。

辺りはすっかり明るくなっていた。写真の佐口は心無しか悪どい笑みをしているように見える。自分が殺った…と後悔の念が押し寄せる男。また警察が来た。証人尋問の様だ。
その時刑事の一人がロッカーに目をつけ、何かに気付いて近付いて来る。思わず息を押し殺す悟。

するとそこに作業員らしき人が入って来る。
「廃棄処分のロッカーってどれだい?困るんだよねえ、ロッカーはロッカーだけにして貰わないと」と言って、悟が入ったままのロッカーを作業員2人掛かりで担ぎ上げ、トラクターに載せた。

そうして着いた先は、『廃棄処分』するのだから当然、処理場だった。思わず声をあげた男。その時1人の作業員が声に気付いた。

「おい、今何か聞こえなかったか?」
ウォークマンを聞いていたもう1人の作業員。
「あんた、耳遠いんだろ。さっさと片付けちまおうぜ」

磁気の帯びたプレスクレーンで吊り上げられるロッカー。
もうここまで来てしまっては、どれだけ叫び声を擧げても無意味である。
写真の男は確実に、この時を待っていたに違いない。プレス機に掛けられ、じわじわと潰されるロッカー…。
パニックの中、佐口の顔がフラッシュバックし、写真の笑顔が満面の笑みになっていることを発見する。

そこで目を覚ます悟。
写真も満面の笑みではない、元の姿に戻っていた。
差し込む小さな光。生の実感を噛み締める悟。

全ては夢だったのだ。タチの悪い夢、そう夢…。
そうすると自然に笑みがこぼれ高笑いをする。

「な、今何か聞こえなかったか?」
「耳遠いんだろ、あんた。さっさと片付けちまおうぜ。」

磁気の帯びたプレスクレーン車で吊り上げられるロッカー。地面に叩き付けられると、その衝撃でロッカーが少し開く。

ロッカーの隙間から大声を上げて助けを求める
「助けてー!!!」

迫るプレス機。気付かないのか、ロッカーの隙間から手を出し、助けを求める。
「助けてー!!! 誰かたすけ」

グシャリと押しつぶされる鈍い音。
スクラップされて運ばれていくロッカーの塊には、悟がかぶっていた赤い帽子がへばりついていた。

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